そういえばチェリーパイを食べた記憶がない。
イメージは、アメリカの優しいグランマが焼いてくれた自家製パイだ。
絶対おいしいに決まってる。
今年2022年8月末で閉店することになった日本最後のアンナミラーズで、本場のチェリーパイを食べてみることにした。
本場のチェリーパイは品川に
チェリーパイといえば、映画「スタンドバイミー」の早食い競争シーンが頭に浮かぶ。
手を使わず顔をパイにうずめて食べまくるのだが、そのうち選手だけでなく観客までもがみんなゲーしはじめるとんでもないシーンだ。
あの強烈なシーンのおかげで、私のなかでパイ=アメリカとなった。
そんなアメリカの、本場のパイが食べたい!
そう思いアンナミラーズに向かった。
※あとで調べたところ、スタンドバイミーに出てきたのはブルーベリーパイでした。
アンナミラーズといえば制服だ
世間知らずな私でも、アンナミラーズのことは20年以上前から知っている。
ただ、入ったことはなく、パイが名物とも知らなかった。
あるのは「可愛くてセクシーな制服を着たウェイトレスさんがいるお店」のイメージ。
今ではアニメやメイド喫茶で見られるような制服だけど、知った当時はかなり衝撃的だった。
おとなしい学生だった私にはその制服がイケイケ民のためのものに見えてしまい、入る勇気が無いままでいた。
閉店を知った客が殺到
先日、日本最後のアンナミラーズが閉店することを知った人たちが、この高輪店に殺到している、とニュースになった。
それを見てパイが有名なのだと初めて知り、チェリーパイが無性に食べたくなったのだ。
きっと長蛇の列ができているのだろう、と気合を入れてむかった。
しかし実際は並んでおらず、機械でレシートのような紙を発行し、時間になったら行けばいいようになっていた。良い時代になった。
紙にはQRコードがあって、そこにアクセスすれば残りの待ち組数がいつでも確認できる。
なお呼ばれたら、30分以内に入らないとキャンセルになってしまうから要注意だ。
それと、パイは10時と18時しか焼かないらしい。
売切れ次第販売終了なので、どうしても食べたいパイがあるなら、その時間にお店にいないといけない。
はたしてチェリーパイが食べられるのか?ドキドキしてきた。
私は品川でもう一件取材があったのでその撮影をしながら待つことにした。
ほかにも、周辺には水族館や映画館やショッピングができる所があるので、時間はけっこうつぶすことができる。
制限時間は90分
入店すると90分という制限時間があった。
17時に入店したので、18時半までいられることになる。
次のパイは18時にできるから、食べたいパイは全て食べられそうだ!やった!
なお、パイができる時間になると、入店順にオーダーを聞きに来てくれるとのこと。
店内を見渡すと、女性が9割、パイのオーダー率も9割といった感じだ。
さっそく店員さんにチェリーパイを頼んだ。
きっと一番人気でもう無いのだろうと思っていたが、残っていたのだ。
オレゴン州に来ているな、と思った。
オレゴン州に行ったことはないし、よく知らないのだけど、直感でオレゴン州を感じた。
オレゴン州のふくよかな体型の優しいグランマが作ってくれたチェリーパイはきっとこれなのだ。
ちなみにスタンドバイミーの舞台もオレゴン州である。
※あとで調べたところ、アンナミラーズはペンシルベニア・ダッチ(ペンシルバニア州に移り住んだドイツ系アメリカ人)スタイルの家庭料理がコンセプトでした。
甘酸っぱい恋の味
こんなに良いんですかというくらい、アメリカンチェリーがふんだんに入っている。
おいしくてテンションがあがり、♪こ~い~しちゃったんだ、たぶん、気づいてなーいでしょ~? とYUIの「チェリー」を思わず口ずさんでいた。
パイ生地自体はあまり味がないが、ただ食感がよくて主役のチェリーを良い感じにサポートしていた。
一気に食べるのはもったいないので、もういっこ頼んでいたパイも食べてみよう。
甘さを覚悟して挑んだが、クリームもカスタードも、思ったほど甘すぎずバクバクいけてしまう。
これも美味しい!
いま、カリフォルニア州にいるな、と思った。
カリフォルニア州には20年以上前に初めての海外旅行で行ったことがあって、ハリウッドやユニバーサルスタジオなどでベタに遊んだ。そのあとサンフランシスコで財布を落としたのだけど。
財布が無いまま観光したアルカトラズ島(監獄の島)から見たサンフランシスコのまちは、このパイのようにキラキラと輝き、そしてプルプルと揺らめいていた気がする(悲しみの涙でそう見えただけかもしれない)。
※あとで調べたところ、アンナミラーズはペンシルベニア・ダッチ(ペンシルバニア州に移り住んだドイツ系アメリカ人)スタイルの家庭料理がコンセプトでした。
堪能していると、パイの焼きあがる18時になった。
可愛い店員さんが、約束通りオーダーにきてくれた。
店員さんに一番人気のパイを聞くが、どれも人気だしおススメのようだ。
せっかくなので先ほどは売り切れていたキーライム、そして、バナナパイとチョコレートパイを一気に堪能できるバナナチョコレートパイをオーダーした。
ニューヨークの味がする
いま、私はさきほどいた西海岸から東に一気に飛んで、ニューヨークにきています。
キーライムのクールな感じはニューヨークでバリバリ働くキャリアウーマンが食べていそうだし、チョコレートバナナはその旦那さんや子供たちがむしゃぶりついていそうである。
ああ、本当にアメリカを感じられるお店だ。すっかり旅行気分である。
ペンシルベニア州がコンセプトでした!
これだけオレゴンだ、カリフォルニアだ、ニューヨークを感じると書いてきたが、調べたところアンナミラーズは「ペンシルベニア・ダッチ(ペンシルバニア州に移り住んだドイツ系アメリカ人)スタイルの家庭料理がコンセプト」らしい。
そうか、ペンシルバニア州だったのか。
ニューヨーク州の隣の州だから、最後は惜しかったな。
そしてそう言われてみると、ドイツの感じもなんとなくしたなあ、と思う。
本場の味とは?と考えようとしたけど些細なことなのでやめた。
とにかく憧れのチェリーパイはとても美味しかった。
今後も通販で食べられるぞ!
アンナミラーズのサイトによると、今回の閉店理由は以下だった。
“今回、国土交通省より品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請があり、移転対象となる他店とともに退店について合意し協力することとなりました。”
今後の新規出店は未定だそうだが、全国にファンがいるため通販サイトでの販売は続けるそうだ。アメリカ本場の味は、まだ食べられるのだ。
1ピースの販売はなくホールでの販売みたいだ。
今度はみんなでチェリーパイを食べながらダンスパーティをしようと思う。(私のアメリカのイメージ)