【Ubuntu日和】【第11回】拡張機能でGNOME Shellを派手にしたり便利にしたり

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「Extension Manager」をインストールする

 第8回でも紹介したが、GNOMEはGNOME Shellというデスクトップシェルを採用している。

 そしてGNOME Shellには拡張機能という仕組みがあり、さまざまな機能を追加できる。それどころか、Ubuntuではあらかじめ3つの拡張機能が有効になっている。

 GNOME Shell拡張機能(以下拡張機能)は、GNOME Shellを便利にするものや、特段便利なわけではないものの派手にするものや、見た目を大胆に変更するものまで多数ある。とても全ては紹介しきれないので、おすすめのものをいくつか紹介していくことにする。

 というわけで、まずはUbuntuの拡張機能事情を解説していこう。

Ubuntuの拡張機能事情

 とにもかくにも、まずは「Extension Manager」をインストールしよう。

 これは拡張機能のインストールやアンインストールを含めた管理をするものだ。

 「Ubuntuソフトウェア」を起動し、「extension manager」で検索してインストールするのが簡単だ。

 インストール完了後、起動すると初回のみ表示されるダイアログを閉じると「プリインストール」に3つの拡張機能がある。これがあらかじめ有効になっている拡張機能だ。

あらかじめ有効になっている拡張機能

 1つ1つ見ていこう。

Desktop Icons NG

 「Desktop Icons NG」の「NG」は決して悪い意味ではなく、New GenerationあるいはNext Generationを表している。もともと「Desktop Icons」という拡張機能があり、これを独自に強化したものがUbuntuでも採用されたという経緯がある。

 役割としては、その名のとおりデスクトップにアイコンを表示したり、右クリックで表示するメニューの項目を増やしたりするものだ。

 というのも、素のGNOME Shellにはこれらの機能はない。デスクトップにアイコンは置けず、右クリックメニューも極めてシンプルだ。Ubuntuではそこを独自に強化しているということになる。

 「設定」-「外観」-「デスクトップアイコン」で設定の変更ができるが、「Extension Manager」の歯車アイコンをクリックするとより細かな設定の変更が行なえる。

デスクトップアイコンの設定

Ubuntu Appindicator

 「Ubuntu Appindicator」は、少し分かりにくいがトップバーの右側に表示できるアイコンを増やす機能を担っている。

 リモートデスクトップビューアーである「Remmina」を起動した状態でUbuntu Appindicatorの表示をオフにすると、右上に表示されていたRemminaのアイコンが消える。

Ubuntu Appindicatorが有効なのでRemminaのアイコンが表示されている

Ubuntu Appindicatorを無効にするとRemminaのアイコンが消える

 これで逆説的にUbuntu Appindicatorがアイコンの表示に影響を与えていることが分かる。

 Extension Managerの歯車アイコンをクリックすると本当に細かな設定の変更が行なえるが、通常は変更する必要がないだろう。

Ubuntu Dock

 GNOME Shellの左側に表示されているバーはDashというが、これをDockのように扱える変更を加えるものだ。

 Dockのように扱えるといっても分かりにくいが、ようするにいい感じに好きにできる。たとえば常に表示したり、逆に自動的に隠したり、幅を伸縮したりできる。細かな設定は「設定」-「外観」-「Dock」で行なえる。デフォルトのGNOME Shellでは常にアクティビティ・オーバービューの状態でのみ表示する。

Ubuntu Dockの設定

パッケージ化されている拡張機能

 前出の3つの拡張機能は、Ubuntuであらかじめ有効になっているものだ。ということはパッケージ化して提供されていることになる。

 ではほかにパッケージ化されている拡張機能はほかにあるのかというと、少数ながら存在する。

 Ubuntuでは原則としてDebianにあるパッケージを取り込んでいる。Debianには多数の拡張機能がパッケージ化されて提供されているが、Ubuntuでインストールできるのは前述のとおり少数だ。メンテナンス上の都合という理由が公表されている。

 パッケージ化されているがインストールはされていない拡張機能は以下のとおりだ。

名称 パッケージ名 役割
GPaste gnome-shell-extension-gpaste クリップボードマネージャー
KDE Connect gnome-shell-extension-gsconnect スマートフォンとの接続
KDE Connectのブラウザーサポート gnome-shell-extension-gsconnect-browsers
Hijri gnome-shell-extension-hijra イスラムのカレンダー
拡張機能集 gnome-shell-extensions GNOMEが用意している複数の拡張機能

 これらの拡張機能を有効にするためには、まずパッケージをインストールし、GNOME Shellを再起動する。最も簡単な方法は一度ログアウトしてログインすることだ。その後Extension Managerを起動してトグルスイッチをオンにする。

新規の拡張機能を有効にする

 拡張機能はこれだけしかないのかと言われると当然そのようなことはなく、GNOME Shell拡張機能で多数の拡張機能が配布されている。

 とにかく膨大な数の拡張機能が登録されているので、この中から必要なものを探し出すのはなかなか難しい。というわけでいくつかピックアップして紹介する。

インストール

 まずインストールしてみるのにおすすめなのはRunCatだ。インストールするとトップバーで猫がCPU負荷に応じて走る。CPU負荷が高いと高速に走り、逆に負荷が低いとゆっくり走る。

 ではインストールしていこう。Extension Managerを起動して「探す」を開く。文字の入力欄があるので「runcat」と入力するとRunCatが表示されるので、「追加」をクリックする。

「runcat」で検索して追加する

 続けてインストールするかどうかのダイアログが表示されるので「インストール」をクリックする。インストールが完了すると猫が走り出す。

走っている猫

 「追加済」を見てみると、「手動で追加」にRunCatが追加されている。歯車アイコンの右にあるトグルスイッチで有効無効を切り替え、右端のボタンをクリックすると詳細が表示されて削除もここから行なえる。

有効無効の切り替えと削除も行なえる

Burn My Windows

 いよいよおすすめの拡張機能を紹介していく。手始めにウィンドウを燃やそう。

 Burn My Windowsはウィンドウを表示した際と、消した際に炎の効果を追加する。すなわちウィンドウを燃やすことができる拡張機能だ。

心を燃やし、ウィンドウも燃やそう

 この説明を読んでも何の役に立つのかさっぱり分からないという感想を抱くだろうが、実際何の役にも立たない。ただデスクトップが派手になるだけである。

 さらに設定を見ていくと、燃やすほかにも全16種類の効果から選択できる。今日は燃やす気分じゃないので恐竜に襲われてみるか(T-Rex Attack)など気分によって変えられる。さらに複数の効果を選択しておくとランダムで適用される。いたれりつくせりすぎて恐れ入る。

Compiz windows effect

 Compiz windows effectもウィンドウを派手にする拡張機能だ。

 Compizとは何なのかの説明は省略するが、Compizにあったウィンドウをグラグラ揺らすプラグインをGNOME Shellで実現するものだ。

心を揺らし、ウィンドウも揺らそう

 これまたまったく何の役にも立たないが、ウィンドウを動かすのが少し楽しくなることだろう。

Blur my Shell

 「探す」の例にあるBlur my Shellもおすすめの拡張機能だ。これも何かの役に立つわけではないが、GNOME Shellにブラーをかける。端的にいうといろいろ半透明になる。

 オーバービューだと特に効果がよく現れる。どんな状態でも背景(壁紙)が見えているとうれしいので、よほどCPUやGPUが非力でない限りは適用しておきたい拡張機能だ。

Blur my Shell適用前

Blur my Shell適用後

TacTile

 ここからは実用的な拡張機能を紹介しよう。昨今のディスプレイは大型化・高解像度化する傾向にあり、1つのワークスペースをタイルのように分割して使えると作業がはかどる。

 とはいえいちいちマウスでウィンドウのサイズを変更するのも不便で、狙ったウィンドウを簡単な操作で一定の大きさにできると便利だ。

 Windowsだとスナップ機能に該当し、Ubuntu(GNOME)にも類似の機能はあるが、より細かく大きさを調整できるようにするのがこの拡張機能の役割だ。

 TacTileをインストールし、サイズ変更したいウィンドウをアクティブにしてからおもむろにSuper(Windows)+Tキーを押すと、デスクトップにガイドが表示される。そこにはアルファベットも表示され、そのキーの組み合わせを入力するとウィンドウがその大きさになる。

この状態で、たとえば「qw」と入力すると左上に2マス分の大きさにリサイズされる

 説明を読んだだけではあまりピンと来ないだろうが、慣れると手放せない拡張機能になる。

 なお今回は2×4の8マスになっているが、マス数は設定で変更できるのでさらに高解像度のディスプレイでも安心だ。

Clipboard History

 Clipboard Historyはその名のとおりクリップボード履歴ツールだ。「パッケージ化されている拡張機能」で紹介したGPasteも同じ役割のもので、どちらか好きなものを使えばいいし、同様のツールはたくさんあるのでそれらでもいいだろう。

Clipboard Historyのメニュー

 何を選択するにせよ、クリップボード履歴ツールは便利なので使用を強くおすすめしたい。もちろんクレジットカードの番号など履歴に残ると困るような文字列には注意が必要だ。Clipboard Historyはプライベートモードの切り替えが簡単にできるので、そこは便利な点だろう。もちろん他のクリップボード履歴ツールでも同様の機能を持つものはある。

Emoji Selector

 Emoji Selectorもその名のとおりで、絵文字の入力を補助する拡張機能だ。Mozcでも絵文字の入力はできるし、「文字」というアプリケーションにも同様の機能もあるが、狙った絵文字を変換するのはなかなか困難で、「文字」はいちいち起動しなければいけないのが不便だ。

「文字」でも絵文字の入力はできる

 GNOME Shellの検索欄で絵文字の検索もできるが、ここで選択した絵文字を入力するのはなかなかの猛者で筆者でもしない。

GNOME Shellの検索欄でも絵文字の検索ができるのはできる

 そんなときに使用すると便利なのがEmoji Selectorというわけだ。絵文字はジャンルごとに分かれており、一度使用した絵文字は履歴として残る。

Emoji Selectorのほうが圧倒的に探しやすい

 選択した絵文字はクリップボードに追加されるので、貼り付けしよう。

 Ubuntu 22.04 LTSのリリース時点では、Emoji Selectorが最新のGNOME Shellに対応しておらず、6月になって対応版がリリースされた。これは拡張機能にはよくあることで、Ubuntuのアップグレード前には愛用している拡張機能が最新のGNOME Shellに対応しているかどうかを確認しておくのがいいだろう。

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