「IEEE P1901c」作業部会、パナソニックの「Wavelet OFDM」をベース仕様に採択。有線・無線・海中で通信可能な標準規格策定へ 

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 パナソニック ホールディングス株式会社は11月28日、「IEEE P1901c」の作業部会において、同社が開発した「Wavelet OFDM」方式をベースとする技術が採択されたと発表した。

 IEEE P1901cは、2005年にPLC(Power Line Communication:電力線などのメタル線による高速有線通信)の標準規格策定を目的に発足したIEEE 1901作業部会を母体に、2022年5月に設置されたプロジェクト。通信条件として制約の多い環境で動作する高度な電力線通信技術を、ほかの通信媒体にも展開し利用することを目的に審議を行っており、有線・無線・海中と、さまざまなメディアで利用可能であるとしている。

 Wavelet OFDMは、同社が独自に開発した変調方式。PLCに関する標準規格「IEEE P1901」でベースライン技術の1つとして承認されたほか、高速化したHD-PLC(High Definition Power Line Communicatio)ないしBPL(Broadband over Power Line)と呼ばれる広帯域電力線通信の標準規格である「IEEE 1901-2010」の初版にて、国際標準として採用された。

 同社では、Wavelet OFDMをアンテナを利用して微弱電波による無線通信に適用した近距離無線通信技術「PaWalet Link」を開発し、11月10日に発表している。これにより、セキュアかつ通信範囲を制限可能な近距離高速無線通信が可能になり、従来困難とされていた海中でのIoT通信の実現にも貢献するとしている。なお、同技術の海中・水中IoTへの適用は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業の研究開発課題名「海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発」に採択され、技術開発と実証実験が進められている。

 この次世代通信規格により有線、無線、海中などのさまざまなメディアで利用可能な通信技術を1つの共通した半導体デバイスに実装可能なことから、社会の隅々までをカバーするネットワークの構築に貢献でき、また、IoT機器の導入コスト低減にも貢献が期待できるとしている。

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