潰れたバイト先めぐり

デイリーポータルZ

群馬県で高校生だったころ、お世話になったバイト先がぜんぶ潰れた。4軒あって、1年以上続いたところもあれば、2週間で辞めたところもある。

ただし建物はまだあって、それぞれ別の店になっているようだ。今はどんな姿をしているのか見てみたい。跡地をめぐってみた。

単なる偶然だけど、巡ってみたさがある

高校時代のバイト先が全部潰れたと知ったのは随分前だ。

知った当初は「まさかだけど、私が何か悪い運とか撒き散らしていた可能性ってある?」などど、見えない力に思いを巡らしかけたりもしたが、そんなわけはない。偶然である。

残念なことだけれども、潰れるお店は、さまざまなやむを得ない理由によって、潰れるときには潰れてしまう。

でも店がなくなっても、建物が残ることは結構ある。

使用者が変わったあとも、たくましく生き続ける建物たちの「今」の姿を追ってみようじゃないか。

普段と違う視点で地元をうろうろするのはきっと楽しい

1軒目:ピザカリフォルニア(ある日急に、ピザロイヤルハットに変貌した)

まずは高校時代、一番長く居座っていたバイト先から探索したい。「ピザカリフォルニア」という宅配ピザ屋である。

ピザカリフォルニア、ご存知だろうか。

こういうロゴで
こんな店構えで
ソースの上にポテトサラダ、ベーコン、チーズがのっているだけのシンプルなピザ「ジャーマンスペシャル」などがある。あとモチと海苔がのっているピザも

略してピザカリとも呼ばれる。

創業は1986年と日本の宅配ピザ界では老舗の部類に入るのだが、今生きているのは50店舗強。東京都内に唯一あるのは田無店……という状況なので、知らない人は知らないのではと思う。

そんなピザカリはかつて群馬県にも数店舗あった。そして私が働いてたいた前橋駅前店は、ある日急に「ピザカリ」から「ピザロイヤルハット」に姿を変えた。2000年少し手前の出来事だ。

ちなみにピザロイヤルハットとは、四国などを中心に展開するまったく別の宅配ピザチェーンである。

おそらくオーナーが何らかの事情で、フランチャイズ契約を結ぶ先を急に変更したのだろう。いや、オーナーにとっては急ではなかったのかもしれない。とはいえ我々バイトは当時、たいそう驚いた。

そんな思い出の跡地に向かってみたところ、ピザ屋だった部分(1階の右側)は閉じられた空間になっていたが、ほかの部分には全部灯りがついていた
1階左側にはセレクト雑貨が置かれており……
見たことのないお面や、
これまた見たことのないお面が、張り付いていたのだった。ちなみにこれは、コートジボワールのバウレ族によって作られた「プレプレマスク」というものらしい

想像してみてほしい。地方都市の駅前でバウレ族が作ったお面が販売されている光景を。端的にいって偉業である。

 

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