GPUを用いた仮想通貨マイニングは「誰も儲からない」とマイナーが続々撤退開始との報道、イーサリアムのマージによる弊害

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イーサリアムの大型アップデート「マージ」が実行されたことにより、GPUを用いた仮想通貨マイニングが「儲からなくなった」と複数メディアが報じています。

‘No One Is Profitable’: GPU Mining Faces Dark Days After Ethereum Merge | PCMag
https://www.pcmag.com/news/no-one-is-profitable-gpu-mining-faces-dark-days-after-ethereum-merge

GPU Mining No Longer Profitable After Ethereum Merge | Tom’s Hardware
https://www.tomshardware.com/news/gpu-mining-is-now-unprofitable

Reasons to be cheerful: ‘GPU mining is dead less than 24 hours after the merge’ | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/reasons-to-be-cheerful-gpu-mining-is-dead-less-than-24-hours-after-the-merge/

Death Of GPU Mining? Popular Crypto Profits Go Into Negative As Ethereum Miners Flood Market | Bitcoinist.com
https://bitcoinist.com/death-of-gpu-mining-crypto-profit-negative-ethereum/

2022年9月15日(木)、最も儲かるマイニング可能な仮想通貨であったイーサリアムは、GPUベースのマイニングを段階的に廃止するための「マージ」を完了しました。イーサリアムは仮想通貨の取引や送金データを支えるブロックチェーン技術としてプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用してきましたが、マージによりこれがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に切り替わっています。PoWをPoSに切り替えることで、イーサリアムのエコシステム全体の消費電力を大幅に削減することが可能となります。

イーサリアムの消費電力を99%以上削減する大型アップグレード「The Merge」とは? – GIGAZINE


しかし、これは仮想通貨マイナーにとっては悪いニュースであるとテクノロジーメディアのPCMagは指摘。その理由は、PoWに対応して設備投資を行ってきたマイナーにとって、ハードウェアの性能に左右されないPoSへの移行は仮想通貨マイニングを「儲からなくするアップデート」そのものだからです。仮想通貨マイニングを生業としているフィリップ・ロブ氏は、PCMagに対して「マージはすべてを台無しにしてしまいました」「私のマイニング用機材はすべてアイドリング状態に移行しました」と語っています。

イーサリアムによりマージが発表された当初、仮想通貨マイナーはPCのグラフィックカードを用いたマイニングで稼ぎ続けるため、イーサリアムのマイニングからErgoやRavencoinといった別の仮想通貨マイニングに移行することを検討していました。しかし、イーサリアムは1ETHあたり約19万5000円と非常に高額で取引されていますが、Ergoは1ERGあたり約460円、Ravencoinは1RVNあたり約5.9円であるためこれらをマイニングしても採算が取れないというのが現状です。

PCMagは実際にNVIDIAのグラフィックカードであるRTX 3080を使ってRavencoinをマインイングしたところ、1日あたり0.13ドル(約18.6円)から0.26ドル(約37.3円)ほどしか稼げないことが明らかになったそうで、「これはカリフォルニア州の高額な電気代を支払う前の収益であり、電気代を払えばグラフィックカード代金を考慮しなくとも赤字に転落する可能性があります」と記しています。


別の仮想通貨マイナーであるBlake Teeter氏は、RTX 3080よりも優れたマイニング能力を持つGPUを数十台所有しているそうですが、「私の電力コストでは、現時点ではほとんどの仮想通貨で赤字に転落してしまいます」と語っています。

別のビットコインマイニング企業のBitfarmsでチーフ・マイニング・オフィサー(CMO)を務めるBen Gagnon氏は、「イーサリアムのマージから24時間で、GPUを用いるマイニングは死にました。1kwhあたりの電気代を6セント(約8.6円)と仮定し、RTX 3090を用いてGPUマイニングを行う場合、1日あたりの収益はイーサリアムクラシックは7セント(約10円)の損失、37セント(約53円)の損失、2セント(約2.9円)の利益でした」とツイートしています。

GPU #mining is dead less than 24 hours after the #merge.

Here are the three largest #GPU chains and current daily profitability with a 3090 GPU and 6 us¢/kwh#ETC -7 ¢#XMR -37 ¢#RVN 2 ¢

The only coins showing profit have no marketcap or liquidity. The profit is not real #btc

— Hashoveride (₿en Gagnon) (@hashoveride)


仮想通貨マイニングが儲からなくなったことで、多くのGPUマイニングコミュニティが活動を停止しています。活動を停止したマイナーの中にはさっそくグラフィックカードをFacebookやeBay上で販売している人もいるそうです。匿名の仮想通貨マイナーは「現時点では誰も仮想通貨のマイニングで利益を出すことができていません。私は50個ほどのGPUを所有しているので、近々、マイニング設備の販売を開始しようと考えています」とPCMagに語りました。

ただし、一部の仮想通貨マイナーはGPUマイニングが復活する可能性に期待しているそうです。マイナーのBlake Teeter氏は古い世代のGPUのみを販売する予定であるとして、「私はリグを清掃し、マイニングの収益性を考慮ながら、いくつかの仮想通貨がマイニングの収益性を改善するまで市場を監視する予定です」「GPUマイニングは少なくともあと数年は仮想通貨マイニング市場において重要な地位を占めることになると思います」と語りました。

また、ロブ氏は「仮想通貨をマイニングすることは株式市場で遊ぶようなもの」と言及しており、ErgoやRavencoinといった仮想通貨が将来的に価格を急騰させる可能性があるとして、「マイニングしておけば膨大な財産となる可能性があります」と述べました。

一部のマイナーがGPUの販売を静観する姿勢を見せるとしても、ほとんどの仮想通貨マイナーが大規模なGPU販売に動き出すだろうとPCMagは予想しており、仮想通貨取引所Bonexの共同創設者であるVasil Alyoshin氏も、「多くの人、企業さえも、マイニング機材を購入するためにローンを組んでいます」「今ならマイニングの収益性はかなり低くなっているので、機材の売却に動く必要がある人も多いはずです」と指摘しています。

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