【サイコパス】もののけ姫の聖地『白谷雲水峡』で太鼓岩に登ってみて気づいた「アシタカのヤバさ」

ロケットニュース24

屋久島にある白谷雲水峡は映画『もののけ姫』の聖地として知られている。制作時、宮崎駿監督とスタッフが何度も足を運び、そのイメージが映画に生かされているのだという。ファンとしては一生に一度は行ってみたい場所だ。

高校時代に遊ぶ友達がいなさすぎて『もののけ姫』を300回は見た私(中澤)としても、屋久島に行きたい一番の理由はこれだった。というわけで、太鼓岩まで登ってみたところ、うおおおおお! もののけ姫で見た光景!! だがしかし……。

・素人でも登れるレベル

車で大分山を登った登山口から入る白谷雲水峡。道すがらの苔むした太古の森がシシ神の森っぽく、山頂に位置する太鼓岩からの眺めはモロの岩屋からの景色に似ているらしい。まず、登ってみてのスケジュール感をザッとまとめると以下の通りであった。

9時30分 入山
11時 苔むす森入口
11時30分 太鼓岩へのルート入口
12時 太鼓岩着
13時30分 登山道入口に戻って来る

──写真を撮りながらなので、シンプルに登山だけならもっと早いかも。慣れていない私が着の身着のままで行っても、普通に太鼓岩までたどり着くことができたので、登山の難易度はそこまで高くないように感じた。しかしながら、注意すべき点はむしろ登り始める前にある。

・登ってみて感じた注意点

当たり前だが、高尾山のように登山口や山頂に売店があるわけではない(少なくとも私が登った2022年8月23日はなかった)。したがって、食べ物や飲み物は持参する必要があるが、そういったものが手軽に購入できる分かりやすい店は、車道が山道に入る前にあるA-COOP宮之浦店がおそらく最後だ

昼飯を道すがらで買うつもりで出発してここを逃すと、下山してくるまで食べ物を入手することはできない。私は、水だけは用意していたので、登って下山してきた後14時にここで飯を食ったが、正直、12時の山頂付近の広場で食べられなかったのは辛かったので気をつけよう。

・最高だった点

逆に言うと、それさえ注意しておけば、自分のペースで登ればなんとかなるコースだと思う。それでいて、道すがらの景色は……


マジでこだまがいそう

ファンはぜひ自身の目で見て欲しい。一応、私も記者の端くれとして森を撮ってきたので本記事に何枚か様子を掲載させていただくが、画像と実際目で見るのではやっぱり迫力や臨場感が全然違うから。まさに緑の世界である

・太鼓岩に登る

しかしながら、なにより予想外だったのは太鼓岩に登った時のことだった。人がたくさんいて順番待ちになっている太鼓岩。私の前は大家族で、最も景色の良さそうな先端で立ち上がって景色をバックに代わる代わる記念撮影をしていた。

なんと言っても、モロの岩屋から見えた大パノラマに似た場所。さぞ絶景なことだろう。期待が膨らむ。早く見たい。と、その時、前の大家族が降りてきたので太鼓岩に登ってみた! うおおおおおお! こ、これがアシタカが見た光景か!! 


こ、こ、こ……


こッッッッわ!!!!

絶景かどうかすら分からないくらい怖すぎる。特に高所恐怖症ではないはずなのだが、この高さで何の柵もない上、足場が丸く、さらに突風的な風も吹き荒れているので、足がすくんで立ち上がるとか絶対無理。なんなら、iPhoneで撮るのすら怖い。もし、iPhoneを落とそうものなら、反射的にキャッチしようとして自分が落ちてしまいそうだ。

むしろ、前の大家族よくここに立ってたな。今、思い出しただけでも手汗で手がベタベタになる

・アシタカのヤバさ

アシタカもここに立っている時、手汗で手がベタベタだったのだろうか? いや、ヤツは涼しい顔をして先端まで歩いていってた。なんなら、翌朝なんて早歩きでスタスタ移動していた。ネジが外れていると言わざるを得ない

さらに、自撮りの時に気づいたのが、大パノラマをバックにするとより怖いということ。崖との距離が見えないから。劇中ではアシタカは、先端で振り返って岩屋の上のモロと話しているが、こんな状態で山犬に「黙れ小僧!」とすごまれようものなら足を滑らせて落ちそうだ。

しかも、モロの岩屋は太鼓岩よりも宙に突き出している。眼前に広がるだけでも肝がゾクゾクするようなこの景色に、270度くらい囲まれるのは絶対にヤバイ。これまで普通に見えていたアシタカのフラットな態度が、太鼓岩を知った後だと、サイコパスみを帯びて見える。

・人間のちっぽけさ

そう言えば、翌朝ヤックルに乗る時「足がすっかりなまってしまった」とも言っていたアシタカ。絶対あかんやん。もはや自殺行為だ。生きろ

というわけで、太鼓岩にたどり着いてテンションが上がっても、アシタカみたいにふるまってはいけない。絶景ではあるけど、一歩誤れば終わる。圧倒的な自然の前では人間って本当ちっぽけな存在であることを体の芯から感じたのであった。ものーけーたちーだけー♪

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

Source