かつて心霊写真がブームになったことがある。子供だった僕は、家にある写真をひっくり返し、その中から心霊写真の疑いがありそうなものを強引にピックアップして友達と見せあったりした。テレビや雑誌でもよく特集が組まれ、恐ろしい写真の数々が紹介されていた。そんなのを見るたびに当時の僕は文字通りがたがたと震えていたものだ。
だけどあれは本物だったのだろうか。いや、そんなはずはない。だって本物だったら怖いから。
※2007年1月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
長年の謎が解けた
当時テレビや本などで見た心霊写真はえらく怖かった。そういうのを見てしまうと呪いがうつるような気がしたものだ。闇にぽっかり浮かぶ人の顔だとかあるはずのない場所からにょきっと伸びる手だとか、今思い出しただけでも怖くなる。
時は過ぎ、そんなことすっかり忘れていたある日、友達からこんな話を聞いた。迷彩柄のジャケットを森で落としたら完全に溶け込んでしまい探すのにずいぶん苦労した、と。
心霊写真と迷彩ジャケット、一見まったく関連のなさそうな事柄だが、このとき僕の中で点と点がつながったのだ。そうだ、これがトリックだったんだ。あのとき恐れていた心霊写真が作り物だということを実験により証明したい。
今回用意したのは迷彩柄のブランケット。米軍放出品を扱っているお店で5000円くらいで売っていた。本当はつなぎの迷彩服を買いに行ったのだけれど、店主に「こっちの方が柄的に森では見つかりにくいし実用性もある。よく売れているからこちらにしなさい」と言われたのでそのまま従って買ってきた。いま考えるとあの人は何者だったのだろう。
とにかくこのブランケットを持って森へと向かった。
まあ見てくれよ
ではさっそくこのブランケットの使い方をお教えしよう。手始めに木製の水飲み場にブランケットをはらっとかけてみる。
するとどうだろう、水飲み場が消えたではないか。迷彩柄がすっかり背景の一部となってそれに包まれた水飲み場が消えたのだ。すっげー。水飲み場ははじめっから十分見えにくかった、などという意見はこの際無視だ。
同じように倒木にかけるとやっぱり倒木が消えるぞ。まじでー。
憧れの道具が今手元に
家の中で広げてみたときは逆にかなり目立っていたので不安だったのだけれど、フィールドに出るとブランケットはその実力を十分に発揮してくれた。
ドラえもんの道具に、かぶると人目を避けられる「いしころぼうし」というのがあったが、まさにこれがそれだ。あの頃の未来の道具が5000円で手に入るなんて、さすがは21世紀だ。
こうなるとあらゆるものを消して回りたくなるが、今回の目的はあくまでも心霊写真の種明かしだ。そのためにこの迷彩ブランケットをどうやって使うのかというと。
こういうことだ。
ブランケットを足元から首まで引き上げると体が消えて頭だけがぽっかり浮かび上がるだろう。宙にぽっかりと浮かんだ顔、そう、これこそが心霊写真の正体だったのだ。
なんだか僕一人興奮しているような気がするので、実際にこれを使って心霊写真っぽい写真を撮ってみせたいと思う。驚くなよ。
上の写真では僕を含め3人の人が写っている。ところが僕が首まで迷彩ブランケットをまとうと。
二人プラス一霊となり、心霊写真ができあがるのだ。
撮るときのポイントとして、ピントは前の二人に合わせ、後ろの霊は少し下がり気味に、そして全体的に暗めに写真を撮るように心がけよう。するとどうだろうこの霊っぽさ。もうちょっと苦しげな表情をしたらよりよかったかとも思ったのだが、そうするとたぶんリアルに怖いのでやめた。
楽しかったです
心霊写真を見せられたおかげで夜トイレに行けなくなってしまっていた諸君、これでもう怖くないだろう。そう、あの写真は実はこんなトリックでできていたのかもしれないじゃん(本物なのかもしれないけどね)。
とまあせっかく実用的なブランケットをどうでもいいことに使ってしまって申し訳なく思っているわけですが、迷彩柄って森の中では本当に見えなくなるのだ、ということを再確認できただけでも収穫だったと思います。あたりまえのことなんだけど、やってみるとすごく楽しいので機会があったらみなさんもどうぞ。