今週の文春砲、新潮砲はいずれも創価学会たたき。内容はたいした話でない。
過去に新潮などが元顧問弁護士などの言い分を鵜呑みにして批判記事を書いて裁判で完敗した経緯もあるので、書き方は慎重だが、元理事長(現在は長老会議に当たる参議会副議長)の息子で元職員である正木伸城氏の告白の形なので波紋はあるだろう。
正木氏の記事は、ほかの宗教と同じように学会も会員数の減少に悩んでいるということや、その延長線上でこれから無理な集金などしたらまずいとかいうなんということのない話だ。池田名誉会長についても、「気さくで心配りも行き届く優しさのある人物だった。何よりユーモアがあった」と誹謗しているわけでない。
ただ、タイトルは『創価学会”ロイヤル・ファミリー”に生まれて、「元理事長の子息」の私が経験した「公明党」と「池田名誉会長」』とかいう羊頭狗肉の思わせぶりなタイトル。発表の媒体を選ぶとか、タイトルについても注文をつけるとかすればいいものをと思う。内容的には、少なくとも真剣な議論に値する内容も含んでいる。
「週刊文春」の記事も、つまるところ、「熱心な信者はこんなようにしている」という指摘に過ぎない。在来宗教は江戸幕府によって葬式仏教にされてしまったままだから、それ以外のときは、檀家でもほとんど接触がないことが多い。
だが、親が死んで葬式をし、初七日とかなんとかや何回忌をいわれるがままにし、法名を親戚に笑われないようにつけ、納骨とかいろいろしたら相当な費用だし、寺の修繕でⅠ世帯が数百万円とかそれ以上要求されるのも珍しい話ではない。仏壇も一千万円を超えるものも何も珍しくなく、創価学会の仏壇はむしろ安い。
檀家の意見を聞きもせず、憲法改正や安保法制反対とか、僧侶たちが勝手に政治運動して檀家から集めた金を使っている。
神社の祭りに参加しないとか、参拝しないなどというのも、それを批判する方が信教の自由に対する理解が足りない。
日本人は良くも悪くも創価学会・公明党を知らなさすぎ
ただ、一方で、日本一の信者数を誇るという創価学会がどんな宗教で、連立与党の一翼を担う公明党とどういう関係なのか――かなり物知りな人でも、これをうまく説明できる人は少ない。
それ以前の問題として、「日本にはどのような宗教があって、それぞれどんな考え方か?」と外国人から聞かれても、回答できずに恥をかく日本人がどれほど多いことか。
日本史の授業でも、鎌倉時代に主な宗派が出そろったこと、江戸時代に檀家制度ができたこと、明治になって廃仏希釈があったことがほぼすべてで、近代史ではまったく扱われないので、幕末期以降に誕生した、「新興宗教」の教義や歴史は、ほとんどの日本人は知らない。
だが、それでは困るのである。そこで、『日本の政治「解体新書」: 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)では、創価学会と公明党の強さの実態と今後の課題について、外国人にも分かるようにというつもりで、客観的に論じてみた。
自分で言うのもなんだが、この本のなかで、いちばん「知らなかった」という方が多く好評だ。
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