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D2Cのホームブランドであるパラシュート(Parachute)は、プロの顧客を味方につけようとしている。
プロのデザイナーは、パラシュートのトレードプログラムを自身のプロジェクトやサービスで使用することができる。このプログラムは、20%の割引、適用対象となる税金の免除、商品プレビュー、専任の専門家チームへのアクセス、および無料の見本、配送、返品などの特典を提供している。メンバーシップは無料だが、認定を受けるには、買い物客がデザイン組織の有効な会員であること、デザインの資格、有効な業務ライセンス、またはウェブサイトとインスタグラムの参照などを提示する必要がある。
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このトレードプログラムは、同社の初期の頃から「なんらかの形で」存在していた。しかしパラシュートは昨年、米国のさまざまな市場を担当するトレードの専門家を採用し、より大きな目標を設定し、9月末にはトレードデザインスタジオ(Trade Design Studio)を開設するなど、トレード部門への投資を増やしたという。トレード事業は現在、同社のもっとも急速に成長しているチャネルで、1年足らずでトレード顧客からの売上が前年比112%の増加を達成した。
トレードのスペシャリストたちを採用
特定の層の人々にサービスや特典を提供することで、それらの人々を重視するのは、D2Cブランドが自社のビジネスを拡大するための一般的な戦術だ。顧客の獲得コストが増加し、場合によっては一部の広告チャネルの効果が減少してきた現状では、この方法が特に不可欠となってきた。
「当社はこの顧客を、当社がつながるべき最良の顧客基盤のひとつだと見なしている」と、同社の創設者でCEOを務めるアリエル・ケイ氏は述べる。「この顧客層は、当社の小売戦略においても重要な位置を占める。インテリアデザイナーの多くは小売店に行き、商品を触ったり組み立てたりするのが好きで、そこにクライアントを連れてくるのを好む。そのため、これら2つのチャネルは互いに親和性が高い」。
同社のトレード事業は現在、家具の収益の4分の1以上を占めている。パラシュートは2014年に創設され、2021年には収益が前年比で58%増加して、約1億5000万ドル(約209億円)に達した。同社はラグジュアリーのリネンの販売によって名前が知られるようになったが、家具の販売に事業を急速に拡大した。同社は昨年9月にはベッドフレームの販売を開始し、今年1月には長椅子とナイトスタンドのコレクションをリリースした。
同社は、インテリアデザイナーの行うプロジェクトを支援するトレードのスペシャリストを採用している。このスペシャリストたちの役割は、たとえばベッドルームやバスルームといった家の中のスペースに置く商品を見つけるなど、プロのデザイナーのニーズが確実に満たされるようにすることだ。これらトレードのスペシャリストは、各種のインテリアデザイン企業や個人のインテリアデザイナーに働きかけ、プログラムへの注目を集めることも仕事だ。
ケイ氏は次のように述べている。「当社はD2C特化の企業として事業を開始し、自分たちのニーズに特化したプログラムを望むインテリアデザイナーのオーガニックな関心を集めた。当社はこれらのデザイナーへの支援を切に望んでおり、可能な限り最高のエクスペリエンスを提供しようと考えている」。
デザイナー顧客を獲得する利点
これまでのところ、このプログラムの会員数は前年比で約120%増となっている。ケイ氏によれば、トレード顧客の平均的な注文価格は通常の顧客の2倍で、購入頻度も2倍、さらに平均返品率は半分だ。また、これらの顧客は最終的にクライアントをパラシュートと結びつけてくれる。
平均的な顧客とは異なり、プロのデザイナーは基準が高く、細部を鋭く洞察する傾向があると、デジタルコンサルティング企業のシーアイ・アンド・ティー(CI&T)で小売戦略ディレクターを務めるメリッサ・ミンコウ氏は語る。この顧客グループは、ホーム産業について非常に詳しい傾向があるため、これらの顧客の支持を得ることは難しいかもしれない。また、さまざまなブランドを物色する傾向があるため、ロイヤルティを完全に勝ち取るのは難しいと、同氏は述べている。
同氏は次のように述べている。「これらの顧客はブランドやアイテムを、自分たちが扱ってきたほかのさまざまなブランドや商品と比べることができるだろう。これらの顧客を獲得するのは非常に重要だが、彼らはおそらく、常にほかのブランドを抱えているということを認識するのも重要で、注目すべきだ」。
しかし、プロのデザイナーを顧客にするのは価値あることだ。このような顧客はテイストメイカーであり、トレンドを作り出し、その影響を受けたほかの人々が彼らの真似をする。多くの場合、彼らのデザインは、人々の購入の決定を左右すると、ミンコウ氏は述べている。
カテゴリー拡大がトレード事業拡大につながる
このような理由から、ほかのホームブランドも独自のトレードプログラムを作り上げた。家具会社のジョイバード(Joybird)にもトレードプログラムがあり、割引や、同社の3Dスペースプランナー(3D Space Planner)使い放題の特典を提供している。住宅改善ブランドのロウズ(Lowe’s)やホームデポ(Home Depot)も、パンデミックの初期のあとでDIY顧客の需要が低迷したときに、プロの買い物客を奪い合った。
「この層またはこのオーディエンスには、1対1の最終消費者には存在しないスケールのレベルが明らかに存在する」と、ミンコウ氏は述べている。「デザイナー、専門家、プロは、毎日少なくとも1つのクライアントのために購入の決断を下している」。
ウエストハリウッドにあるパラシュートのトレードデザインスタジオは、多くのショールームやインテリアデザインオフィスが立ち並ぶエリアにある。このスタジオはパラシュートの通常の店舗とは多少異なり(一般にも公開されてはいるが)、インテリアデザイナー向けに作られており、インテリアデザイナーが好んで調達するような主要な商品の横に、大量の見本が用意されている。ケイ氏は、同社がほかの市場にも別のデザインスタジオを開設することに関心を持っていると語る。
また同社は、家具にもさらに力を入れており、ケイ氏によれば、同社のトレードビジネスのなかでさらに成長することを期待している。
「当社は、カテゴリーの拡大を続けることで、トレードビジネスも成長し続けることを期待している」とケイ氏は語る。
[原文:DTC Briefing: How Parachute grew its trade business by 112%]
MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)