何を食っても全部ウマい上に安いという庶民の理想郷「サイゼリヤ」。そんなサイゼだが、行くたびに「これ絶対人気無いやろ」と思っているメニューがいくつかある。
しかし相手はサイゼ。想像を超える美味さを有している可能性は否定できない。ということで、あえて不人気疑惑を感じているメニューだけ食べてみることに。
・弱そう
それがこちら。「柔らか青豆とペコリーノチーズの温サラダ(200円)」「ほうれん草のくたくた(300円)」「ブロッコリーのくたくた(300円)」
そして「爽やかにんじんサラダ(200円)」と「バッファローモッツァレラ(300円)」の計5品だ。
何にだってそれを好む人ってのはいるもの。例えば、極上のマグロの寿司よりコオロギの素焼きの方が好きな人だってきっといるだろう。
これ等5品が大好きな人がそれなりに居ることは確信している。しかし重要なのはその母数だ。値段も踏まえた上で、他の魅力的なメニューと比較すると弱そうに見える。
マジにサイゼ来て茹でたほうれん草やらブロッコリー食うんか? しかも300円やぞ? サイゼの強力なメニュー陣の中でも、もはやレジェンドと言っていい「ミラノ風ドリア」と同じ値段なんやぞ?
もしかしたら凄まじく野菜な気分だったとか、ダイエット中というケースがあるかもしれない。それにしたって、あと50円出せばクッソ美味いサラダを食えるんやぞ?
青豆とにんじんも、需要がよくわからない。ほうれん草やブロッコリーよりさらに100円安く、サイゼで最も安い部類ではあるが、同じ値段でワインのデカンタ(250ml)やアイスケーキとか頼めるんやぞ?
モッツァレラチーズだけは、ワインのツマミにするのかな? と用途こそ思いつくが、これは逆にコスパが悪い。
小さいチーズ3個で300円だからな。300円で酒のツマミにするなら「辛味チキン」がええやん? これが、私がこれ等のメニューに対し、不人気じゃないかと思っている理由だ。
・頼んでみた
とはいえ、どれも1度も食ったことが無く、想像で不人気だと思っているに過ぎない。やはり何事も検証してみるのが重要だ。ということでオーダー。
やべぇな。サイゼに来てこんなにワクワクしないのは初めてだ。なんかこう、ビジュアル的に寂しくないか? 緑にオレンジと彩りが鮮やかなのは確かなのだが、気のせいかオーラみたいなものが無い気がする。
・ほうれん草
もうどれから行っても一緒だろう。まずは名前からして貧弱な「ほうれん草のくたくた」お前からだ!
グランモラビアとオリーブオイルがたっぷりなので、絶対にマズくはないだろう。しかし、同価格の他のメニューに比肩しうる魅力があるのだろうか?
食ってみると、なんというヘルシー感。野菜不足な食生活に罪悪感を抱えて生きている時にこいつを食ったら、一瞬で罪の意識から解放されそうな気がする。
あと、シャキシャキのサラダには無い優しさを感じる。果てしなく柔らかく、もはやソース化する一歩手前というレベルなのだ。そして生暖かい。
心と内臓が疲れ気味の時に食べたくなりそう。そして今の時代、心と内臓が疲れ気味な人は世にあふれているだろう。こいつにしか満たせない需要は間違いなくある。なるほどね。
・ブロッコリー
ほうれん草が思っていたよりも強かった。しかし次はどうかな? 最弱感が凄まじい「ブロッコリーのくたくた」お前の番だ!
とりあえず1個……おっ? すげぇ柔らかいな。重力に負けて自壊しそうやん。
こんなに柔らかいブロッコリーは人生で2回目だ。1回目は学生時代のこと。ハウスシェアしていたイギリス人が「本当のイギリス料理を食わせてやる」と言って野菜スープを出してきたのだが、その中に入っていた。
野菜たちは死ぬほど茹でられており、その結果、完全に死んでいた。あらゆる旨味が抜けきって、ただの味のしないセルロース塊になり果て、糞マズかったのを覚えている。
はたしてサイゼのはどうなっているのか? 食ってみると
_人人人人人人人人_
> うまい……! <
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家でセブンの冷凍でも茹でて食ってろとか思っていてサーセンっした!! この柔らかさになるまで調理しつつ、ちゃんと旨味を残すというのは、一般人が家でやるのは難しい気がする。
ただし味はブロッコリーなので、単体だと寂しいのは否めないと思う。しかしサイゼではアレンジ用の各種調味料を無料で使うことができる。
ということでグランモラビアとオリーブオイルそして塩などをかけて食えば、ほぼ「ほうれん草のくたくた」のブロッコリー版のようなもの。
・にんじん
2連続で思っていた以上のクオリティ。しかしこいつはどうにもなるまい。「爽やかにんじんサラダ」だ。
さすがにね。だってマジにただの極細にスライスしたニンジンっしょ? ウマ娘にはきっと大好評だろうが、ヒトにとってニンジンの魅力はそこまでではない。
私はわりとニンジンが好きだが、一般的には嫌われがちな野菜の1つなイメージがある。特に子供にはピーマンと並んで嫌われている気がする。
食ってみると、ほらね? やっぱりニンジンはニンジンっすわ。ここまで2連敗してきたが「爽やかにんじんサラダ」については、今後も不人気疑惑を抱き続けるだろう。
ちなみにマズいわけではない。酸味をきかせたドレッシングと共に、ニンジンの素の甘さと風味、そしてシャキシャキ感を楽しめるウマいサラダだ。
しかし何か特別な強みを感じないのも確か。特にニンジンが好きな人と、急にニンジンな気分になった人くらいしか積極的に食わないと思う。あと、腹持ちが良いのでダイエットに良さそう。
・青豆
完封負けするかと思っていたが、そうでもなくなってきた。続いては「柔らか青豆とペコリーノチーズの温サラダ」。
今回試す5品の中で、最も手がこんでいると思う。半熟玉子とチーズが乗ってるし。
しかしあくまでメインは青豆。グリーンピースだ。私は好きな野菜だが、嫌いな人はとことん嫌いだ。大人になっても食べられない人をそれなりに見る。
まあ青臭さとエグみがあるしな。寿司で言う所の光り物みたいなもんだと思う。大丈夫な人は全く気にならないが、ダメな人は死ぬまでダメみたいな。
チーズと玉子をしっかり絡めて食べてみると……
すげぇ……!
ウマいとかではなく、真っ先に “凄い” が来てしまった。こいつはその辺のグリーンピースとは違うぞ! 確かに特有の青臭さは残っているが、かなり希薄だ!
そして何より、この素晴らしい食感よ。豆の中はトロトロで、皮でかろうじて形状を保っているような塩梅! そして、青臭さは仄かに残っているが、エグみは皆無だ!
思うのだが、人がグリーンピースを嫌いになる最大の理由は、冷凍もので一定の頻度で出てくる、めっちゃ青臭くてエグい外れ個体のせいじゃないか……と。子供のころにそいつに出くわして、印象が最悪になってしまうのだ。
もし全人類がサイゼでグリーンピースデビューしたら、グリーンピースの地位は現状より遥かに高くなると思う。これはウマい。こんなにウマいものをスルーしていたとは。今後はスタメン入り確定だ。
・チーズ
最後はコスパ的にどうなのという、他とは違う理由でピックアップした「バッファローモッツァレラ」。
この小さいの1個が100円ですからね。ブルジョアの食べ物っすわ。よっぽどウマいか、何か強い個性を有していない限り、コスパ的に微妙そうという考えは覆らないだろう。
まずはそのまま食べてみると、やはりストイックすぎる味わいだ。一切何もつけ足さないフレッシュチーズの素の味が好きという人でないと、あまり楽しめないだろう。そしてそれは間違いなく少数派。
では、添えられている海塩入りのオリーブオイルをつけたらどうだろう?
おぉ、けっこうイケる酒のツマミが爆誕した。カロリー的に罪悪感が無い味わいなのもいい。ただ、やはり単体では弱い。プロシュートに巻いて食べるなどしたら、飛ぶくらい美味いと思う。
しかしサイゼの中ではコスパが微妙な気がする。こいつにしか無い武器と底力はあるため、根強い需要を有していそうには感じたのだが。
あと、このチーズがたっぷり乗ってる「バッファローモッツァレラのピザ」が500円なんだよな。200円差でピザっすよ? そういう感じ。
・強かった
ということで、個人的に不人気疑惑を抱いていたサイゼの5品。試してみたところ、2品については相変わらずなイメージのままだったが、3品については完全に覆(くつがえ)る結果に。
特に圧倒的だったのは「柔らか青豆とペコリーノチーズの温サラダ」だ! まさかグリーンピースがここまで想像を超えてくるとは……。
そして「くたくた」シリーズもだ。これまで野菜な気分の時はサラダ1択だったが、今後は「くたくた」をチョイスすることもあるだろう。
これらのウマさを知らないままでいたことには後悔しかない。やはり何事も、まずは試してみないと駄目だなぁ。