2019年月5日23の記事を編集して再掲載しています
だいぶ近くなったけど、やっぱり違う。
ほとんどの人にとっては、いまやWindowsもmacOSもあまり変わりません。家のパソコンで日々やることはたいていWebブラウザ上でできてしまうし、SpotifyとかSlackとかPhotoshopといったポピュラーなアプリも、プラットフォーム横断です。
でもOSによる違いはまだしっかりあって、それは「乗り換えが面倒」とかだけじゃありません。以下に6つ、まとめます。
1. プリインストールソフトウェアの豊富さ
OSに最初から入ってるソフトウェアという意味では、macOSのほうが有利です。メールやSafari、マップやメッセージ、FaceTime、iTunesなどなどに加え、Microsoft Officeに相当するPages、Numbers、KeyNoteももれなく付いてきます。といってもビジネス系アプリに関してはMicrosoft Officeの機能やパワーにはやっぱりかなわないんですが、ほとんどの人が個人で使う分には十分だと思います。そしてMicrosoft Officeと違って、これらのソフトウェアは完全に無料です。
macOSにはさらに、動画制作のiMovieや音楽制作のGarageBandといったアプリも付いてきますが、Windows純正だとそもそも同等のものがありません。macOSの場合、他のアプリを入れる必要がほとんどないかもしれません。
Windowsにもいろいろ(多すぎるくらい)プリインストールされてきますけど…と思われるかもしれませんが、その中で実際ある程度使われてそうなのはメールとカレンダー、People(連絡先)、あとはSkypeにもしかしたらEdge、くらいでしょうか。それから写真や音楽、動画を管理するシンプルなツールも入ってますが、僕らが気に入っていたWindows Movie Makerはいまは入ってないし、Windows Media Playerも悲しいくらい放置されてます。
その代わりWindowsにはサードパーティソフトウェアがたくさんあり、無料のものも多いです。ただOS自体に入っているもので比較すると、WindowsはmacOSよりだいぶ見劣りします。Microsoftは、WordとかExcelがAppleのPagesとかNumbersよりよくできてて、WindowsでもmacOSでも使えるってことで自分を慰めてるかもしれません。が、Microsoft Officeは一番安い1年ライセンスでも1万2000円ちょっと、永続ライセンスに至っては3万数千円と、安めのパソコンくらいの値段になります。
まとめ:macOSの方がハイクオリティなソフトウェアを内蔵しているので、その分コストを圧縮できるかもしれません。
2. ゲームとVRへの対応
Windowsが圧倒的に強いのは、ゲームとかバーチャルリアリティへの対応です。HTC ViveはmacOS Mojaveで使えるようになりましたが、Oculus Riftはまだ対応していませんし、Windows Mixed Realityも当然のようにWindowsオンリーです。Xboxを持っている人なら、Windows 10と連携してプレイできます。
macOSでもゲームができないわけじゃないんですが、Windowsでできることに比べたらかなり遅れています。Windowsのほうが一番人気のタイトルがあり、Steamで入手できるゲームもはるかに多いです。多くのMacではグラフィックスカードが別立てじゃないので(外付けGPUはサポートされていますが)、少なくとも初期状態では本格的なゲームがプレイできません。
一方Windowsのゲーミング環境はますます勢いがあって、プレイヤーが集まり、ゲーミングアクセサリーやユーティリティ、アドオンなども充実するばかりです。ゲーミングPCを自作する場合も、Windowsを使うことになります。
AppleはmacOSでゲームとVRのサポートを強化する動きを見せていますが、もはやタイミングを逃しすぎていて、サードパーティのデベロッパーやメーカーもほとんど興味を示していません。Appleはモバイルゲームのプラットフォームを担っていることで自分を慰めるしかありません。
まとめ:ゲームとVRに関してはWindowsが圧倒的に強く、ゲーム機代わりにもなるので、そのぶんお金が浮くかもしれません。もしパソコンを使うメインの目的がゲームなのにMacを買う、としたら、それはお金を捨てているようなものです。
3. UI・使い勝手
この点は一番主観が入るところだと思います。Windowsは今macOSと同じくらい洗練されてきたので、どちらがいいかは個人の好みになってきます。多分、これまで一番たくさん使ってきたものが一番好き、ということになるんじゃないでしょうか。
僕はmacOSもWindowsも両方毎日使っていますが、Windowsの方が使いやすいと思います。でもそれは、僕がWindowsのほうを長く使ってきたせいでしょう。WindowsのファイルエクスプローラーはmacOSのファインダーより直感的で機能的な感じがしますが、それは長く使ってきたことでショートカットとか必要なテクニックを学んできたからかもしれません。
ウィンドウ管理に関しても、Windowsのほうがきっちり、macOSのほうが自由でゆるい感じがしますが、何にせよ慣れているほうが好き、となる人が多いことでしょう。SiriかCortanaか、ドックかスタートメニューか、いろいろ違いがあるにはありますが、生産性に与える影響は本質的には大したことないです。
AppleもMicrosoftもここ5年、10年、ダークモードとかなんとかさんざんお互いのやってることを吸収してきたので、それほど大きなギャップはもうありません。個人的には、Windowsだとウィンドウを画面の端にスナップできるのとか、macOSだとデスクトップのアイコンを自動で整理できるのとかが良いと思っていますが、それらはみんなマイナーな違いです。
まとめ:UIはもう、比べてもあんまり意味ないかもしれません。AppleもMicrosoftも、魅力的で使いやすいシステムを作り出してきました。でもとにかく慣れている方を使うのが楽なはずです。
4. パソコン以外のエコシステム
最近のテック製品の多くがそうですが、パソコンを買うときは「MacかWindowsか」というより、「家にある他のものと連携できるかどうか」が重要な視点になっています。それはハードウェアだけじゃなく、iCloudやOneDrive、Google Driveといったサービスに関しても言えます。
もちろん、iPhoneをWindowsにつないだり、macOSをAndroidスマホにつないだりも可能ですが、全部Appleとか全部それ以外とかに統一したほうがいろいろと楽です。リビングでApple TVを使っている場合、Windowsからはデフォルトでは音だけしか飛ばせず、動画は対象外になります。Macを使っていればAirPlayで音も動画も飛ばせて、画面のミラーリングも可能です。
iPhoneを使っている人なら、カレンダーも連絡先もメモも全部、いつの間にかmacOSと同期されているはずです。Windowsとも同期できますが、やり方がすごく複雑で、クリアしなきゃいけないことがたくさんあります。AppleとかMicrosoftとかの間でプラットフォームをまたぐなら、一番良いのはMicrosoftとかAppleのサービスをメインで使わず、全部Googleのクラウド上でやることです。WindowsでもmacOSでもGmailやらGoogle Calendar、Google Photosやらは全部使えるし、Windows 10ならAndroidスマホにきたテキストメッセージにパソコンから返信することもできます。
Appleのエコシステムは、Apple(または限られたパートナー)の高価なハードウェアに縛られている感じがします。でも近頃、SonosとかサードパーティのTVでもAirPlayが使えるようになり、Appleがその箱庭の壁を多少下げて前進しようとしているように見えます。とはいえ、Windowsの方がいろんなサービスと協調できるのは間違いありません。家にあるすべてのガジェットがひとつのメーカーのもの、という状態に違和感がある人には、Windowsのほうが向いています。
まとめ:Appleの閉じたエコシステムでも別に問題はなく、その連携ぶりは美しいですが、使えるハードウェアが価格高めのものに限定されます。WindowsはApple製品の連携はApple製品同士に比べればうまくできませんが、それ以外の製品とは比較的うまくつなげられます。
5. セキュリティとプライバシー
セキュリティやプライバシーに関しては、Appleの勝利です。Appleはユーザーのプライバシーに関して非常に積極的なアプローチをとっているし、世界中のマルウェアのほとんどがWindowsを標的にしているのもAppleにはとっては好都合です。Windowsが狙われるのは、市場シェアが大きいからだと思われます。なのでmacOSのほうが確率的に安全ですが、脆弱性が皆無というわけではありません
。ただ、その差はそんなに大きくありません。Windowsがアンチウイルスソフトなしではウイルスだらけだったのは、もう過去のことになりました。今のWindows 10にはアンチマルウェアソフトのWindows Defenderが内蔵されていて、主要な脅威への対策はできています。最近起きているセキュリティ問題はたいてい、古いバージョンのWindowsを使っているか、OSとは関係ないかのどちらかです。
WindowsでもmacOSでも、どのプログラムがマイクやカメラ、位置情報などにアクセスできるかをユーザー自身で管理できるようにはしています。が、Windowsのほうがユーザーにもデベロッパーにも比較的自由度が高く、その分リスクも大きくなっています。WindowsユーザーのほうがMacユーザーよりセキュリティに詳しくなる必要がある、とは言ってもいいと思います。
またプライバシーに関しては、Appleが超重視するってことを一生懸命訴えているので、そういう思いがあるらしいことはお伝えしておきます。でも実際AppleとMicrosoftのプライバシーポリシーを比べてみると、データの使われ方はそんなに変わらないんです。たしかにAppleはクラウドよりローカルのストレージを使う度合いが大きいから相対的に安全だみたいな話はあるかもしれませんが、その点でAppleとMicrosoftの差を気にするくらいだったら、GoogleとかFacebookを使っていて大丈夫なのかを考えたほうがいいです。
まとめ:Appleはプライバシー重視の姿勢を強く打ち出しているので、可能性としては、Macのほうが写真とかデータが流出しにくいです。Windowsもこの点では劇的に改善しましたが、それでもMacを使うときよりは、プライバシーとかセキュリティのことを理解しておいたほうが安全です。
6. コストパフォーマンス
コスパに関しては、昔も今もWindowsのほうがずっと有利です。macOSでは、3万円のマシンとか買えません。学生とかカジュアルな使い方の人、とにかく価格重視の人にとっては、Windowsマシンを買うのが合理的です。特にいまはほとんどのことがWebブラウザがあれば可能で、パソコンに表計算ソフトが入ってなくてもGoogleスプレッドシートがあればなんとかなったりするからです。
それでも、Appleのプレミアム価格を喜んで払う人が少なくないのも事実です。それに統計をとったわけじゃないんですが、「Macの方が長く使える」「何年も使ってるけど動作もそんなに遅くならない」って意見をよく聞きます。この点はWindowsそのものというよりWindowsマシンを作ってるハードウェアメーカーの問題なんですが、とにかく長く使えるから多少高くてもいいっていう考え方もあるにはあります。
ハードウェアメーカーといえば、Windowsにはラップトップとかデスクトップ、2-in-1マシンなどそれぞれいろんな形態があります。Surface ProでもDell XPSでもLenovoのオールインワンでも選べて、AppleがデザインするMacの形態に制限されないという利点はあります。この点にはデメリットもありますが、選択肢が多いのはたしかです。
まとめ:Windowsのほうがハードウェアの選択肢が広く、価格もいろいろ選べます。単純に安いマシンを買おうと思うなら、Appleのデザインがどうこうとか関係なく、Windows一択になることでしょう。