【西川和久の不定期コラム】1型センサー+ライカなスマホ第2弾!「シャープ AQUOS R7」

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AQUOS R7

 シャープは5月9日、1型センサー搭載の5G Androidスマホ「AQUOS R7」を発表、現在販売中だ。扱うキャリアはソフトバンクとNTTドコモの2社。今回前者が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 8 Gen 1に1型センサー+ライカを搭載したハイエンドスマホ

 去年(2021年)リリースされた「AQUOS R6」とライカチューンの「Leitz Phone 1」は、1型センサーを搭載、ライカとの協業ということでかなり話題になった。後者をレビューしたところ、カメラはAFが遅いなどクセはあるものの、当たると抜群の発色だった記憶がある。

 今回ご紹介する「AQUOS R7」は1型センサー+ライカの第2弾だ。扱うキャリはソフトバンクとNTTドコモ。前モデルと比較して違いはざっくり挙げると、SoC、ストレージ容量、AF方式も含む背面カメラ構成、5Gミリ波対応、eSIM対応、Qi対応……そして価格となる。スマホとしての基本性能はともかくとして、背面カメラが随分変わっているので気になるところ。主な仕様は以下の通り。

シャープ「AQUOS R7」の仕様
SoC Snapdragon 8 Gen 1(オクタコアCPU 2.9GHz+1.7GHz)、Adrenoを内包
メモリ 12GB/LPDDR5
ストレージ 256GB(UFS3.1)
OS Android 12
ディスプレイ 6.6型Pro IGZO OLED(1,260×2,730ドット)、リフレッシュレート1~240Hz
ネットワーク Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)
SIM Nano SIM、eSIM
対応バンド 5G n3/n28/n77/n78/n79/n257(ミリ波)
4G LTE FDD Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/18/19/20/21
4G TD-LTE Band 38/39/40/41/42
3G UMTS(WCDMA) Band 1/2/4/5/8
2G GSM 850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイス USB Type-C、microSD(最大1TB)、3.5mmジャック、ステレオスピーカー
生体認証 顔認証、指紋認証(3D超音波指紋センサー「Qualcomm 3D Sonic Max」)
カメラ 前面 約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当)
背面 約4,720万画素/F1.9(焦点距離19mm相当)/1型、電子式手ブレ補正、約190万画素/F2.5測距用センサー
サイズ/重量 約77×161×9.3mm(幅×奥行き×高さ)/約208g
バッテリ 5,000mAh、Qi対応
その他 IPX5・IPX8/IP6X
カラー ブラック、シルバー
価格 18万9,360円(ソフトバンク)/19万8,000円(NTTドコモ)

 SoCはSnapdragon 8 Gen 1。オクタコアCPU(2.9GHz+1.7GHz)で、Adrenoを内包する。メモリは12GB/LPDDR5、ストレージは256GB/UFS3.1。OSはAndroid 12。前モデルがSnapdragon 888 5G/128GB/Android 11だったのでSoCとストレージ容量そしてOSのアップデートとなる。

 ディスプレイは6.6型Pro IGZO OLED(1,260×2,730ドット)。OLEDでIGZOというのは同社ならでは。リフレッシュレートは1~240Hzの可変だ。

 ネットワークはWi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)。インターフェイスはUSB Type-C、microSDカードスロット(最大1TB)、3.5mmジャック、ステレオスピーカー。生体認証として顔認証、指紋認証(3D超音波指紋センサー「Qualcomm 3D Sonic Max」)を搭載。なお指紋認証はパネル内タイプだ。

 SIMはNano SIMとeSIM。前モデルではNano SIM×2(うち1つはmicroSDカードと排他)だったが、本機ではeSIMが追加された替わりにNano SIMは1つとなった。対応バンドは表を参考にして欲しいが、n257(ミリ波)にも対応する。

 カメラはライカとの協業は変わらず。前面は約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当)と同じ。背面は約2,020万画素から約4,720万画素へ大幅にアップ。F1.9(焦点距離19mm相当)/1型は同じだ。電子式手ブレ補正で光学式でないところも同じ。またToFだったのが約190万画素/F2.5の測距用センサーへ変更となった。AFはコントラストAFから全面位相差AFへ。この2点は実際撮影時にいろいろ改善点となりそうだ。

 Qi対応の5,000mAhのバッテリを内蔵、IPX5・IPX8/IP6X対応でサイズ約77×161×9.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量約208g。カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色。価格は、18万9,360円(ソフトバンク)/19万8,000円(NTTドコモ)。前モデルR6が11万円台だったのでかなりの値上げだ。さすがにいろいろな部分がハイエンドなだけに高価となるのは仕方ないところか。

iPhone 13 Proとの比較。全体的に一回り以上大きい

 今回手元に届いたのはシルバー。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにサイズ的には大きめ。また200gを超えているので少々重い。ただR6は縁がエッジレスで持つ手で画面の端が隠れてしまうケースがあったが、本機はフチありとなったので、この点は扱いやすくなったと感じる。

 前面はパネル中央上にパンチホールの前面カメラ。指紋認証は画面内だ。リアは中央上側に背面カメラ。中央辺りにFeliCaマークがある。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。上側面にNano SIM/microSDカードスロットと3.5mmジャック。下側面にUSB Type-Cを配置。

 Nano SIMスロットは枠自体に入るのはNano SIMのみ。microSDカードはよくある裏や横ではなく、本体に直接挿し込む形となる。

 6.6型ディスプレイ、Pro IGZO OLEDはさすがと言ったところ。明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。最大輝度2,000cd/平方mあるので、夏の炎天下でも最大にするとそれなりに見える。

 発熱は季節柄もあるだろうが、前モデルそうだったが割とあり、通常使用でも少し長い時間触ったり、長めにカメラを使っていると熱を持つ。

 スピーカー出力は横位置でステレオ。もう少しパワーが欲しいところか。3.5mmジャックの出力は、SONY MDR-EX800STで試聴したところイメージが一転、パワーがありピラミッドバランスで低音がうねるように響く。その分、ボーカルなどの抜けなどがイマイチだが、全体的にはなかなか良い感じだ。

スマホ離れした発色でAF速度などが向上! ただ……

 カメラは、前面約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当)は前モデルと同じ。背面は約4,720万画素/F1.9(焦点距離19mm相当)/1型で電子式手ブレ補正対応。加えて約190万画素/F2.5測距用センサー搭載、AFは全面位相差AFと大きく変わった。

 出力画素数は前面前面1,512×2,016ピクセル、背面は2,976×3,968ピクセル。後者に関しては超広角/広角/望遠/ポートレート全て同じだ。

カメラ。超広角の焦点距離19mm相当がベースで広角と望遠はクロップとなる

超広角/0.7x

広角/1.0x

望遠/2.0x

 撮影モードは、ビデオ、写真(デジタルズーム最大6.0x)、ポートレート、マニュアル、ナイト。その他にハイレゾ、8Kビデオ、タイムラプス、スロービデオ、マニュアルビデオ、vHDRビデオ。前面カメラで使えるのはこのうち、ビデオ、写真、ポートレート、マニュアル、マニュアルビデオ。

 ポートレートモードは前面カメラでは、ぼかし、美肌、小顔、彩度、明るさ。背面カメラでは、ぼかしと美肌が調整できる。ただし前面カメラは写真/ポートレートともに1.0x/1.3x/2.7x(間の値も可能)が可能だが、背面のポートレートは1.5x固定となる。

 設定は、写真が写真サイズ、RAW保存(マニュアルのみ)、レリーズ優先、オートHDR、インテリジェントフレーミング、ガイド線、マルチフォーカス表示、追尾フォーカス、ヒストグラム表示、白とび・黒つぶれ表示、QRコード・バーコード。動画は動画サイズ、フレームレート、画質とデータ量、手ぶれ補正、音声の録音、風切り音低減、AIライブストーリー(30fpsのみ)、AIライブシャッター(30fpsのみ)。共通はフラッシュ表示、セルフタイマー、位置情報付加……など。

 表示/編集はGoogleフォトとなる。ポートレートモードのボケ具合なども後から調整可能なのだが、Google Oneファンクションのままなので有料(250円/月)アカウントでないと使用できない。

 以下作例を日中12点、夜12点、人物(前面/背面)2点の計26点掲載する。ほとんどが写真モードでHDRはオート。超広角/広角/望遠を織り交ぜている。ただし0.7x/1.0x/2.0x以外のポジションは使っていない。いつもの恐竜のオブジェと夜景のバイクがポートレートモード。夜景最後から2つは自動認識でナイトモードになっている。人物はどちらも前面/背面ともにポートレートモードだ。ぼかし、美肌などのエフェクトは全部5。

 使用感としてはやはりAFが速くなった。とはいえ、前が遅過ぎただけなので、普通になった感じだ。ただし寄りの構図は結構後ピンになるケースが多く、低照度だと顔認識に時間がかかる。また、撮影中何度か、撮って書込みのタイミングでフリーズし、カメラアプリを終了しても戻らず、結果再起動することも。長時間撮影するとカイロのように熱を持つのも相変わらず。またポートレートモードでは、1~2回シャッターを切ると処理に時間がかかるのかしばらく待たされる……。この辺りは改善してほしい。

 掲載した背面カメラのポートレートが今回のベストショット。これがサクサク撮れればいいのだが、先に書いた理由でそうも行かないのが残念だ。

 写りは前モデルは(当たり外れもあったが)もっと立体的で奥行きのある絵だったが、本機ではそれが薄れた感じだ。その代わり打率は上がった気もするが、絵的には前モデル(の当たった)絵の方がインパクトがあったように思う。とはいえ、特に赤系の階調の深さが独特(当然肌色も)。ほかのスマホでは出ない雰囲気を醸し出す。

キャリア端末ならではの追加アプリ多めなAndroid 12

 ホーム画面は3画面。ドックに電話、+メッセージ、Chrome、カメラ、設定を配置。ストレージは256GB中18GB(若干の画面キャプチャあり)使用中。OSはAndroid 12。通知パネルのボタンなど丸みを帯びているが特徴的だ。リフレッシュレートの設定は、設定→ディスプレイ→なめらかハイスピード表示にある。

 アプリは「電話」、「連絡帳」、「簡易留守録」、「カメラ」、「設定」、「+メッセージ」、「時計」、「電卓」、「フォト」、「Playストア」、「エモパー」、「Smart home」、「My AQUOS」、「プライム・ビデオ」、「Podcasts」、「ソフトバンクプレミアム」、「Photoshop Express」、「5G LAB」、「PayPay」、「My ソフトバンク」、「ボイスメモ」、「ベースボールLIVE」、「Wi-Fiスポット設定」、「イチ推し!」、「Yahoo!ショッピング」、「ドライブ」、「YT Music」、「Google Play&ビデオ」、「Google TV」、「Duo」、「Google One」、「ニュース」、「Home」、「Google Pay」。

 ソフトバンクフォルダに「スマホはじめてガイド」、「App Pass」、「Netflix」、「Facebook」、「Yahoo!」。Googleフォルダに「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「カレンダー」、「アシスタント」、「レンズ」、「Files」。ツールフォルダに「おサイフケータイ」、「からだメイト」、「データーコピー」、「スマートフォン安心遠隔ロック」。安心・安全フォルダに「スマートフォンセキュリティパックプラス」、「位置ナビLink」、「リモートサポート」、「あんしんフィルター」。キャリア端末だけあって山盛りだ。

 認証は、パターン/PIN/パスワード設定後、顔認識と指紋認識が可能になる。指紋認証はパネル内だ。顔認証も含め瞬時に認証され反応も良い。

指紋の設定

指を押し当てる

顔認証によりロック解除

設定中……

 SIMの設定は、手持ちの関係で4GのOCNモバイルONEを使用した。今回ソフトバンク版を試用しているが、SIMロックはかかっておらず、APNを設定したところ開通した。ただしSIMロックフリー機のようにAPN一覧はなく、全項目手入力となるため、初心者には少し難しいかも知れない。

 1つ気になったのは、SIMスロットを引っ張り出すと、そのタイミングで再起動、Nano SIMセット後再起動と、SIMを設定するだけで2回も再起動すること。microSDカードを取り出す時も同じ作業が必要となるため、やはり2回再起動となる。一般的なSIMロックフリー機はこのような挙動がないため、1回ならまだしも、2回というのはさすがに勘弁してほしいところだ。

設定→モバイルネットワーク。この一番下にAPN

設定→APN設定

このパフォーマンスで16時間のバッテリ駆動!

 ベンチマークテストは簡易式だが、GeekBench 5とGoogle Octane 2.0、そしてバッテリ駆動時間はWi-Fi経由でフルHDの動画を輝度50%、音量50%で全画面連続再生した結果となる。

 まずGeekBench 5は……と言いたいところだがなぜかアプリが起動しない。長年このアプリを使ってきたが、こんなことは初めてだ。Google Octane 2.0は49,959。参考までにLeitz Phone 1/Snapdragon 888 5Gでは45,279だった。レンダリングエンジンが違うので参考値だがPhone 13 Proは67,546。

 バッテリ駆動は約16時間半経って電源が落ちた。もっと短いかと思っていただけに予想外。なかなか持ちがいい。Leitz Phone 1では同じバッテリ容量で約13時間だったので、3時間以上も伸びている。

Google Octane 2.0は49,959

16時間で残4%


 以上のようにシャープ「AQUOS R7」は、6.6型Pro IGZO OLED、Snapdragon 8 Gen 1、メモリ12GB、ストレージ256GBを搭載したハイエンドスマホだ。ミリ波、eSIM、Qi対応は嬉しい改善ポイントとなるだろうか。カメラは1型+ライカとの協業第2弾となり、AF性能などR6での欠点を(まだまだ改善点はあるものの)かなり改善。扱いやすくなっている。ただ価格が20万円近くなり、さすがに躊躇するレンジなのが残念なところ。

 とは言え、1型の描写力、IGZOなOLED、そしてSnapdragon 8 Gen 1のパワーといった、スマホに全てを求めるユーザーに使って欲しい1台だ。

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