北朝鮮が2022年10月4日朝、内陸部から弾道ミサイルを発射し、日本上空を通過して太平洋上に落下した。日本上空を通過するのは17年9月15日以来5年ぶりで、日本政府全国瞬時警報システム(Jアラート)を発動して国民に情報を伝えるのも、それ以来だ。
ただ、防衛省によると、ミサイル発射は7時22分ごろで、Jアラートを通じて国民に情報が伝えられたのは7時27分だった。青森県上空を通過したのは「7時28分頃から7時29分頃にかけて」で、実質的に国民に与えられた猶予は1~2分。できることは必ずしも多くないため、「(Jアラートを)鳴らして終わりではない」として、ミサイル着弾後の備えを求める声も出始めた。
飛翔距離4600キロは過去最長
今回北朝鮮が発射したミサイルの最高高度は約1000キロで、約4600キロ飛翔。日本の上空通過から15分ほど経った7時44分頃、日本の東約3200キロの、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定されている。4600キロという飛翔距離は過去最長で、17年8月と9月に日本上空を通過した中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」型と同型の可能性があるとみている。
松野博一官房長官はこの日午前の記者会見で、「この2分という時間は妥当だったのか」として改善の余地についてたずねる質問に対して
「Jアラートによる伝達については防衛省からの各情報の提供後、直ちに官邸から送信を行っているが、いずれにせよ、国民に対する速やかな情報伝達については、引き続き、関係省庁と不断の検討を進め国民の安全安心のため、迅速かつ的確な情報提供に努めてまいりたい」
などと答弁。「2分」についての価値判断を示すことを避けた。