新幹線のグリーン車に乗って、軽井沢に行ってきた。
何を突然と思うかもしれない。私も思った。その日の昼まで、そんな予定はなかったのだから。
欲しかったスマホをリユーススマホ(中古スマホ)に買い替えたのだ。
そうしたら、正規の値段で買うよりもだいたい26,020円くらい安く買えてしまった。
びっくりして、軽井沢行きのグリーン車に飛び乗ってしまった……のである。
リユーススマホで浮いたお金で夏の思い出を作りたい
リユーススマホという世界がかなり熱いことになっているとは噂に聞いていた。
リユース品とはいえ点検整備された品が、もちろん新品よりも安く手に入る。ストレートに魅力的だ。
今回は、リユースのiPhoneを買ったら、新品で買うよりどれくらいお金が浮くのかを調べたい。
お世話になるゲオモバイル大宮駅前店へ、編集部の安藤とふたりでやってきた。
なんと安藤はこの機会に私有のiPhoneXを新しいものに買い替える(ガチで自腹で)と言っている。
一方の私はiPhoneSE 第2世代のユーザー。5Gが使いたいがSE2は対応していないため、SE3への買い替えを検討しており、値段が知りたい。
安藤が実際に浮かせたお金と、私がエアーで浮かせたお金を合算し、この夏最後の少し贅沢な思い出を作って記事にできたらいいな、というのが記事の目論見だ。
しかしどれくらいお金が浮くものか、全く想像がつかない。5,000円くらいですかね? と話していた。
iPhoneX、500円じゃなくて15000円で買い取ってくれるの…
お店では店長の加藤さんに丁重にお迎えていただきまして、お忙しいところありがとうございます。
それにしても、店内の端末の量がすごい。
めちゃくちゃある! めちゃくちゃありますね!?!? と入店一歩目から興奮してしまった。
最新の端末からちょっと懐かしいものまで一堂に会されるからたまらない。
一旦落ち着いて、まずは安藤から相談に乗ってもらおう。
静々と、まずは手持ちのiPhoneXの買い取り額を査定してもらうところから始まった。本気で買い替えるとは聞いていたが、本当なんだ……。
しかし、買取金額を聞いて驚いた。なんと15,110円で買い取ってもらえるそうなんだ。
はあ?
である。ついキレてしまった。
だって査定のやりとりで、ちょっと傷がありますね、みたいなことを言っていたのだ。小耳にはさみながら私は(こりゃ500円だな……)などと思っていたものだ。なに15,110円って。
加藤さんによると、いまキャンペーンでiPhoneの買取額が20%UPになっていることもありこの買取金額が提示できた、とのこと。
なるほど、まあ運がよかったってことか……と思ったら、
マンガが買いたいけれどお金がなくて、家にあった古マンガを1冊古本屋に持ち込むも「買取は10冊からなんだよね…」と気の毒そうに店の人に言われた小3の私に聞かせてあげたい金額だ。
すでに決心していた安藤は、スポーツカー並みの速さで買取を依頼。普通にお現金を渡されていた。うおお……。
急に最新機種にするのは体に悪い(?????)
15,000円を現金で得た安藤である。もう帰ってしまうのではないかと私はおそれたが、ここまではなんと余談だ。
本番はここから、どれだけ安くリユーススマホが買えるか、これだ。
iPhoneXを手放した安藤だが、希望の機種はiPhone11だという。
11???
iPhone11は2019年の発売からもう3年も経つ機種ではないか。
ディスプレイが有機ELじゃないし、5Gも使えないし、カメラもまだ3眼じゃない。なんで? いいの?
「だって、いきなり最新機種まで番号を飛ばすのは体に悪いでしょ」安藤は言う。なにその健康法。
加藤さんに聞くと、性能を考慮しもちろん安さも魅力ととらえて古い機種を買うのは珍しいことではないそうだ。
「iPhoneXから11だと、間にiPhoneXSをはさんで2段階新しくなったわけですし」と加藤さん。
確かに、iPhoneXが高額で買い取ってもらえるのも需要があるからなわけで、iPhone選びってこんなに自由なものだったんだな。
結局、安藤が選んだのはiPhone11の128Gのホワイト。購入金額は税込みで60,280円だった。
最新ではないとはいえ、iPhone11の同タイプはいまも新品がAppleで79,800円で売られている。
購入するのはリユース品だから純粋には比べられないが、購入価格としては19,520円浮いたことになる。
安藤が浮かせたお金
iPhone11の128Gのホワイト
定価79,800円 ‐ リユースで購入60,280円 +iPhoneXの買取15,110円 =34,630円浮いた!
世界から大宮に集まったほうがいい
一方の私が希望するiPhoneSE3は人気機種ということで在庫がちょうど1品。
256GBの赤い端末で、こちらは通電のみされた未使用品らしい。箱もばっちりある。ほとんど新品で買うのと変わらない。
お値段税込み63,580円。
同機種は新品で69,800円だ。ほとんど純粋に(新品ではなく未使用品、ではあるものの)6,220円安いということになる。
まったく同じ端末を新品で購入しようとしている人、全世界で今この瞬間に5人はいるんじゃないか(もっと?)、世界のみんなに言いたい、いますぐ大宮に来るべきだ(もちろん他のゲオ店舗でもOKだけど!)。
古賀が(エアーだが)浮かせたお金
iPhoneSE 第3世代 256GB レッド
定価69,800円 ‐ リユースで購入63,580円 =6,220円浮いた!
そもそも私は新品でスマホを買うことにちょっとした苦手意識がある。
というのも、あれ、選べないじゃないか。
カウンターで手続すると裏から出してくれたり、いつだったかはネットで予約して受け取りに店舗にいったら、壁に並んで待つように言われ、待っていると店員さんがぶらーっとやってきて、「はい」と箱をそのまま渡してくれた。
紙袋を買わなかったから、私は素手に新品のスマホの箱を持って店を出たのだ。どろぼうか。
リユーススマホはそうじゃない。店内の大量の在庫から好きなバージョンの好きな容量の好きな色のものを選ぶことができるのだ。
買い物ってこういうことだろう? と思う。私のひとつは、私が選びたい。
正直いつもだったら赤い端末は選ばない、でもこうしてお店でひとつ並んでいるのをみて、「かっこいい!」と声が出た。
それは、ここにあるその物体に魅力を感じたということだ。
急に持論を展開してしまったが、安藤は「いや、そういうことは特に感じないですね~! そんなこと言ったら古賀さんAmazonとかで買い物できないじゃん」と言われ、そうな、と思いました。
浮いた40,850円で夏の終わりの思い出を
結局、安藤が実際に34,630円、私は検討中でエアーであるものの6,220円、お金が浮いた、ということになった。
おう。
おうおう。
嬉しすぎて自分を恫喝してしまうほどだ。
私以上にテンションが上がっている安藤はこの足でステーキを食べに行くという。
「古賀さんさ、おれステーキ食べて、あとメロン買うからさ、あと代わりにどっか行って思い出作ってきてくださいよ。大宮からだったら新幹線乗るのどうですか」
そもそも、浮いたお金でそれぞれ夏の終わりの思い出を作って記事にしようと話していたのだ。どこかへ行かせてもらえるんだったら、ぜひ行きたい。
「軽井沢とかいいんじゃないですか。そうだ、グリーン車使って! 贅沢してきてくださいよ」
軽井沢……? グリーン車で……?
なんだかもう、響きの優雅さがすごい。それにあまりにも夏らしい。思えば今年の夏は開放的な気分をまるで味わっていないのだ。
よし、軽井沢……行こう!
夏の終わりに贅沢な思い出を作ろう。
上記のやりとり、軽井沢行きが決定したのは時間にして5分くらいの間のことだ。バーンと決めてポーンと行く、その勢いが可笑しい。
北陸新幹線のグリーン車のチケットを取った。
贅沢するならグリーン車よりさらに上の座席「グランクラス」を選ぶべきだったのだが、その存在に気づかないほど急遽のチケット購入だった。
グリーン車で優雅に駅弁を食べてはどうかと買ったものの、発券時に座席が混みあっていることに気づき、感染対策的にあわててホームで食べる。
いきなり全体的に軽井沢らしからぬ行動をしてしまったが……来た!
北陸新幹線でグリーン車に乗るのは初めてだったが、シートが最高に楽だった。座り方が最初ぜんぜん分からなくて笑ってしまった。
私にとって夏の贅沢とは「帽子」ではないか
新幹線はほとんど揺れずまっすぐに軽井沢を目指し、私は静かに精神を集中して夏の贅沢について考えた。
せっかく軽井沢に行くのだ。私の考える軽井沢的なファッショングッズをそろえるのはどうだろう。
上品な帽子、それから華奢な日傘、それにサングラスを買って身に着けるのだ。
軽井沢+帽子+日傘+サングラス=夏の贅沢
新幹線の進むスピードに乗せて、ち密で完全な数式の完成した瞬間である。
そもそも、実際にお金が浮いたのは安藤だ。
なのに私が軽井沢へ行く幸甚に至っているのはどう考えてもおかしいんだが、送られてきたこの写真を見て、あいつ気づいてないからいいやと納得した。はっはっは。
贅沢な帽子で顔のパーツがぜんぶ顔におさまった
到着した軽井沢は涼しかった。 記事撮影時はまだ8月のさなかであり、東京も大宮も暑かったのだ。
駅近くの矢ケ崎公園から美しい景色をゆっくり眺め、それから、贅沢品を調達すべく軽井沢駅のちかくのショッピングモールへかけつけた。
帽子の専門店がいくつかあった。本当にちゃんと高貴な方々がかぶるような帽子もたくさん並んでいるから逆に驚く。こういう帽子、普通に売ってるんだな……。
思った以上のお値段がしっかりとついており、リユーススマホで浮いたお金と見合うところで買ったのがこちら。
「おっ!」と素直に思った。避暑地の風情が急に出た。
さらにこれはと思わされたのは、購入時、お店の方に「ライナーはおつけしますか」と聞かれたことだ。
ハットライナー、帽子と額のこすれるところにはりつける汚れ防止のあて生地のことだ。
帽子をよくかぶる方にとっては常識だとは思うのだけど、私はその存在をこれまで知らなかった。
すかさず「つけてください、お願いします」と言って、瞬間、ああ、お店の方にすすめられた付属品を、しぶらず「じゃあお願いしようかしら」と言うことが贅沢で、いつもの私ではない。
これぞまさに、浮いたお金の力だ。
贅沢は、日を避けることにやどる
続けてサングラスと日傘も購入。
メガネのお店では今年もサングラスが売れに売れたということで、在庫がかなり少なくなっている状況だった。
やっぱり軽井沢のひとたち、サングラスめちゃ買うんだ(軽井沢に限ったことではない夏の現象とは思うが!)。
日傘は持ち手が金具(もしくは竹)で、フリルのついている小さなものがそれらしいなと思っていたが、あまりにドンピシャのがあって帽子同様、逆にびっくり。
開くと、遮光力がすごい。イメージを踏襲しつつ実用的なんだ。ありがてえなこれは。
帽子、サングラス、日傘ともくろんだものを全て買い終えた瞬間、私の特別感、夏の贅沢は「日をよける」ことに宿るのだなと気づかされた。
夏に気を抜かず遮光してていねいに暮らす、夏をしっかりかまうことを、贅沢と感じるのかもしれない。
バンド「貴婦人軽井沢」
最終的に3つすべてを身に着けると印象としてはガチャガチャで、しかしこの人物に既視感がある。
これは……誰だっけ……?
あっ、そうだ、貴婦人軽井沢だ!
むかし付き合っていた男性が「貴婦人軽井沢」というバンドをやっていた。もう軽く25年は前の話で、軽井沢に来ない限り思い出すこともなかった名前である。
上品な帽子、華奢な日傘、そしてサングラス。いまのこの私は、ライブのポスターにわざと下手に描かれたイラストにそっくりだ。
記憶の奥底の奥底から登場した、貴婦人軽井沢は、そうか、私のことだったのか……。一人だったのに、いきなり吹き出した。
夕方から夜にかけての新幹線がかなり混むようだったので、贅沢を切り上げて、いつも長野県に来た時にそうするように峠の釜めしと果汁100%のジュースを買って帰途についた。
軽井沢に来なければ一生忘れたままだったろう「貴婦人軽井沢」のことを思いだして、ハットライナーを知った、2022年の夏の一日はこれでおわり。
iPhoneSE3、まだ悩んでいる
行きはどう贅沢をしようかと頭をひねったが、帰りは贅沢のことはもう忘れた。
iPhoneSE第3世代のことを考えていたのだ。
ゲオモバイル大宮駅前店の加藤さんによると、第3世代と第2世代の違いは基本的には5G対応か否かと、あとはしいて言えばバッテリーの持ちが改良されたところだそうだ。
SEの第三世代じゃなく、5Gを使うならiPhone12でもいいかもしれないな……。
……というわけで、明日もう一度大宮まで行こうかいま悩んでいる。いや、大宮じゃなくてもいいのか。
めちゃくちゃ広告記事らしい終わりになってしまって恐縮なんだけど、ゲオ、さすがに異常に店舗数が多いのだ。
全国でリユーススマホを扱う店舗は950店以上あるらしい。
意味なく軽井沢に近い店舗を調べてみると、新幹線で隣の駅の佐久にはリユーススマホの取り扱い店舗がちゃんとあった(ゲオ 佐久インターウェーブ店)。
編集部注:記事中のリユーススマホの金額は取材時のものです。変動する場合がありますので、詳しくは店舗でご確認ください。
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ありがとうございました~。