シンプルに暮らすなら。新しい選択肢、グーグルのPixel Watch

GIZMODO

ついに。

長らく待望のGoogle(グーグル)Pixel Watchが出ましたね

軽くて薄くて、コロンと丸いデザインで割となんにでも合うし、Suicaのオートチャージもがんばればできると知って購入を考えている人もいるのではないでしょうか。

直径41mmのワンサイズで「ほかのスマウォみたいにもっと大きなサイズから選びたい!」って声もありますが、自分的には一番しっくりくる大きさです。

ただ、抜群の装着感を別にすれば、ほかには取り立てて書くこともなくて、ベータデモ用端末っぽさも感じます。なにしろGoogleのスマートウォッチはこれが初めてです。一番乗りのワクワクが欲しい人や「そろそろスマートウォッチ買いたいけどSamsung(サムスン)製はピンとこない」というAndroidユーザーにはぜひ検討してもらいたいですが、すでにスマートウォッチ持っていて特に不満もない人は、少し粗がとれるまで待ってからでも遅くはないでしょう。

Google Pixel Watch

これは何?

Google初のAndroidスマートウォッチ

価格

Wi-Fiモデルは350ドル(日本市場は3万9800円~)、LTEモデルは400ドル(同4万7800円~)

好きなところ

着け心地、おしゃれな見た目、Wear OS 3.5最新版とMaterial YouのUIが楽しめる、毎日の健康維持に最適

残念なところ

他社製のバンドが使えない、バッテリー持ちはふつう、他社製にあってここにないヘルス機能がある

川の石みたいに丸っこい

Pixel Watchはシンプルを極めたデザインです。Apple Watchが四角ならこちらは丸。スクリーンのエフェクトまでドーム型で統一されています。Samsungが去年出したGalaxy Watch 4や今年の5はメタリックな縁付きだけど、Pixel Watchにはそれがありません。竜頭(クラウン)がついてるだけですね。竜頭はApple Watchみたいにスムーズに使えて、でっぱりは就寝中も気になりませんでした。

ワンサイズ、4色。ダスティーローズゴールドなんかもあります(できればそっちを試したかったな)。専用バンドはアクティブバンドが6300円~、メタリックなストレッチバンドとメッシュのウーヴンバンドは7800円~、革バンドは1万300円~。本体価格はWi-Fiモデルが3万9800円~、LTEモデル4万7800円~。もって3年くらいって考えると結構な出費です。

ボタンを押して嵌めるGoogle独自開発のメカニズム。Galaxy Watchのバンドは使えない
Photo: Florence Ion / Gizmodo

バンドはApple Watchみたいに専用のを買わないといけないので、Samsung Galaxy Watchみたいに、Amazonで買った安いバンドを装着できるようにして欲しかったな。Appleみたいに着脱がラクなのがせめてもの救いですけど、自由にいろいろ楽しめたほうが自分的には助かります。製品が売れて、サードパーティのバンドの種類が増えてくれたらいいですね。

Galaxy Watch 4や5よりベゼルは大きくて、WatchMaker社のウォッチフェースアプリ使ってみたら余計に差が目につきました。

防水性能は5ATM(5気圧防水:水深50mで10分沈めてもOK)です。

The Verge編集部ではレビュー機の画面が割れたりもしてるので、耐久性はまだ何とも言えません。

竜頭でWear OSをスクロールしてみたよ

竜頭はバターみたいに滑らか
Gif: Florence Ion / Gizmodo

Pixel WatchのOSはWear OS 3.5です。Galaxy Watchと同じで、そこからSamsungフレーバーを抜いた感じですかね。UIはかなり違います

違いが出るのは通知やドロワーですね。Pixel Watchでは上にスワイプすると通知、ダイヤルを押すとアプリ一覧。Samsungは左スワイプで通知、上スワイプでメインのアプリ一覧なので、ずっとSamsungウォッチの自分は操作に慣れるまでに数日かかりました。GoogleとSamsungのハードって、こういうちょっとしたところが違うのよね。

Pixel WatchはMaterial Youの新デザインなので、Pixelスマホとばっちり合います。個人的にはSamsungフレーバーのwatchOSっぽいアプリドロワーが好みですけどね。あと、通知がいっぱい集まりすぎて、1.9インチの画面では厳しいときもありました。

Photo: Florence Ion / Gizmodo

Galaxy Watch 4や5にはないPixel Watchならではの良さもあります。Google Homeでスマート家電をコントロールできることや、Googleアシスタントが標準装備なこともそのひとつ(Samsungウォッチではデフォルトを切り替える必要あり)。

おもしろいのは、チップがSamsung製Exynos 9110チップなこと。これってもう4年くらい前のもので、Samsungが最後に使ったのは、Wear OS導入前の初代Galaxy Watchなのですが、それをGoogleのAIでスマートに改良したものが入ってます。

Pixel Watchのメモリは2GBで、Galaxy Watch 5(1.5GB)より大容量。ちなみにアプリや楽曲、写真を保管できるストレージは32GBあります。

ほかにあって、ここにない機能

Pixel Watchには基本のトラッキング用センサはすべて入ってます。加速度計、コンパス、ジャイロスコープ、高度計、心拍、周辺光、連続心拍数もあって、みな「専門家」の意見を聞きながら改善したとのこと。

精度的には、心拍センサはGalaxy Watch 4、5と互角で、1日で一番ストレスのかかる時間帯を拾ってくれるGalaxy Watch 4と同じです。

ただ、Pixel Watchにはない機能もあります。温度計(Apple Watcchにはある)、追突検出(これはPixelスマホと接続することで使えるけどね)がなくて、落下検出も年内装備予定ですし、SpO2トラッキングも内蔵になってることはなってるんですが休眠状態です。

竜頭を長押しすると緊急事態が発動され、5回すばやく押すと救急コールも可能(LTEモデルを選ぶか、そばにスマホが必要な機能)。うっかりの長押しや5回連続押しで救急車が呼ばれたりのアクシデントがないといいですね。

Fitbitがどれだけ好きかによる

Fitbitはサブスクリプション。レビュー記事のために乗り換えなきゃダメだった
Photo: Florence Ion / Gizmodo

自分は何年か前にGalaxy Watchを買ってからSamsung Healthどっぷりで抜けられなくなってしまってます。義理で残るというよりは、そのまま使い続けたほうが毎日のルーティンを乱されないからというのが大きいですね。Fitbitは慣れるまで少し時間がかかりました。アプリのFitbitを触ってもう5年も経ってるし、いじってみてもSamsung Healthを抜ける気にはなりませんでした

少し使ってみたら、いろんな体調が数値化されてきれいなグラフで表示されるのはGOODですけどね。リカバリスコアが表示されて、ときどき休憩とるように出るのはFitbitナイスです。周囲の人は、だれも休めなんて言ってくれないもん。

ワークアウトと瞑想のプログラムもSamsung Healthのラインナップより若干充実してます(利用には月10ドルのFitbit Premium加入が必要)。データはStravaやGoogle Fitに一発で移行できます。

1日の細かい変化を見逃さないのもFitbitの特長です。Galaxy Watch 4や5ではできない階段カウントもあるし。

昼寝のトラッキングは未対応なので、これに関してはGalaxy Watchに軍配です。あと運動量のトラッキングでもFitbitはもうひとがんばりかな。コロナの後遺症で体調がよくなくて、午後の散歩のとき、少し休んでPokemon Goをやったら、Galaxy Watchでは散歩のトラッキングが一時停止になったのに、Pixel Watchは止まりませんでした。娘のおもちゃや服、後片付けをするときも運動量がカウントされていなくて、これに関しては、家のそうじの運動量までカウントされるGalaxy Watchのほうが満足度は上です。

ハードコアなフィットネスファンやアスリートの訓練にはあまり向かないというのが、Pixel Watchの共通認識になりつつあるというか、どっちかっていうとカジュアルユーザー向けですよね。Fitbitの万歩計も最初はそこがターゲットでしたし。 Fitbitのテクノロジーをスマートウォッチのエコシステムに組み込めたのはGoogleラッキーでしたけど、ここを土台にApple Watch UltraやSamsung Galaxy Watch 5 Proのような展開が見せられるかどうかが腕の見せどころかもしれません。

バッテリーは十分

ハイキングとかアウトドアで試したわけじゃないので山道でどれくらい持つかはわからないけど、ふだん使ってるぶんには不便は感じませんでした。寝るときは外すので、枕元で充電というのが日課になりました(ちなみにレビュー機はLTEモデルで、Wi-Fiモデルより接続でバッテリーに負荷がかかります。常時ONディスプレイは使っていません)。

家に充電器忘れても、ひと晩くらいなら電池切れの心配はないですね。残量30%で睡眠トラッカーONにして寝て起きてもまだ16%くらい残ってて、それからまた5時間くらい使えましたんで。あと電話1本かけないと!というピンチのときには、寿命を伸ばせる省電モード(ONにすると画面と接続がすべて切れる)もついています。

果たして買いなのか?

Android派の予約注文してゲットした人は「あのPixelのGoogleが出すんだから」と期待感をあらわにしていました。だいたいの人はSamsung製ウォッチ以外からの乗り換え組か、Fitbitエコシステムの人でスマウォを待ち望んでいた組。いずれかに該当する人で4万円+バンド代が出せる人はPixel Watch、試して損はないでしょう。

自分はもうSamsungのフィットネス系のエコシステムどっぷりなので、Google純正より、実績の長いSamsungに気持ちが傾いてます。まあ、Health Connectを導入すれば異なるエコシステム間でもスムーズに連携できますが。

Google純正ウォッチが出たことで、これまでどのAndroidスマートウォッチを見てもピンとこなかった人にも新たな選択肢が生まれました。末永く続く製品になりますように…!

Source: The Verge