AOKIの五輪をめぐる賄賂でまた電通?:晩節を汚す電通経験者

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あまりメジャーなニュースになっていませんが、注目しているのが紳士服のAOKIがオリンピック組織委員会の高橋治之元理事に振り込んだ4500万円を巡る話題です。組織委員会で活動していた時も既に70代をだいぶ過ぎた電通出身の高橋氏が相当のスポンサー企業を集めたとされる中でこの資金が賄賂だったのか、調査が進みます。

視点は2つで「また電通?」もう1つはいくら電通専務経験者とはいえ、顧問を降りた後でもこれだけ電通社内に影響力を及ぼすことができるのは人と人の繋がりがビジネスの基盤ということを改めて見せつけたということでしょうか。そういう意味ではずいぶんご活躍されたのだと思いますが、晩節を汚す、という言葉もありますね。さてさて。

電通本社が入居するビル Wikipediaより

では今週のつぶやきをお送りします。

サマーラリー

目先の重大イベントが終了したのでマネー市場はいよいよ本格的な夏休み気分になり、3週間ほどは夏祭りとまでは言いませんが、盆踊りぐらいの相場にはなるとみています。今回、GAFAMの決算発表では決して良い決算ではなかったのに株価は逆行高になり、先行き期待が高まった点です。市場用語でいう「あく抜け」に近い状態です。引き続き、小型銘柄は決算後、暴落するものも散見できますが、前四半期ほどではないのは確かで、これは株式市場にとってはありがたいことでしょう。

個人的には金融政策に於いて利上げの頭打ちがなんとなく見えてきたこと、悪いと言われる企業業績もそこまで落ち込まずに済みそうだということが好感されたとみています。着目したのが「米ドルの為替が高すぎて輸出メリットが取れない」という企業の声でこれは当然パウエル議長にも届いているはずです。利上げによるドル高は必ずしも歓迎しないという市場の声は景気全体を考えれば無視できません。

このところの円相場も重大な転換点です。急激に円高に振れたのは日米長期金利の差が拡大していたこともあるのですが、これが縮小しており、いわゆる「ワニ口」が閉まりつつある中で現時点での妥当な為替は130円程度になりますのであと3円ほどの修正があってもおかしくないでしょう。日本の株価は不思議と円安を囃すので海外はサマーラリーなのですが、日本は一緒に盆踊りできないのでしょうか?

バイデン-習近平電話会談

2時間20分もよく受話器を握りしめていたと思います。報道からは話をしてよかったけれど成果ナシという感じでしょうか?話すテーマはいろいろあったと思いますが、電話ではどうしても伝わらないこともあります。その点で、リアルミーティングを開催すべき事務方への指示はプラスでしょう。両氏とも秋に自身の今後を占う重大なイベントを控えますが、両氏とも取り巻く環境は雨でバイデン氏は土砂降りに近い状態です。双方でポイントをあげたいところでしたが、いかんせん、隔たりが大きかったと思います。

台湾に関してですが、私はバイデン氏のポジション、「ひとつの中国は認めるが、現状変更は許さない」という発想は台湾をより中途半端にするとみています。氏は明白に「台湾独立は反対する」としています。これでは「触らぬ神に祟りなし」にしか見えないのです。ちなみにこの話を台湾の人に振ると口をつぐみます。タブーではないのでしょうが、決して中国本土を刺激しない「腫れ物に触る」ような態度であり、むしろ外野が本質を見ぬままにかき乱しているように感じます。同じことは朝鮮半島の両国間の停戦状態と全く同じで、それを維持しようとするのが西側政策ですが、これが本質論とも思えません。

結局、バイデン外交、ひいては民主党外交はいいとこどりで表面なぞりの政党でしかないということです。では習近平氏は鉄壁かといえば北戴河会議のリーク情報待ちですが、どうも習氏の三期目人事は確定でむしろそのお祝いのために世界の首脳をどう集めるか、そちらに話題が移りつつあるようです。また政治局常務委員会の7名の人事の調整中です。党大会開催場所は北京でしょうが、意表を突いて台北開催としたら世界の驚愕でしょうね。習氏はそれぐらい台湾にこだわっているわけで氏の政治生命を賭けた戦いは続きそうです。

不思議な佐渡金山世界登録遺産の書類不備問題

自民党の佐藤正久外交部長が切れまくっています。韓国からのチャチャも入り、あれだけ話題になった佐渡金山の世界登録遺産に関して末松信介文科大臣が来年の登録断念ともいえる秋までの書類再提出を発表しました。一部からは「書類不備?、なんだ、それは!」という厳しい声があがります。政治的にも満を持して対応すべき内容でしたが奇妙な落とし穴があったということです。

そもそもは申請のタイミングが間に合っていませんでした。本来は21年9月末がユネスコ側の暫定版提出期限ですが、日本政府が暫定版を出したのは21年末で正式申請は2月1日の申請期限日でした。受け付けてもらったものの内容の中で「西三川砂金山の水路が途中で途切れている点」の補足説明不備が指摘されました。これが今年2月28日。

ところがユネスコは2月1日時点で書類の修正の受付期限も閉め切ったため、対応策として「説明不備はない」と書類修正せずにユネスコを説得しようとしたわけです。ところがユネスコ事務局が7月27日に「日本側の説明ではダメ。不備は不備(=つまり今年はプロセスしない)ということを通告したため、2月末から粘ったものの決着がついてしまった、ということです。

この流れで見るとユネスコの事務方のプロセスに不明瞭な点はなく、むしろ、日本政府が期限ぎりぎりでの正式申請で一発合格を狙ったわけだったのです。これはいくら何でも無謀です。ではなぜ、昨年9月末に書類を出せなかったのか、ですが、佐渡金山の世界文化遺産申請は長年の地元の夢でしたが、韓国側の反対を含めた外野の整理に時間がかかった、これが本当の理由だろうとみています。

そもそも時間に負けていたわけです。これは政府の失態と言われても致し方ないのですが、政治家がそれを言っちゃおしまいよ、と思います。役人に優秀な人がいなくなったと以前、このブログで書きましたが、結局、官僚が不人気職になったことが影響したともいえそうです。不人気職にした一因は政治家にあることをよく考えてもらいたいものです。

後記
この1週間で立て続けに3人の日本人の若者と会ったのですが、その3人の共通点は日本の大学を卒業後、就職をせず、海外に飛び出してきている点です。一昔前は就職もしないでの海外は相当変わり者とされたのですが、もしかするとこれが今のトレンドになりつつあるのでしょうか?その背景は二つあり、「就職が怖い」と「日本の会社には入りたくない」のようです。前者は当事者のメンタル上の問題、後者は日本の将来への警鐘です。明らかに何らかの地殻変動が起きているような気がします。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年7月30日の記事より転載させていただきました。