「先輩が懐かしい話を後輩が聞く」という図式ってよくあるけど、逆に「後輩の懐かしい話を先輩が聞く」っあんまりなくない?と思ったのでやってみることにした。
実際にやってみると、同じコンテンツでも懐かしさを感じるかどうかに違いがあっておもしろかった。それぞれの世代で感じ方がまったく違う。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー)
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飲み会などで後輩がいるときに、
「俺たちの若いときはさ、〇〇って曲が流行っていたんだ。知ってる?」「え?知らないの?若いな〜」「ジェネレーションギャップ怖い〜」
みたいな会話を聞いたことがないだろうか?もしくは後輩にしたことがないだろうか?
僕も20代のときには先輩から何十回もされたパターンではあるが、自分が30代になってみると無意識に後輩に同じことをしていることに気づいた。人間は繰り返す生き物。
しかし、よくよく考えてみれば、「先輩が懐かしい話を後輩が聞く」ことはあっても、「後輩の懐かしい話を先輩が聞く」という状態ってあんまりないのでは?とふと思った。
企画のルール
企画は以下の流れで行う。なお、ここからはわかりやすいようにそれぞれを「若者グループ」「年上グループ」という呼び方で進めていく。
- 若者グループはテーマに沿って懐かしい話をする
- 年上グループは黙ってそれを聞く
- 気になることがあったら、年上グループはベルを鳴らして会話を止めて質問する
- 質問が終わったら再び1へ
お題:懐かしい体験(遊び / 体験など)
では、さっそくやっていこう。
最初のお題は『懐かしい体験』だ。遊びやゲーム、学校での出来事など、自分が体験したことならなんでもOK。
懐かしい体験をホワイトボードに書いてもらい、それをもとに懐かしい話をしていってもらう。
ざっと見た感じでは「遊戯王」「ベイブレード」など、30代の自分でも知っている単語ばかりだった。幼少期に通った道である。
今のところはまだジェネレーションギャップは感じていない。10歳離れているとインド人くらい文化が違うと勝手に思っていたので安心した。
〜〜若者グループの会話〜〜
「ゲームはなにをやっていました?」
「小さい頃はWiiやDS Liteで遊んでいた記憶があります」
「僕もゲームはDS Liteから始まりました。思い入れがありますね」
「3DSの顔シューティングもハマって、ずっとやってました!」
「うわー、懐かしい!笑」
※ Wii:任天堂が2006年に発売した家庭用ゲーム機
※ DS Lite:任天堂が2006年に発売した携帯型ゲーム機
※ 顔シューティング:ニンテンドー3DSに内蔵されているシューティングゲーム
〜〜 再び、若者グループの会話〜〜
「ポケモンはやったことある?」
「初めてやったのはダイパ(ダイヤモンド/パール)でしたね」
「ですよね、ダイパ楽しかったなー」
「ポケモンカードをやっている人もいましたね」
「ゲームだとやっぱりスマブラですね」
「Wiiのスマブラはほぼ全員が持っているくらい流行っていました」
「スマブラは昔からあるよね」
「そうそう、DSのときから」
〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜〜
※ スマブラ:任天堂が発売した対戦アクションゲーム。64版は1999年発売、Wii版は2008年発売。
【年上グループからの質問】
Q. ニンテンドー64の初代スマブラは知っている?
〜〜若者グループの回答〜〜
「ゲーム実況で見たことがありますね」
「知ってるけれど、ニンテンドー64は触ったことないです」
「物心ついたときにはDSやWiiがあったので、昔のスマブラって考えるとそっちを思い浮かべちゃいます」
YouTubeに昔のゲーム映像はたくさん残っているから知っているのか
映像で見たことあるだけだと、自分たちの懐かしいにはやっぱり入らないんですね
博物館とかで「これが高床式倉庫だよ」と説明されるのと同じ感覚なのかも。レトロゲームは歴史的資料
【年上グループからの質問】
Q. スマホゲームは懐かしく感じない?
〜〜若者グループの回答〜〜
「小学生のときにパズドラをやっていました。でも、まだやっている人もいるから懐かしいとは思わないかも」
「親にバレないようにお小遣いでiTunesカードを買って課金していました。笑」
「スマホを初めて買ってもらったのが高校生だったから、ゲームあんまりやっていませんでした」
「小学生のときはキッズケータイだったのでゲームできないですしね」
「私もキッズケータイでした」
「小学4年生のときに自宅で使えるタブレット端末を買ってもらって、それでメールをしたりアニメを見たりしていました」
「僕は親のスマホを借りてYouTube見ていました」
[embedded content]
※ パズドラ:ガンホーが配信しているゲームアプリ。 2012年にサービス開始。
小学生がスマホ持つのが当たり前の時代かと思っていました。キッズケータイなんですね
うちの子どもキッズケータイを持たせています。
ネットはできないし、登録した人としか連絡できないので安全なんですよ
なるほどー!!
【年上グループからの質問】
Q. YouTuberは懐かしいと感じない?
〜〜若者グループからの回答〜〜
「あんまり記憶にないですね」
「ヒカキンは流行っていて、真似している人もいました」
「YouTuberって認識よりも芸能人に近い感覚かも」
「今も活躍してるから懐かしいとは感じないかもしれません」
YouTuberはまだ現役で活躍しているから、「ずっといる人」って感覚なのか
もしかしたら親がYouTube Kidsの設定をしている可能性もありますね。そもそも幼少期はYouTuberが見れなかったのかも
〜〜〜〜〜質問タイム終了〜〜〜〜〜
〜〜 再び、若者グループの会話〜〜
「懐かしい〜!僕も幼稚園のころに遊んだ記憶があります」
「あと、消しピンは学校でみんなやってました」
「僕の学校ではケシバトって呼んでましたね」
「みんなでやると盛り上がりますよね」
〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜〜
【年上グループからの質問】
Q. 消しピンってなに?
〜〜若者グループからの回答〜〜
「休み時間によくやっていました」
「対戦ゲームなので白熱したなー!」
「巨大なMONOの消しゴムがあって、勝つためにみんなが買ってました 笑」
「あー!でっかい消しゴムありましたね、懐かしい」
聞いてわかりました
僕の地域では定規で消しゴムを弾くのでジョギピンって呼ばれてました
え、僕はそれとも違います
シャーペンで定規を弾くゲームでシャーセンって呼ばれてました
地域差かな
定規とかシャーペンを使うのは危ないから消しゴムに変わっていったとかはありそう
20代の人たちに懐かしい話を聞くと、幼年期〜小学生くらいの話が中心になるんですね
3〜4年前が高校生ですからね
大学生からすれば高校生なんて最近の出来事なのかも
怖い話!
ちょっと今ゾワッとしました 笑
[embedded content]
※ こびとづかん: 全身タイツを着たようなこびとを少年が観察する絵本。2006年に発売。
こびとづかんは知っていますが、懐かしいという感情にはならないなぁ
「ああ、そんなの流行っていたな」くらいの感覚
懐かしさってそのコンテンツへの真剣さとか熱量が大事なのかもしれませんね
あー、たしかに
熱中している趣味だと半年前の出来事とかでも懐かしいと思いますし
今のところまったくわからないコンテンツはなくて安心しました
ゲームは大人でもやりますし、アニメは子供がいると見ますしね
こびとづかんのようにアナログなコンテンツのほうが知らないものが多そう
電子機器が持ち込めないから、学校での過ごし方はそれほど昔から変わらないのかもしれませんね
たしかに
消しピンも方式が違うだけでやっていることは同じですし
お題:懐かしいエンタメ(テレビ / 動画 / 音楽など)
続いてのお題は、『エンタメ』。
動画や音楽、テレビなどに関する懐かしいものについて若者グループに語ってもらう。
~~若者グループの会話~~
「NHKで見ていた番組は懐かしいって感じますね。ぐ~チョコランタンとか」
「小さい頃に見てましたー!」
「あ、パンツぱんくろうってわかります?」
「懐かしい!わかります!!!」
「トイレがしゃべるんですよね、昔の記憶すぎて内容はほとんど覚えてない 笑」
「僕は見たことないですね」
「ぜんまいざむらいはわかります?」
「そっちはわかる、懐かしい!」
〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜〜
【年上グループからの質問】
Q. パンツぱんくろうやぜんまいざむらいってなに?
~~若者グループの回答~~
「見ていたのが幼少期なので、内容は覚えていないですね 笑」
「パンツぱんくろうはトレイとカラスがでてくるアニメです」
「ぜんまいざむらいもアニメやっていた記憶はあるけど、どんな内容だったのかまったく思いだせない……」
「5分くらいの短い番組だった記憶があります」
「おかあさんといっしょのワンコーナーだった気がする」
※ パンツぱんくろう: おかあさんといっしょ内で放送されたショートアニメ。2004年〜2008年に放送。
※ ぜんまいざむらい:NHKで放送されていたテレビアニメ。2006年〜2010年から放送。全215話。
ここに来て知らない文化が輸入されてきた
ぜんまいざむらいはおぼろげに見たことある気がしますね。ただ、内容は一切わからない。
なんで見たことあるんだろう、不思議
パンツぱんくろうに関しては完全にはじめましてです 笑
NHKのショートアニメはころころ変わるし、おかあさんといっしょは見なくなっていくから、年齢が2〜3歳違うだけで話が合わなくなるかも
パンツぱんくろうを初めて知れてよかったけど、二度と口にしない単語だ……
〜〜〜〜〜質問タイム終了〜〜〜〜〜
〜〜 再び、若者グループの会話〜〜
「テレビ番組って他になにか見てました?」
「ピラメキーノは小学生のときに見てました」
「見てる人が多かったですよね」
「ダルダルイングリッシュってコーナーが好きでした」
「バラエティならエンタの神様が私は好きでした」
「ララライ体操を真似してましたね、懐かしい!」
「あとは、はねるのトびらとかはなんとなく見てたの覚えています。100円ショップで買い物するコーナーとか」
「あー、なんとなく覚えているけど、あれって何の番組なんだろう?コント?」
「小さい頃に見てたから記憶が曖昧ですよね」
[embedded content]
※ ピラメキーノ:はんにゃとフルーツポンチが司会の子供向けバラエティ。2009年〜2015年放送。
※ エンタの神様:日本テレビで放送していたネタ番組。2003年〜2010年放送。
※ はねるのトびら:キングコング、ロバート、ドランクドラゴン、北陽 、インパルスによるお笑い番組。2001年〜2012年放送。
〜〜 再び、若者グループの会話〜〜
「ヘキサゴンは幼稚園か小学生くらいのときに見ていました」
「おバカがいっぱいでてくるみたいな番組ですよね、なんとなく覚えています」
「僕はポケモンサンデーっていう番組が好きでした。ロバートとかしょこたんがでている」
「日曜の朝にやっていたやつ?」
「そうそう」
「逃走中は見てました?」
「好きでした!放送する日は『逃走中の日だ!』って急いで帰ってました 笑」
「さすがにもう逃走中じゃ興奮しなくなりましたね 笑」
「でもやっぱり一番人気だったのはイッテQですよね」
「わかります、僕らはイッテQが一番おもしろかった時代に見てますよね」
「放送した次の日はすぐに学校で話してました」
〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜〜
【年上グループからの質問】
Q. 「イッテQが一番おもしろかった」のはいつ頃の話?
~~若者グループの回答~~
「わかる、珍獣ハンターが始まったときは毎回おもしろかった」
「コモドドラゴンと走る回は腹抱えて笑いました」
「あの頃のイッテQはおもしろかったですね」
※ イッテQ:日本テレビで放送されているバラエティ番組。2007年から現在まで放送中。
イッテQに懐かしさは感じませんね
長年やってる番組って認識
若者グループと比較すると、我々は懐かしさだけがすっぽり抜けている
もしかしたら「あの頃のテキストサイトが一番おもしろかった」と同じ感覚かもしれませんね
あー、なるほど
自分たちの世代だけがおもしろさを知ってる的な
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[embedded content]
※ イナズマイレブン:ニンテンドーDSのソフトとして2008年に発売されたサッカーRPGゲーム。
※ ハイキュー:週刊少年ジャンプに掲載されたバレーボール漫画。2012年〜2020年連載。
※ 黒子のバスケ:週刊少年ジャンプに掲載されたバスケ漫画。 2009年〜2014年連載。
スラムダンクを見たことない世代なのか……
「自分は若くないんだ」と打ちのめされた気分になります
んー、今日の話を聞いてダメージを受ける感覚は僕にはないですね
私もないですねぇ
そうなんだーくらいの気持ち
30代前半って先輩も後輩も多いから、「自分がおじさんになった」「俺はまだ若い」の感覚の狭間なんですよね。若くいたい気持ちが根底にある……
コンテンツに接する濃さが全然違いますね。知ってるコンテンツの話だけれど、若者の話す内容への共感はできないので不思議
時間の長さが違いますよね
僕らが5分と感じているものが、彼らには10分にも20分にも感じてる。吸収力とか熱中力がまったく違う
お題:自由
最後はテーマをフリーにすることにした。
自由に懐かしいものを書いてもらい、自由に話してもらうことに。
~~若者グループの会話~~
「学校で言われていた迷信です。そういうのありませんでした?」
「霊柩車に親指見せると〜みたいな話は聞いたことがあります」
「あー、それはありますね!」
「ドクターイエローを見ると幸せになるとかも言っていました」
〜〜再び、若者グループの会話〜〜
「東日本大震災のことって覚えています?」
「小学生だったので記憶は曖昧なんですが、何が起きたのか全然わからなかった」
「みんなで机の下に隠れてました、怖かったのは覚えています」
「僕は東日本大震災のときから自分の記憶がある感じがするんですよね。自我が芽生えたというか。それくらい衝撃的でした」
〜〜再び、若者グループの会話〜〜
「音楽で懐かしいって感じるものってあります?」
「親の影響でいきものがかりが好きでしたね」
「僕もB’zやウルフルズは親の影響で好きになって、今でも聴いています」
「GReeeeN、ファンモン、ゆずあたりは中学生のときにみんな聴いてた気がする」
「私はゆずの名前は知ってるけど、ほとんど聴いたことはないです」
〜〜♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜〜
【年上グループからの質問】
Q. なにを使って音楽を聴いていた?
~~若者グループの回答~~
「そうそう、親にパソコンで音楽を入れてもらって」
「だから自分でCDを買ったことはないです。借りてきてiPhoneに入れるだけ」
「あと、自分では使ったことはないけど親がMDを持っていましたね」
「あー、小さいときに親が使ってた気がする。なんとなく記憶になる」
「最近だとSpotifyを使って音楽は聴くようになりましたね、便利だ」
このあたりは自分たちの時代とほぼ一緒ですね
CD→MD→iTunesという移り変わり
あと10年くらいしたらサブスク世代になるのかな
【年上グループからの質問】
Q. 自分が生まれる前の音楽とはどうやって出会う?
〜〜若者グループの回答〜〜
「昔のアニメの曲とかはゲーム実況者が歌っていて知りました。デジモンとかおジャ魔女どれみとか」
「あー、それは自分もあるな。歌ってみたで聴いて好きになるとか。最近だとFIRST TAKEとか」
※ デジモン:バンダイが発売した育成ゲーム。初代アニメは1999年放送。
※ おジャ魔女どれみ:東映アニメーションが制作する魔法少女アニメ。第1シリーズは1999年放送開始。
実況者かー、なるほど
歌ってみただけでしか聞いたことないとかも全然ありますもんね
情報摂取のハードルが低くていいですね
学生時代から色々知れて楽しそう
終わりの感想:子どもの1年は凝縮されている
おもしろかったですね
まったく違う世界を生きていると思ったけれど、同じ時代にいるんだなって感じられました
文化って地続きですからね
世代が違ってもコンテンツはそれほど変わらないのでしょう
コンテンツは同じでも、YouTubeやアプリがあることで自分たちと享受する方法が違うんだなって。周辺機器が違うから抱く感情も変わってくる
時間の感覚も違いますね
子供と一緒に戦隊モノ見ていても、1年であっという間にシリーズが変わってしまう。でも子供からしたらその1年ってギュッとしてて長いんですよね。
凝縮された貴重な1年だ
自分が見ていた親の30代の姿って長いじゃないですか?
でも自分が30代になると10年ってあっという間にすぎていくんですよ。時間の長さがやっぱり違う。
企画を体験してみた若者グループの感想
地元の友だちと話す懐かしいとはまた違っておもしろかったです!
初対面で話しても懐かしい感覚は一緒だと思うと不思議でした。住んでる場所は違っても通じるものがあるんだなって。
最初は不安だったんですが、話し始めると懐かしい思い出がいっぱいでてきて自分でもびっくりました。自分たちの懐かしい話しが年上の人にまったく共感されないのも不思議な感覚でした。
僕らよりもっと若い世代になっていくと、YouTubeやサブスクなどさらにコンテンツが細かくなっていくので、共通言語ってどうなるんだろうと思いました。みんなが同じように懐かしいって感じるものって少なくなっていくのかなって。これからどんな世界になっていくのか気になります。
いつもと違う脳を使って疲れた
自分の守備範囲にない感覚の話を理解しようとしていたので、脳が疲れ果てていた。終わったら年上チームの3人はげっそりしていた。
あと無性にスマブラがやりたくなったので、家に帰ってから久しぶりにやった。もちろん64のやつ。