3500円で2.5GBASE-Tへアップグレード、プラネックスのPCIe接続アダプター「GPE-2500T」を試す【イニシャルB】

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 プラネックスコミュニケーションズ株式会社から、デスクトップPC向けとなるPCI Express x1接続の2.5Gbps対応ネットワークアダプタ「GPE-2500T」が発売された。

 家庭内LANの2.5Gbps化に積極的な同社らしい低価格な製品で、実売が税込3761円と手に取りやすい価格設定が魅力の製品だ。その実力を検証してみた。

プラネックスの2.5Gbps対応ネットワークアダプタ「GPE-2500T」

プラネックスの2.5Gbpsシリーズに新ラインアップ

 10Gbpsに対応するインターネット接続サービスの登場や、Wi-Fi 6対応の無線LAN製品の普及により、1Gbpsを越えるネットワーク環境が身近な存在になってきた。

 すでに自作ユーザー向けのマザーボードやゲーミング対応ノートPCなどでは、2.5Gbps対応のLANポートが標準搭載されることも珍しくなくなってきた。さらに、今回取り上げるプラネックスから『ついに2.5Gbpsスイッチが税込1万円以下! 熱対策も万全なプラネックス「FX2G-05EM」』で紹介した製品も発売されるなど、徐々に環境が整いつつある。

 1Gbps以上のLAN環境と言うと、10Gbps化をという選択肢もあるが、スイッチやネットワークアダプタなどの機器の価格を考えると個人では手を出しにくい。こうしたことからも、現状は2.5Gbps化が現実的な解と言えそうだ。

 プラネックスは、こうした2.5Gbps化を現状では積極的にリードする存在だ。これまでにもUSB接続の2.5Gbpsネットワークアダプタ「USB-LAN2500R」や、2.5Gbps対応5ポートスイッチ「FX2G-05EM」などを販売してきた。そして今回、新たにそのラインアップに加わったのが、PCIe接続の2.5Gbps対応ネットワークアダプタ「GPE-2500T」というわけだ。

LANチップにはRealtek「RTL8125B」を採用

 本製品は、NICではお馴染みと言えるRealtekのチップを採用しているが、中でも最新のRTL8125Bを搭載することで、安いだけでない、さらなるメリットを生み出すことにも成功している。

 具体的には、「小さく」「消費電力」が低くなっている。この2つのメリットは、思いのほか、さまざまなシーンで効いている

サイズが小さくPCI Express x1でOK!

 それでは、実機をチェックしていこう。本製品は、PCI Expressスロットに装着する拡張カードタイプのネットワークアダプタとなる。

 ここでのポイントは、対応スロットが、PCI Express x1となっている点だ。10Gbps対応のネットワークカードは、低価格な製品でも「x4」対応となっているのが一般的で、装着できるスロットが限られる。

 x16スロットが2つあるマザーボードであれば装着に困ることはないが、小型のプラットフォームではx1しか空きがなく、装着が難しいケースも多い。その点、今回のGPE-2500Tは、x1対応となるため、デスクトップPCであれば、ほとんどのケースで装着に困ることがない。

 本体サイズも小さく、基板の面積は4×6.5cmほどで、PC内部が狭くても取り付けが可能となっている(ロープロファイルブラケットも付属)。

コネクタ

 自作PCはもちろんだが、オフィスなどで使われているスリムタイプやコンパクトタイプのデスクトップPCにも装着できるケースがあるため、さまざまなニーズに対応できる。

 しかも、見て分かる通り、ヒートシンクが小さい。

 10Gbps対応のNICの場合、発熱対策のために大型のヒートシンクが装着されるケースが多いが、本製品のヒートシンクはさほど大きくない。

 これは、そもそも2.5Gbps対応のため、10Gbps対応製品ほど発熱が大きくないこともそうだが、採用されているチップがRTL8125Bという新世代の製品となっていることで、消費電力が990mW(1W以下)と抑えられていることが大きい。

 10Gbps対応のネットワークカードの場合、製品によっても違いはあるが、消費電力は5W前後となるため、これと比較して5分の1程度で済むわけだ。

 オフィスなどで導入するPCなどの場合は、こうした細かな削減が重要になってくるケースもある。いずれにせよ、小型で内部が狭いPCでも装着でき、熱対策や消費電力に過剰に気を配らなくて済むのは、本製品ならではのメリットと言えるだろう。

理論値に近い2.5倍へ有線LANを高速化

 実際の実力も十分だ。以下はIntelの10Gbps対応LANカード「x520-T2」をSynologyのNAS「DS1517+」に装着し、本製品からiPerf3による転送速度を計測した結果だ。

iPerf3テスト(単位:Gbps)

上り(PC→NAS) 下り(NAS→PC)
2.5Gbps 2290 2360
1Gbps 946 946

 1Gbpsの環境では950Mbpsほどが限界となるが、本製品では2.3Gbps前後で通信ができている。単純に2倍以上の速度が期待できると言っていい。

 もちろん、実環境で常に2倍というわけにはいない。例えば、以下のようにNASに対してファイルを読み書きする場合、HDDへの書込速度がボトルネックになり、あまり速度が伸びない場合もある。

ROBOCOPY 5GBファイルコピー(単位:MB/s)

書込(PC→NAS) 読込(NAS→PC)
2.5Gbps 95.25 280.4
1Gbps 82.52 112.6

ジャンボフレームは16KBまで設定可能

 PC側のストレージをNVMe SSDなどにしておけば、読み込みに関しては2.5Gbps化のメリットが生きてくるが、NASへの書き込みは1Gbpsと大差ない場合も考えられる。このあたりは環境次第と言ったところだろう。

 なお、上記テストは、いずれもジャンボフレームを「無効」、つまり標準の1500のままで実施している。本製品はジャンボフレームを最大16KBytesまで設定できるが、今回のテスト内容では、9Kに設定しても大きな違いはなかったため、1500の値を掲載している。

安価で気軽に2.5Gbps化ができる

 以上、プラネックスの「GPE-2500T」を実際に試してみたが、コンパクトで扱いやすい製品と言える。価格も安いので、デスクトップPCを2.5Gbps化するときに、気軽に利用できるだろう。

 2.5Gbps化するだけであれば、価格も同等となるUSB対応製品(USB-LAN2500Rなど)も選択肢に入るが、やはり内蔵することで配線をすっきりできるメリットが大きい。自作PCのアップグレード用としてはもちろん、ビジネス用PCのネットワーク高速化にもお勧めできる製品と言えるだろう。

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