でかくなった!
ふだん外で使っているものを部屋の中に持って入るとでかくなるので面白いです。
傘を部屋の中で開くとでかい
この前、折り畳み式の傘を買った。
届いた傘がどのくらいの大きさなのか、雨が降る前に知っておこうとなんの気なしに開いてみたのだ。
そしたらものすごくでかかった。
あんなにコンパクトだった折り畳み傘がこんなに巨大になるなんて!部屋を半分くらい覆ってしまうくらいのインパクトだった。
しかしである。これを外で広げたら心もとないくらいに小さかったのだ。
この時わかった。外で使うものって、家の中に持ち込むとでかく感じるのだ、と。
洞窟に暮らしていた先祖も、捕まえてきたマンモスを中に入れた時に同じ思いをしたことだろう。人類が新しい知識を獲得した瞬間に立ち会ったような刺激を感じた。
この法則を確かなものにするため、ふだん外で使っているものをいくつか部屋に持ち込んでみた。
ゴミ箱はどうか
僕が住んでいる地域では、ゴミを指定のビニール袋に入れてから各自のゴミ箱に収納して集積所へ置くことになっている。カラスに荒らされないようにである。
この時、各家庭のごみ箱が一堂に会すわけだが、いつもうちのゴミ箱はほかの家のに比べて小さいなと思っていたのだ。
指定の袋は同じサイズなので、うちは袋に入れたゴミをわりと押し込み気味にゴミ箱に詰めている。もう一回り大きいのにしたらいいだけの話なのだけれど、ゴミ箱って壊れないから買い換えるタイミングがわからないのだ。
ここで室内の傘はでかい、の理論である。もしかしたら外で使っているゴミ箱も、部屋の中に持ち込んだらでかく見えるのではないか。よく拭いてから持って入ってみた。
やはりそうだ。いつも家の外に置いてあるゴミ箱が部屋の中にある違和感がまずすごい。「AIが描きました」みたいだ。
そしてなにより、いつものゴミ箱が1.3倍くらいでかくなって見える。
これで確信した。
外で使うものを部屋に持ち込むとでかくなる。この仮説は正しい。暇だからあとひとつふたつ試してみたい。
脚立なんてどうか
子どもが小さいころは運動会に脚立を持って行っていた。群衆から頭一つ抜けていい写真を撮るためである。
子どもが小学校2年くらいまではこれでよかった。しかし回を重ねるごとに周りのお父さんたちが持ち込む脚立がでかくなりだしたのだ。
子どもが5年生になり組体操やるころになると、光回線の工事か!くらいのごついやつを持ってくる親が現れた。このままいくと来年は足場を組み始める猛者もでてくるだろう。
恐れをなしたのは僕らだけではなく学校も同じだった。翌年には脚立が全面禁止となったのだ。子育てにおける戦いの歴史である。
あの頃、周りから見下ろされていたうちの脚立も、室内に持ち込んだらでかく見えるのだろうか。拭いて持って入ってみた。
ドアを抜ける時点ですでにたたまないと入らない。これはでかいぞ。
部屋の中で脚立を広げて上に立ってみた。
(た、高い)。
予想通り脚立は巨大化し、部屋の中で異形を放っていた。こんなわけのわからない道具は家の中にない。高い目線で見下ろす室内はいつもの部屋とは違って見え、テレビの上にほこりがたまっているのが見えた。
自転車のでかさにおののく
次は自転車である。
僕はロードバイクを持っているんだけれど、ちょっとその辺に買い物に行くには速すぎて不便なのだ。かごもないし泥除けもない。
ということで家族で1台、いわゆるママチャリを共用で使っているのだけれど、共用なので子どもの身長に合わせてあり、僕には小さいのだ。
もしかしたらこの自転車も、部屋まで持って入ったらでかくなるんじゃないか。
思い切って玄関を開け放ち自転車を入れる。蚊も一緒に入ってきたが知るか。
部屋に入れ、駐輪してみて驚いた。
外ではあんなに可愛かった自転車が、急にハーレーくらいの図々しさである。おれはいままでこんな鉄の道具を乗り回していたのか。
大きさに驚くと同時に、いままで気にしたことがなかった細部にまで目がいく。
すごい効果である。やはり外で使うものを部屋の中に持ち込むとでかくなる、の法則は普遍的なようだ。いつか壁を壊して車入れたい。
逆はどうか
最後になるが、逆もまた真ではないのか。つまり室内ででかく見えるものは、外に出すと小さくなるのではないか。逆ではなく対偶だったか、忘れた。
家の中で一番でかい家電、テレビを外に出してみる。
予想に反してけっこうでかいままだった。
でかいといってもうちのテレビはたぶん40型くらいである。一般的なサイズだろう。平べったいからだろうか、それとも家の前のスペースが狭いからだろうか。テレビは極端に縮むことなく、外でもでかい顔をしていた。
結論:部屋に持って入るとでかくなる
結論として、普段外で使っているものを部屋に持って入るとでかくなる、が成り立つようだった。逆もまた真なり、と言いたかったがこちらはもうすこし検討が必要なのかもしれない。もしくはそもそも検討とか不要な案件なのかもしれない。