一時代の終焉か。マスク氏による Twitter の大刷新へのビューティインフルエンサーの反応

DIGIDAY

Twitterの認証バッジを持つインフルエンサーたちは、イーロン・マスク氏の有料認証モデルが自分たちにとってどのようなものになるのかを懸念している。そして、Twitterで成長中のビューティコミュニティからはさまざまな反響が起きている。

有料認証に対するインフルエンサーの意見

Twitterの新しいオーナーであり、世界の長者番付1位のマスク氏は、11月1日、公人に対するTwitterのブルーチェック認証を月額8ドル(約1200円)で提供すると発表した。その機能について詳細は不明だが、「現在のTwitterの領主と小作人のシステム」の終わりを告げるという同氏のツイートの文言からは料金を払えば誰でも認証マークが利用できるようになることが示唆されている。Twitterの献身的なクリエイターチームと何年も協働してきたビューティインフルエンサーにとって、現在の問題は新オーナーのもとで自分たちの役割がどのようなものになるかということだ。

Twitterで活動しているビューティインフルエンサーの数人に、認証をサブスクリプションベースにするというマスク氏の決定について意見を聞いた。

ディオールビューティ(Dior Beauty)の米国のスキンケアエキスパートで、スキンフルエンサーのショーン・ギャレット氏は次のようにツイートした。「Twitterの新しいボスはなぜ特定のアカウントを認証する必要があるのかを理解していないと思う。特にメディア関係者やジャーナリストのアカウントだ」。

スキンフルエンサーのティアラ・ウィリス氏は「私がTwitterで認証された日は、皆から『ティアラが認証された』と思われた輝かしい瞬間だった。いまなら8ドル(約1200円)で認証が手に入る。それ自体はかまわないが、一時代が終わった」とツイートした。

Twitterを自分の主要コンテンツプラットフォームと見なしているウィリス氏は、スキンケアに関するアドバイスを30万人を超える熱烈なフォロワーベースと共有している。

「Twitterは外見やビジュアルコンテンツに関するものではないので、ほかのプラットフォームよりも気に入っている。Twitterは自分の言葉でコミュニケーションを取り、対話を始めるものだ」とウィリス氏はGlossyに語っている。

ウィリス氏は認証のために料金を支払う予定だという。過去に彼女のフォロワーを騙そうとするなりすましアカウントに対処したことがあるため、(支払いは)必要なビジネス上の決定だと考えているからだ。また、同氏はなりすましの阻止に対して有料の認証が効果的であることを望んでいる。

「パロディアカウントや公人を保護するために何が行われるかはわからない。何らかのシステムが引き続き取り入れられていることを願っている」とウィリス氏は述べている。

YouTube、インスタグラム、TikTokは長いあいだ、ビューティインフルエンサーの主な投稿先と見なされてきた一方で、Twitterのクリエイターチームは、#BeautyTwitterコミュニティの育成に何年も費やしてきた。これには、ほかのプラットフォームの主要インフルエンサーと、コンテンツを共有するためのメインプラットフォームとしてTwitterを利用しているビューティクリエイターの両方にリーチすることがあった。Twitterは、Twitter上の関連インフルエンサーのコンテンツを取り上げた2020年ビューティレポートを発表したが、それ以外にも、この2年間でスーパーフォローやTwitterコミュニティなどの新機能をビューティインフルエンサーが最初に使えるようにもした。ウィリス氏によると、クリエイターチームからは定期的に連絡があるというが、買収については聞いていないという。

認証を有料にするという決定は、TikTok、Snapchat、YouTube、インスタグラムなどのプラットフォームがクリエイターファンドや競争力のある広告収入シェアの価格設定、ほかの収益化機能を通じてトップ人材のコンテンツを獲得しようと競い合っているときに行われた。8ドル(約1200円)のサブスクリプションを発表するツイートのスレッドで、マスク氏は新規モデルは「コンテンツクリエイターに報酬を与えるための収益源をTwitterに提供することにもなる」と投稿した。

ウィリス氏はクリエイターにとって有料認証は「まったく異なるものだ」と述べている。彼女が初めて認証を受けたときは「特別な」瞬間だと思ったそうだ。同氏はTwitterのクリエイターチームから直接通知を受け取った。「Twitterのコンテンツクリエーターになるために何年にもわたって多大な努力と時間を費やしてきた。組織そのものであるTwitterから直接サポートを得ることは、私にとって多大な意味があった」。

「いまでは認証に対する見方が違うということを我々は受け入れなければならないと思う」とウィリス氏は語った。

Twitterから離れるセレブと懸念を抱くブランド

コンテンツをほかのプラットフォームに移行し始めているインフルエンサーもいる。

「Twitterの(新)オーナーにより私からのツイートは最小限になる」とツイートしたヘアスタイリストのアニタ・ウィルソン氏は、1.5万人を超えるフォロワーに対して今後の投稿は自分のインスタグラムで見るようにと指示した

ウィルソン氏は、マスク氏による買収を受けてTwitterをやめると述べているションダ・ライムス氏やトニ・ブラクストン氏などのセレブリティの仲間入りをしたわけだ。

インフルエンサーとの関係は、美容ブランドにとって魅力的な広告の場としてのTwitterの地位向上の取り組みの一環である。スキンプラウド(Skin Proud)ブルーランド(Blueland)のようなブランドは、今年、Twitterでキャンペーンをローンチした。Twitterマーケティングへの投資で知られる美容レーベルには、Twitterプレゼンスカテゴリーのショーティアワード(Shorty Award)にノミネートされたフェンティビューティ(Fenty Beauty)などがある。セラヴィ(CeraVe)はTwitterでスキンフルエンサーのコンテンツを後援し、パンデミックの最中に#ThankYouNursesキャンペーンなどのTwitterキャンペーンをローンチしている。

しかし、マスク氏の発言や行動に起因してブランドが抱える安全性への懸念から、インターパブリックグループ(Interpublic Group)やハヴァスメディア(Havas Media)などの主要な広告会社はクライアントにTwitterでの活動を一時休止するように勧めている。この動きは、NAACP(全米黒人地位向上協会)、(米国内でLGBTの人々のイメージに関するメディアモニタリングを行っている非政府組織の)GLAAD、デジタルヘイト対策センター(Center for Countering Digital Hate)などの公民権やアンチヘイト、アドボカシーの40のグループがTwitterの広告主の上位20社にTwitterでの広告の停止を求める公開書簡を出したあとに起きた。名前が挙げられた企業にはユニリーバ(Unilever)やプロクター&ギャンブル(Procter & Gamble)がある。

この公開書簡では、先日起きたナンシー・ペロシ下院議長の夫への攻撃についての誤った陰謀論、Twitterの法務ポリシー・信頼・安全性責任者の解雇、大部分の社員を解雇するという脅し、禁止アカウントの復活を支持するというマスク氏のツイートが引用された。

ペロシ氏に関する陰謀論を投稿する3日前に、マスク氏はメモアプリのメッセージのツイートを通して「Twitterを誰でも自由に参加できる地獄絵図にはできない」と約束していた。

Twitterと決別したインフルエンサーの意見

インフルエンサーのなかにはマスク氏による買収のかなり前にTwitterと決別した人たちもいる。美容とフィットネスのYouTuber、アリッサ・アシュリー氏(チャンネル登録者数は240万人)は2月初旬にアカウントを停止した。同氏は、Twitterのビューティコンテンツについて発表した2020年の#BeautyTwitterレポートで、Twitterのビューティインフルエンサーのトップ20にランク入りしていた。

アシュリー氏は次のように語っている。「二度とアカウントを再開する気はない。Twitterは臨機応変なプラットフォームだが、ポジティブな経験よりもネガティブな経験や感情を生み出しているように感じたのでもう不要だと判断した」。

Twitterのトップ20リストにも入っていたビューティYouTuberのジャッキー・アイナ氏(登録者数は355万人)のアカウントは11月1日の時点でなくなっていたと思われる。本記事の公開(米国時間の11月3日)までに同氏の代理人からは閉鎖の理由や正確な日付は提供されなかった。だが、アイナ氏のブランドであるフォーエバームード(Forvr Mood)は11月2日の時点ではショッピングリンクを使ってTwitterで活動していた。アイナ氏には過去にTwitterとYouTubeをしばらく休止していた時期がある。

インフルエンサーらは、Twitterが上場していたあいだ、コンテンツモデレーションの点で問題がなかったわけではないことを認めている。ウィリス氏は、嫌がらせの言葉やコンテンツをブロックするための強力なフィルターを長期間使用しており、敵意のあるユーザーを積極的にブロックしていると述べている。

マスク氏の支配下におけるTwitterの将来の予測に関してインフルエンサーの意見はさまざまである。

「TwitterはTwitterであり続けるだろうと思う」とアシュリー氏。「私はイーロン(・マスク氏)の計画はよく知らないが、彼の計画はTwitterにとってはかなり無秩序なように思える。これからどうなるのかについては興味深い」。

ウィリス氏は「そのうちにわかるだろう。いまは(まだ)十分な情報がない」と述べている。「きっと斬新で衝撃的だろう。皆が不安を感じていることは理解できるが、いろいろ憶測はしたくないので、実際にどうなるかを見なくては。信じるのは実際にこの目で見てからだ」。

[原文:‘End of an era’: How #BeautyTwitter is reacting to Elon’s shakeup

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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