「Ultra」に怖気づくことなかれ。
登山やダイビングなど、タフなアクティビティを楽しむ人のためにしつらえた究極のApple Watch、それがApple Watch Ultra。頑丈なチタンケースに身を包んだその佇まいからして、普通のApple Watchとは一線を画す感がヒシヒシと伝わってきます。
逆にいうと、これほどまでにガチ路線の人を意識したスマートウォッチは一般人からすると持て余すのでは? 身の丈に余るガジェットなのでは? そう思いません?
そう思いつつ、数日間このウルトラなデバイスと過ごしてみました。機能紹介をしつつ、総括的なインプレッションをお届けします。
デカイけど、わりと大丈夫だった。
Apple Watch Ultraはケースサイズ49mmに厚さ14.4mmと、腕時計的に見てもかなりマッチョな部類。手首の内径がギリ16cmの僕の細い手首には不釣り合いなのではと思っていたのですが、結論からいうとほとんど気になりませんでした。
仕事や運動、睡眠などの日常生活をApple Watch Ultraを装着したまま過ごしてみましたが問題なし。邪魔に感じることはなく、「大きいApple Watchとか使いにくそう」という予想は、良い意味で裏切られました。だって普通に寝れましたからね。
むしろディスプレイが広くて明るいおかげで、視認性も操作性も良好。ファッションのアクセントとしてもこの大きさはプラスに作用していたと思います。大きさが理由でApple Watch Ultraを敬遠してる方は、わりと安心して良いかと。
ストラップといえば、今回は「アルパインループ」を使いました。デザインはカッコいいけどストラップを留めるG字フックが外しにくく、やや使いにくい印象。現地のレビューではオーシャンバンドが使いやすそうとありましたが、普段使いするならオーシャンバンドが良いかも。このオレンジ色は好きなんだけどなぁ。
ジョギングのお供には、もっとベストな選択肢がある
大きさや重さは気にならないと言いましたが、走ってる時は別です。ジョギングのお供にApple Watch Ultraを使うと、さすがに手首への重さを感じます。ストラップを限界まで短くしても緩みがあるおかげで、走ってる時にカチャカチャと揺れてしまいました。
Apple Watch Ultraには3つ目のボタンとなる「アクションボタン」があり、これを使うとワークアウトアプリをワンプッシュで起動できます。そこの使いやすさは魅力ですが、しっかり走りたい人であればもっと軽いスマートウォッチか、あるいはノーマルなApple Watchの方が使いやすいでしょう。運動にそこまでシビアさを求めないのなら、スルーできる要素です。
独自機能、楽しい!
専用のウォッチフェイス「ウェイファインダー」を選択した状態でDigital Crownを回すと、文字盤が赤外線モードに。星景写真の撮影やキャンプ、ナイトハイクなど、夜目が効いた状態で明るい画面を見たくない人にはありがたいモードです。
こうしたApple Watch Ultraの独自機能のうち特にプッシュされているのが、ウェイポイントの設定とルートバック機能。これはApple Watch Ultra内のコンパスアプリから操作できるもので、アプリ一覧からコンパスを選ぶ、ウェイファインダーの文字盤内のコンパスをタップする、アクションボタンに設定するなどの方法でアクセスが可能です。
本来は登山などの道迷いが起きる状況で活躍するものですが、近所のコンビニまでの歩いていくのにルートバック機能を使ってみました。はじめにコンパスアプリを起動して、ルートバックをスタートさせておきます。ルートバック開始地点からの道のりを記録してくれるわけですね。
ローソンで買い物を済ませたので、もう一度ルートバックをタップ。足取りをたどるを選択します。
すると、歩いてきた道のりが白い線で示されます。曲がり角ではちゃんと曲がってるし、最終ゴールの方位も白い矢印で示されていますね。赤い丸はウェイポイントを置いた点です。曲がり角ごとにウェイポイントを置いてみました。
Digital Crownを回すとエリアの拡大縮小が可能。歩いてきた道筋が白い線で繋がっていますね。探検みたいで楽しい!
マップアプリのように、向きを変えるとちゃんと方位も変わります。登山でルートバックを使う場合は登山口に着いたらルートバックを起動しておいて、「あれ、曲がる箇所間違えた…?」って時に、道筋を確認したりするのに使えるかと。歩いてきたルートと周りの景色を見ながら、安全にルートを確認しましょう。
また、ウェイポイントはそれぞれ名前をつけることができ、そのポイントまでの距離や座標を出すこともできます。「登山口」「分かれ道」など、わかりやすい名前を付けておけば確認もしやすいですね。あるいは街中でも、わかりにくい場所にあるお店にウェイポイントを付けておけば迷いにくいかも?
所有欲のカタマリでした
さて、サイズ感だの機能だの色々と申し上げましたが、そんなのどうでもよくなるくらい、Apple Watch Ultraは「カッコいい」です。もう結局はそこですし、所有の喜びはあらゆる要素を上書きするほどパワーがありますからね。
チタンが放つレアメタルの輝き、希少性と堅牢性を引き立てる高い切削精度。手首に工芸品着けてんのかいってくらいに、持っていてニヤニヤできます。事実、この数日をApple Watch Ultraと過ごしたことで、もう僕は別れが惜しいです。
レビュー前は「自分は買わないだろうな」と他人目線でしたが、今では「2割、いや3割くらいは可能性がある…」というほどに心変わりしています。やっぱりプロダクトとして美しいし、持っておきたい気持ちにさせてくれる。目的のために買うんじゃなくて、もうApple Watch Ultraそのものが目的なワケですよ。Apple is ブランド。
「選ばれし者のための」ってほどでもなく、誰でもOK
スペックを見た時は「こりゃあガチな人しか扱いきれないすごいApple Watchが出たぞ」って思ったけど、いざ使ってみると(当然ですが)普通のApple Watchと遜色ありませんでした。本体が大きくなったことでファッション的に人を選ぶようにはなりましたが、逆に一部の人を強く引きつけるようにもなったといえる。
総じて、極めて高い満足感を提供するApple Watchであり、アウトドアでもApple Watchを使いたい人にとっては便利な機能が追加されているという感じです。所有欲を満たす一本であるのは間違いありませんし、12万4800円という価格もわりと納得感がある。このブランド性の高さは、Apple Watchにしたいけど皆と同じなのがイヤって人にもぶっ刺さりそうな気がしますね。
Source: Apple