ドイツには「ホッカイドウ」という品種の、赤くて玉ねぎのような形をしたかぼちゃがある。
北海道では見ないタイプのかぼちゃだが、ドイツではどんなスーパーにも置いてある、大人気の野菜である。
北海道にはないホッカイドウかぼちゃは、一体どこから来ているのだろう。
北海道にはない、HOKKAIDO かぼちゃ
私が住むドイツではかぼちゃの季節になると、スーパーやレストランである日本語をよく目にするようになる。
そう、ドイツでは「ホッカイドウ」という品種のカボチャがところどころで売られているのだ。
この写真のものは大きいが、大体1キロ前後の小ぶりのものが多く、玉ねぎのような形をしている。
ほかにも、スーパーではホッカイドウを使ったさまざまな商品が売られている。
レストランでも、スープやキッシュなど様々な料理で「ホッカイドウ」という単語を目にする。
日本から遠く離れた国で、私の実家である場所の名前をありとあらゆる場所で見かけるのはなんだか嬉しい。
ホッカイドウかぼちゃってなんだ
今やかぼちゃといえばホッカイドウ!というぐらいドイツではお馴染みのホッカイドウかぼちゃだが、一体どこから来たんだろう。
もともとは1990年代にシュトゥットガルトで日本食品の輸入をやっていた方が、北海道から持ち帰った種をもとにかぼちゃを栽培し、「ホッカイドウ」という名をつけたそう。
それからドイツ全国に広まり、今ではドイツ以外の国でも栽培されるようになった。
日本ではあまり目にしない赤オレンジ色のかぼちゃだが、日本ではウチキクリまたは打木赤皮甘栗かぼちゃという名前で存在するらしい。
打木赤皮甘栗かぼちゃは日本では西洋かぼちゃの一種として知られているそうだ。
かぼちゃの原産地はもともとアメリカ大陸らしいが、ドイツではホッカイドウかぼちゃと呼ばれたり、日本では西洋かぼちゃと呼ばれたり、アイデンティティが揺らぎまくりのかぼちゃである。
ドイツ人にとって「北海道」は地名よりかぼちゃ
ドイツで知名度の高いホッカイドウかぼちゃ。そのおかげで、ドイツ人に実家が北海道だと話すと例外なく「ああ、かぼちゃの!」というリアクションが返ってくる。
北海道が日本の地名であることを知っている人は結構いるが、人によっては「ホッカイドウって、実在する場所なんだ!」と脳内で点と点がつながった瞬間が見れるので楽しい。
ドイツ人の義理の父に関しては、私に出会うまで「ホッカイドウ」は誰かが勝手に作った言葉だと思っていたそうだ。
最初の頃は「ああ、かぼちゃの!」と言われる度にいろいろ説明していたが、最近は面倒くさくなって「そう、かぼちゃの北海道です」と答えるようになってしまった。
とはいえ、私としては北海道の知名度が上がってとても便利なので、これからも人気なかぼちゃでいて欲しい。