【山田祥平のRe:config.sys】消しても消しても点くテレビ

PC Watch

 今どきのTVはどうなっているのだろうという興味本位で買ってみた。置き換えではなく、リビング以外の部屋で使うのが目的だ。ところが、不思議な現象に悩まされることになる。今回はその顛末について考えてみる。

今どきのTVを買ってみた

 大手量販店の通販で購入したTVはシャープの4K液晶TV「4T-C50DN2」だ。サイズは50V型。TV放送用のものは2009年に購入したフルHDのプラズマTVが健在で、途中で一度故障しマザーボードの交換に数万円を使ったり、リモコンが故障して一部のボタンが機能しなくなったが製造終了していたのでメルカリで中古品購入するなどのトラブルはあったものの、今も不満を感じることなくリビングルームで使っている。

 これからTVを購入するなら4K解像度だろうし、せっかくだから有機ELのものをとも考えたのだが、なかなか手頃なものが見つからない。有機ELパネルの新製品はほとんどが50V型超でちょっと大きすぎる。そこで、もう枯れていて大きな失敗はないだろうという判断で液晶パネルの製品を選んだ。

 半導体不足の影響を受け、納期遅れも心配していたのだが、幸い即納で届いた。でも欲しいデバイスについては、当面は少し購入を急いだ方がよさそうだ。

 TVは届いたが、手頃なTV台を物色して注文したものの、こちらの納期が1カ月以上先だとのこと。木材不足によるのだろう。待つしかないが、本当に1カ月後に届くかどうか分からない。それまではタンス用の衣装ケースの上に鎮座させて使うことにした。床に座って見るには衣装ケースの高さはちょうどいい。

 このTVは、Android TV搭載の製品だ。各種のコンテンツサービスをアプリを使って楽しむことができる。TV放送もアプリの1つだが、レガシーなTVと同様に、見かけとしてはTV放送と各種配信サービスの利用についてはうまく分離されていて違和感がないようになっている。リモコンには主な配信サービスのボタンがあって、それらを使うことでTV放送とコンテンツサービスをシームレスに切り替えることができるので、特にAndroidを意識する必要はない。

 TVにはアンテナ線とLANケーブルを繋いだ。またHDMI端子の1つにレコーダを繋いだ。WANはNTT東日本のフレッツ 光ネクスト ファミリー・ギガラインタイプで、プロバイダはIIJmioを使っている。光を有線LANに変換するONUに市販のルーターを接続し、その先にあるハブからの配線だ。

不思議な現象に遭遇

 不思議な現象はリモコンの電源ボタンを押してTVを消しても、数分~数十分経つと、いつの間にかオンになっていることだ。消しても消しても画面がいつのまにか点灯している。TV放送の画面にはならないので音が出ないが、Android TVのホーム画面や、電源を切った直前に楽しんでいたコンテンツサービスの画面が表示されてしまう。

 最初は、リモコンを疑った。なんらかの原因でリモコンが電源をオンにする信号を出してしまっているのではないかと思ったのだ。だが、リモコンを隔離しても現象は変わらなかった。TVの再起動もやってみたが現象は変わらない。接続したビデオレコーダがHDMI CECで制御信号を送っているのかもしれないとケーブルを抜いてもみたのだがだめだった。

 確認したがファームウェアやOSも最新の状態になっている。製品としては今年(2021年)の5月に発売されたものなので半年が経過しているが、それほど古い製品だとは言えない。

 色々と試行錯誤したものの解決しない。インターネットでTVの形名と現象をキーワードに探してみるもののズバリの回答が見つからない。

 だが、ヒントは得られた。ほかの機種で同様の現象が起こっているようなのだ。シャープのサイトを探してみると、お知らせの中に「TVが勝手に動作する場合の確認ポイントについて(Android TV)」という項目が見つかった。開くとPDFが表示されたが、対象機種には手元の製品は含まれていない。
 読んでいくと、6つのケースが紹介されていた。

  1. 視聴予約により、TVの電源が入る事例
  2. おはようタイマーにより、TVの電源が入る事例
  3. 無操作オフ機能により、TVの電源が切れる事例
  4. スマホのキャスト機能により、TVの電源が入る事例
  5. スマホのBluetooth機能により、画面が切り換わる事例
  6. アプリ(名称: Raziko)により、TVの電源が入る事例

 1~3については特に設定していない。4はChromecastによってスマホなどからキャストを受信している機能で解決方法としては無効にするように説明されている。いったん無効にしてみたが現象は解決しなかった。大事な機能なのにこれを無効にしろというのもどうかと思う。

 5についてはペアリング設定をスマホで開始すると、ペアリングリクエスト通知を表示するためにTVの画面が切り換わるというもので、今回の事例とはちょっと違う。もちろんペアリングリクエストも出していない。ちなみに、この解決策としてはペアリング通知を無効にするように説明されている。

 そして最後の5だ。最初、Razikoはタイプミスかと思った。インターネットでラジオ放送が楽しめるradikoなら知っているが寡聞にしてRazikoは知らない。調べてみると現在はGoogle Playでの配布は行なわれていないアプリで、radikoのサービスをより軽快に利用するためのアプリのようだ。もちろん自分でインストールした覚えはない。

 説明を読むと、このアプリをアンインストールすると現象が回避できる場合があると説明されていた。つまり、プリインストールアプリなのだ。深掘りしていくと、本家のradikoサービスの要請で公開を停止したらしい。だが、radikoはAndroid TVをサポートしていないため、インストールすることができない。TVでラジオを楽しみたいユーザーのために、シャープ側であらかじめインストールした状態で出荷していることが分かった。

 設定画面を開いて確認すると、対象製品ではないものの、手元のTVにもしっかりとRazikoがインストールされていた。アンインストールすると元に戻すのが面倒なので、いったんこのアプリを強制停止して様子を見る。

 不思議な現象はピタリと止まった。ビンゴだったようだ。

お粗末な顛末

 TVが消せない現象は、数時間の試行錯誤で解決したが、どうにもモヤモヤして仕方がない。

 まず、シャープともあろう企業が一般家庭で使われるTVのような製品に、数年前に公開が停止されているアプリをプリインストールしていること。問題が起こっていることを確認していながら、半年前に発売された製品でもプリインストールを続けていること。そして、その問題解決のためのお知らせに、最新機種が対象として含まれていないことだ。

 機種名を指定してのサポート情報だけではこの情報は得られなかった。また、radikoの公式サービス利用の代替手段であったとしても、いわゆる勝手アプリをプリインストールしているというのはどうなんだろう。

 使っていないRazikoがどのような通信のためにスリープ状態のAndroid OSを起こすのか、詳細は分からない。問題は解決したものの、どうにもスッキリしない顛末だ。2021年、今どきのTVが、これほどお粗末な状態で出荷されているとは思いもしなかった。

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