アニメ『NIGHT HEAD 2041』平川孝充監督インタビュー、独特の雰囲気をどのようにして再現していったのか?

GIGAZINE



1992年~1993年に豊川悦司&武田真治主演で深夜ドラマとして放送されて人気を博した『NIGHT HEAD(ナイトヘッド)』が、原作者・飯田譲治さんがシリーズ構成・脚本を手がける新作アニメ『NIGHT HEAD 2041』として復活します。本作の監督を務めるのは『revisions リヴィジョンズ』CG監督などを担当した平川孝充さん。ドラマから数えると30年近くが経過した作品を、どう2021年にアニメ化したのか、話をうかがってきました。

『NIGHT HEAD 2041』公式サイト
https://nighthead2041.jp/

GIGAZINE(以下、G):
平川監督のところに最初に『NIGHT HEAD 2041』の監督になって欲しいと話が来たのはいつごろのことだったのでしょうか?

平川孝充監督(以下、平川):
最初にお話をいただいたのは2年ぐらい前でしょうか。『NIGHT HEAD』の企画があり、白組で映像制作できないかとお話があったのが最初ですね。

G:
『NIGHT HEAD』についてはご存じでしたか?

平川:
名前を聞いた瞬間に「これは、あの『NIGHT HEAD』?」と思いましたが30年近く前の実写ドラマ作品でしたので、別の企画かなと思ったのが最初のリアクションです。実際、『NIGHT HEAD』のCGアニメーション化だということを知って「これは面白そうだな」と感じたと同時に効果的に描ける部分と難易度が高い部分があるなとは感じていました。

G:
最初から平川さんに監督をという話だったのでしょうか。

平川:
最初は「白組でアニメを制作する」というぐらいまでの話だと記憶しています。その後、3DCGアニメーション制作における様々なリソースをバランス良く、かつ飯田さんの脚本を効果的に映像化するため、一元的にコントロールすることでクオリティレベルも上げられるだろうというプロジェクト全体での判断があり、監督としてやらせていただくことになりました。

G:
「これはもう、自分がやるしかないだろう」と乗り出した感じでしょうか?

平川:
乗り出していたかもしれないですね(笑)、個人的にはお話をいただいて光栄でしたし、「しっかりと、良いものを作ろう」と決意したというところです。

G:
平川さんは監督という役職を担当されるのは本作が初かと思うのですが、いざ実際に監督をやってみて、これまでイメージしていた監督職と違う部分はありましたか?

平川:
これまではCG監督として現場スタッフとのやり取りや監督とのお仕事もさせていただいてきた経緯もありましたので、監督のイメージというところではそれほど違いは感じませんでした。ただ、実際には全てのスタッフに方向性を示し、クオリティを上げるための努力や工夫を全ての工程において行っていくことへの大変さというのは感じましたし、良い経験をさせていただいたと感じています。飯田さんと直でやりとりする時間も多く、興味深いお話も色々聞かせて頂き、制作中も楽しく携わらせていただきました。

G:
今回、シリーズ構成・脚本を原作者でもある飯田譲治さんが手がけておられます。実際にやりとりもされているということですが、どういった印象の方ですか?

平川:
お会いさせて頂くまでは、TVドラマ『NIGHT HEAD』の印象から飯田さん自身もシリアスで繊細な雰囲気の方というイメージを勝手に想像していたので(笑)、直接会ってざっくばらんに話ができるだろうかと少し心配していたのですが、気さくに声をかけていただ頂きましたね。オカルト的なお話や、作品は振り切れていないと面白くない!と、仰られていたのが印象的で、毎回とても楽しくご一緒させていただきました。

G:
飯田さんが脚本を手がけるのはどの段階で決まったのですか?

平川:
自分がこの企画を伺った時点で、すでにシナリオは飯田さんがほぼほぼ書き上げていた状態でした。そこに自分が参加し始めたという感じです。もともとは24話で構成されていたのですが、今回は1クール12話ということで、24話構成を12話構成にブラッシュアップというか、精度を上げて話しをまとめるという流れがありました。

G:
公式サイトに寄せられた「メインスタッフからのコメント」の中で、監督は「アニメ化となると表現が難しい尖った企画だなと思いました」と表現しています。どのあたりが難しそうだと思った部分なのでしょうか?

平川:
TVドラマでの、豊川悦司さんと武田真治さんの兄弟の繊細なやりとりや、あのじっとりするような『NIGHT HEAD』独特の雰囲気の部分ですね。ああいった雰囲気は、3DCGだと綺麗になりすぎてしまって、絵面で表現するのが難しいのではないかと思いました。

G:
実際に1話と2話を見てみると、「これは『NIGHT HEAD』だ」という雰囲気がすごくでていました。

平川:
そう言って頂けると嬉しいですね。ありがとうございます。

G:
TVドラマ版をそのままCGに入れ替えたわけではなく、話の筋も変わっているのに、なぜこんなにも『NIGHT HEAD』ぽいのだろうかと見ていても不思議なぐらいなのですが……なぜなんでしょう?

平川:
画面に対する湿っぽさは、意識してレンズ効果として入れていて、あと、かすみがかったような街並みというのも意識しました。さらにシチュエーションを暗めに設定し、らしさを演出しているのもひとつの要因かと思います。また『NIGHT HEAD』は間が重要な作品だと思っていたので、TVドラマ版の間の取り方は少し意識しています。

G:
能力発動シーンもド派手な演出で、アクションも動きまくって、驚きました。この派手目な見せ方というのは、脚本の方向性として最初からそうなっていたのでしょうか。それとも、3DCGという手法で作るからには派手にやろうという決断があったのでしょうか。

平川:
どちらかといえば後者寄りですね。勿論、脚本の中にあるものを映像で表現していくのでアクションシーンが先にあるわけではありません。ただ、若い方の中には『NIGHT HEAD』という作品を知らないという人もいると思いますので、そういった方に見てもらえるような要素として、やはり超能力による破壊シーンは必須だろうと思っていました。その上で、単なる「能力バトルもの」にはならないように、『NIGHT HEAD』らしさというところでバランスを取りながら、兄弟の苦悩や不条理な社会との繋がりみたいなところはなるべく意識して作っていきました。

G:
タイトルに「2041」と入っているように、舞台は2041年です。20年先の2041年の世界は、当然ですが誰も見たことがないものなのですが、「こんな感じにしよう」というのはどのように作っていったのですか?

平川:
最初に脚本をいただいたとき、飯田さんと「2041年の東京のイメージはどんなものですか?」について話をさせてもらいました。本作では霧原兄弟と相対する存在の黒木兄弟が出てくるんですが、その組織との対峙が明確に描かれる作品なので、組織側はどういう思想なのか、どういう社会の成り立ちなのかというところから逆算して構築しています。ディストピアというほど極端な世界ではありませんが、思想統制が敷かれているのが当たり前という社会。でもそこに暮らす人たちにとっては当たり前のことなので、皆が殺伐としているわけではない、という世界観になっています。また今回、INEIの富安さんにコンセプトアートを担当していただき、2041年の渋谷を「荒廃しすぎず、でも未来すぎない」未来ではありながら突拍子も無い高度な科学技術に溢れている世界ではなく、もしかしたら20年後にあり得るかもしれない世界という現実味を残しつつ、前時代的な要素を混ぜたアンバランスな風景を3DCGでクオリティ高く構築していますので、兄弟の物語を支える背景としても是非注目していただければと思います。

G:
今回、キャラクターの動きは手付けなのでしょうか、モーションキャプチャーなのでしょうか。

平川:
今回はアニメーターが芝居の細部をコントロールできるように手付けで作っています。

G:
以前、『revisions リヴィジョンズ』放送時期にインタビューをさせていただいた際、平川さんは谷口悟朗監督から学んだこととして「芝居」を挙げておられました。CGの場合、「芝居」というのはどういうことをさせるのが「芝居」の付け方になるのでしょうか。

平川:
『NIGHT HEAD 2041』は比較的動きのあるシーンが多いですが、会話シーンや超常現象を目の当たりにし驚いたり戸惑ったりするところでも、必ずリアクションがあります。会話であれば、相手と目線を合わせているのか、それとも目線は伏せ気味にするのか、相手の言葉を遮って話すのか、促されて口を開くのかなど、キャラクターの性格や置かれている状況で都度変わってくるので、そういう点についてアニメーターの方と一緒に、よりよい答えを考えながらつけているという感じです。

G:
普通のアニメであるようなリテイクはCGアニメでも発生すると思いますが、どのような方法で出していくんですか?作画と同様に、手書きが主ですか?

平川:
基本的には担当演出がアニメーションの芝居をチェックして修正を出します。作画の事例と同じように、手書きで修正指示を入れることもありますし、実際に自分で動いて見せてニュアンスを伝えることもあります。たとえば、ポーズを撮影して「このポーズでお願いします」というのもありますし、動きを録画して「ここからここまで、こういう動きでお願いします」ということもあります。あとは、3Dツールを使える場合は直接カメラワークやモーションを微調整する場合もありますね。

G:
なるほど、あらゆる方法を駆使するんですね。

平川:
そうですね、内容に合わせて伝わりやすい方法で指示をだしていることが多いです。

G:
リテイクや修正にあたっては時間的な制約も出てくると思います。そういうときに「ここは譲れない」という一線として、どういった基準を置いていますか?

平川:
まず、キャラクターの動きが演出内容に合っていない場合は勿論ですが、このキャラクターはこういう立ち方はしないとか、そういったキャラクター性の部分は最後まで粘って調整をお願いしています。あと、アクションシーンなどで音が付いたときのテンポに関しても意識してつけてもらっています。

G:
前回インタビューを行った際に聞きそびれてしまったのですが、平川監督はどのようにCG畑に入ることになったのですか?

平川:
最初は映画や映像に興味があったのですが、専門学校でCGを学べるということを知ってからですね。キャリアとしては、キャラクターを動かすところからで、CGアニメーターからということになります。初めて触ったのは2000年ごろでしょうか。

G:
この20年でCGはかなりの進歩を遂げたと思いますが、その流れの中に身を置いていて、大きな転換点だったと感じるものはありましたか?それとも、シームレスな変化だったのでしょうか。

平川:
アニメ業界だけの話というよりも、ゲーム業界のCGの進歩や、実写映画のVFX技術、ハードウェアの進化、インターネットの普及による情報量の増大など、全て含め積み重ねがあって今があるという印象なので、波はありますがシームレスに進歩している印象を持っていますね。

G:
CG映画のメイキング映像を見ていると、皆さんがPCを使いまくっている姿が出てきます。本作だとPCはどれぐらいのスペックのものを使うものなのでしょうか。

平川:
その点では、スペックは「とにかく高いものが必要」というわけではなく、扱う人、モノによって、ということになります。たとえば、アニメーターは動きを確認する為に常にタイムラインを進めたり戻したりと頻繁に繰り返しますが、効率的に作業を進めるために軽い状態のモデルを扱うので、そこまでのハイスペックマシンは必要ありません。一方で、破壊エフェクトやスケールの大きい爆発などを担当するような役割の人は、物理シミュレーションで計算時間が必要だったり、そもそも扱うデータが大容量のデータになったりするのでスペックが高めに設定されていたりします。

G:
ソフトは何がメインなのでしょうか?

平川:
『NIGHT HEAD 2041』を製作している我々のチームは3ds Maxがメインで、コンポジットではNukeがメインです。After Effectsも使っています。

G:
ソフトの選定基準は「みんなが慣れているから」などでしょうか?

平川:
そうですね、我々のチームは3ds Maxをメインツールにして10年ぐらいになるので、作業をアシストするスクリプトやツールを作ったりして比較的カスタマイズされた状態なんです。また、今までのノウハウや資産も当然蓄積されていますのでもっとも効率良くクオリティの高いものを目指す為には長年使ってきたツールを使うのが一番ですね。勿論、表現によっては別のツールを選ぶことも当然あります。

G:
コロナ禍で、ちょうど緊急事態宣言の影響がある中での制作ですが、どういった形の影響がありましたか?

平川:
ほとんどのスタッフがリモートワークへ移行したタイミングではコミュニケーション量に気を遣いました。みなさん同じだと思いますが、セクションリーダーを中心になるべく会話をして、定期的なミーティングを開き、進捗確認をして問題点や困っていることはないかなど聞いたりしていました。スタッフ個人が孤立しないようにという感じですね。

G:
『NIGHT HEAD 2041』は、どれぐらいのスタッフ規模で作られているのですか?

平川:
映像制作に関わるスタッフですとおよそ70~80名ですね。

G:
こういった作品の場合、どの部分に携わる人が多いのでしょうか。

平川:
キャラクターを3DCGで動かすことになると、アニメーターの割合が一番多くなりますね。

G:
CG関連では、「CGだからって何でもできるわけではない」という声を聞くことがあります。『NIGHT HEAD 2041』で、さらっとこなしているように見えているかもしれないけれど、作り手としてはかなり頑張っているぞというシーンはありますか?

平川:
やはり破壊シーンでしょうか。超能力を発動して、ものが壊れたり、建物が壊れたりというところは他のカットに比べ負荷がかかっていると思います。その他にもキャラの細かい芝居やアクションカット、ディテールがあり説得力を生む背景など、エフェクトだけでなく、他の要素も同等レベルで気合を入れて作って貰っているので色々なシーンを是非見ていただければと思います。

G:
確かに、超能力の発動でものが壊れまくっていますね(笑)。そのあたりの描写は、ある程度、現実のシミュレーションの延長線上でやっていたりするのですか?

平川:
そうですね、基本的に物理現象はシミュレーションをかけて作っていきますが、大抵はそのままでは使えないんです。自然であるがゆえに、心には残らないというか。

G:
なるほど……。

平川:
なので、そこに演出として意図した動きを加えることで、より心に残るような動きを目指しています。つまり、物理的な動きをさせた後に、手で動かして意図した位置、見た目に見えるよう調整していく感じです。あとは時間を伸縮させるというか、加速させたり遅くしたりという効果を入れて、テンポや外連味をだしてもらうことが多いです。

G:
ということは、キャラクターだけではなく、破片にも演技をつけているようなイメージでしょうか。

平川:
そうですね。特に、カメラ手前側にある大きな破片はいい位置に置きたいということで、担当者が手で動かしていることが多いです(笑)

G:
今回、この『NIGHT HEAD 2041』を作るにあたって、どれぐらいの時間が費やされているのですか?

平川:
だいたい、映像制作開始からですと1年ぐらいでしょうか。その前の1年でプリプロ、モデルの準備やシナリオ・脚本・コンテの整理をしているので、全ての工程だと映像完成まで2年ぐらいだと思います。

G:
手描きのアニメだと脚本の次は絵コンテを作りますが、本作はどのような順で作られたのでしょうか。

平川:
脚本が上がって次に絵コンテというところは同じですが、その後、絵コンテを紙芝居のように動かすVコンテを作ってから3Dの作業を開始した、という形です。

G:
効果音などもすごいのが入っているなと思って見ていたのですが、これはどれぐらいのタイミングで入れたものなのでしょうか。

平川:
今回はつけていただく音の要素がかなり多いことが予想されたので、なるべく映像が完成近くになってからつけてもらえるようなスケジュールでお願いしています。たとえば超能力で「サイコキネシス」といわれても、真っ白なコンテだけだと音を想像するのは難しいだろうなと。

G:
確かに。

平川:
それなら、実際に破壊されている絵を見ていただいて、そこに音をつけてもらった方が全体的なクオリティも上がるだろうと考えたので、ほぼほぼ完成した絵につけてもらっています。絵を揃えていくという大変さはありますが、結果として良い音をつけていただけることになるので、そこは映像制作側のスタッフも頑張ってくれているところですね。

G:
アニメの音の要素は効果音の他に劇伴がありますが、劇伴はどのように決めてつけていったのでしょうか。

平川:
音楽は前半話数のレイアウト作業が始まってから暫くして、1話の映像がほぼ形になった時に、今回劇伴音楽を担当いただく、やまだ豊さんからデモをいただきまして、シーンの流れに合わせる形で音楽をつけていただきました。それが非常に良かったので、音響監督の明田川さんと相談して、全話通してそのような作り方でお願いすることになりました。音楽は今回の『NIGHT HEAD 2041』を表現するうえで無くてはならない重要な要素であると思っています。

G:
オープニング映像とエンディング映像をVコンテ状態で見せていただいたのですが、曲に合わせていろいろな演出指示が書かれていました。

平川:
オープニングとエンディングについては、最初に楽曲のイメージをお伝えして、もらったデモを聞いてイメージを膨らませ、映像の流れはこんな感じかなと演出を作っていきました。ですので、細かい部分は楽曲に合わせて作っていったという感じですね。どう流れてどう終わるかをイメージしておき、最後は実際の楽曲に合わせて細かくはめていったという感じです。

G:
本作で「ここが挑戦的ではないか」という部分はありますか?

平川:
TVアニメという枠組みの中で、クオリティを突き詰めているという点でしょうか。背景含めた空間込みで3Dの作品として、完成度の高いものができているのではないかと思います。あとは撮影処理でしょうか。3Dの特性を生かして被写界深度、ボケ味を操れるので、現場にはかなり頑張って作ってもらっています。

G:
本作は「これは『NIGHT HEAD』だ」と納得のアニメーションですが、作品によっては素人目に見ても「これはさすがにおかしいのでは」といったCGの動きが見られることがあります。具体的にどこをどう直せばよくなると指摘することはできないのですが、自然に感じられないCGアニメーションは、なにが原因で生まれるのでしょうか。

平川:
一概に「これ」というのは恐らくないと思います。作風によって付け方や見せ方というのは変わってくるもので、たとえば、子ども向けのアニメーションなら子どもが視認しやすいようなポーズで止めることがあります。大人向けで、自然な動きを求められる作品では、無暗に大袈裟なポージングをとらせないとか……もちろん、演出によってその動きが相応しいかどうかという所が重要になってくるのだと思います。ただ、どんな作風でも基本的なアニメーターの力量というのはあるとは思います。あとは、スケジュールや予算など制作体制の違いによって生まれる差は視聴者からは見えない部分ですが確実に存在しますね。

G:
2D作画だと「絵の巧拙」はわりとわかりやすいですが、CGでも「巧拙」はわかるものでしょうか。

平川:
基本的には2D作画アニメと考え方としてはあまり変わらないのではないかと思います。ポージングの良し悪しなどに関しては、手描きと立体ではそこまで違いはありません。CGモデルは手足を動かせば絵ができてしまいますが、手描きと同じでポージングの良し悪しをしっかり突き詰めないと良い絵にはならないということですね。

G:
作画であればデッサンなど「こういうことを練習することで上手になるよ」という指針になるものがいろいろありますが、CGの場合は、どういったことが鍛錬になるのでしょうか。

平川:
我々のチームのアニメーターだと、リーダーの呼びかけで定期的にクロッキーやポーズの勉強など、実際に手で描くということを日々やっています。目で見たものを手でアウトプットする際に脳内で理解し整理することで精度が上がっていくのだと思います

G:
それは、実際に鍛錬の成果が仕事にも出てきていると。

平川:
そうですね、やっぱりポージングがよくなっていたりするのは感じます。自然に見せることもそうですが、キャラクターに個性がでて魅力的な絵が増えていると思います。

G:
本作などを見て自分もCGアニメを作ってみたいと考える人に向けて、何かやっておいた方がよいというアドバイスはありますか?

平川:
まずは「どういうことをしたいか」が大事だと思います。アニメーターとしてこういうことがしたい、こういうレベルまで行きたいという人から、背景を作るアーティストになりたい、ゴリゴリの破壊系エフェクトが好き、とかいろいろあるので、一概に「これをやればOK」というのは伝えるのは難しいのですが、自分が良いと感じたものとそうでないもの、その違いがどこにあるのかを見極める能力はこの業界では重要になってくると思います。つまり「見る目」ですかね。

G:
なるほど。

平川:
「見る目」が鍛えられている人はおのずと成長していくと思います。あとは、何よりもモノづくりが好き、映像制作が好きという事であれば学ぶことに負荷を感じないので自然と成長していきますね。楽しめるというのは能力としてかなり強いと思いますよ(笑)

G:
最後に、『NIGHT HEAD 2041』でぜひ見て欲しい、あるいはここは見応えがあるというポイントを教えてください。

平川:
飯田譲治さんが新たに生み出した『NIGHT HEAD 2041』の物語を映像としてお届けできるということで、制作している私たちもみなさんに見ていただけるのを楽しみにしています。霧原兄弟の物語がどうなっていくのか、そこに黒木兄弟の物語が加わり絡み合っていくことでより大きな展開になっていきます。この2組の兄弟の関係はぜひ見ていただきたいと思います。また、映像や音の面からも高いクオリティを目指して製作していますので、「NIGHT HEAD」を知っている方もそうでない方も楽しんでいただけるものになっていると思いますので、是非ご覧いただければと思います。

G:
ありがとうございました。

『NIGHT HEAD 2041』は2021年7月14日(水)24時55分から、フジテレビ「+Ultra」で放送開始。ほか、関西テレビ、東海テレビ、テレビ西日本、北海道文化放送、BSフジで放送されます。また、FODで独占配信が決定しています。

TVアニメ『NIGHT HEAD 2041』 メインPV – YouTube

なお、原作者でありこのアニメのシリーズ構成・脚本を担当する飯田譲治さんへのインタビューも後日掲載予定です。お楽しみに。


<つづく>

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