まさかの「自分の精液アレルギー」になってしまった男性が医師の治療で安心して射精できるように

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世の中にはさまざまなアレルギーが存在しており、非常にまれではあるものの「自分の精液」にアレルギー反応を起こしてしまう事例もあります。医学誌の「Urology Case Reports」に掲載された症例では、射精後にさまざまな症状に悩まされていた男性が、医師の治療によって再び安全な射精ができるようになったと報告されました。

Post orgasmic illness syndrome successfully managed with antihistamine: A case report – ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.eucr.2022.102189

Finally ready to mingle: doctors cure man’s decade-long allergy to his orgasms using commercially-available medicine
https://www.zmescience.com/science/orgasm-allergy-common-antihistamines-treatment-92462452/

症例報告で取り上げられている27歳の男性は、「射精後にせき・鼻水・くしゃみ・前腕のじんましんといった症状が現れる」と訴えて病院を受診しました。男性が訴える症状はマスターベーションなのかセックスなのかに関係なく射精と共に現れ、これらの症状のせいで男性は積極的な性的・恋愛活動を避けるようになってしまったとのこと。

男性の症状は、18歳の頃に尿道から精管に細菌が侵入することで起きる急性精巣上体炎を患ってから始まったそうです。これまでに泌尿器科や耳鼻咽喉科、感染症専門科、アレルギー専門科など複数の医療機関を受診したものの、症状が改善することはありませんでした。


そして、今回症例を発表したWilliam Beaumont Hospitalの泌尿器科を受診したところ、医師は射精後に慢性的な身体的・認知的症状が現れる「postorgasmic illness syndrome(POIS)」という症候群であるという診断を下しました。

POISは射精直後に倦怠(けんたい)感・発熱・気分障害・記憶障害・集中力の欠如・鼻づまりなどのインフルエンザに似た症状が現れる病気であり、ほとんどの症状は射精から2~7日ほどで自然に消えるとのこと。POISは2002年に最初の症例が報告されて以降、全世界でも60件未満しか文献報告がない珍しい病気ですが、潜在的な患者数はもっと多いとみられています。

何が原因でPOISを発症するのかは不明ですが、臨床症状やアレルギーテストの結果などから、「自分の精液に対するアレルギー反応」であるという仮説が有力です。通常は自分の精液にアレルギー反応を起こすことはありませんが、不妊手術などの外的要因によって免疫系が精液に含まれる化合物をアレルギーを異物と認識し、攻撃するケースがあると考えられています。今回の場合、男性が18歳の時に煩った急性精巣上体炎がPOISのトリガーになった可能性があるとのこと。

POISは症例数が少ないため明確な治療法は確立されていませんが、医師は一般的なアレルギー治療薬である抗ヒスタミン薬を用いて治療を開始。複数の候補を試したところ、「アレグラ」という商品名でも知られるフェキソフェナジンを毎日服用することが効果的であるとわかりました。フェキソフェナジンを服用することで射精後に現れる症状が90%減少し、男性は再び性的活動を再開できたと報告されています。


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2022年11月13日 22時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1h_ik

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