300万円以上をインターネット回線の工事費用として求められた一般家庭の体験談

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家庭でインターネット回線を新規開通する際に必要な費用は高くても数万円程度が一般的ですが、アメリカに住む夫妻がインターネット回線の敷設費用として2万7119ドル(約371万円)という超高額な費用を求められたという恐ろしい経験談を報告しています。

Couple bought home in Seattle, then learned Comcast Internet would cost $27,000 | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/06/couple-bought-home-in-seattle-then-learned-comcast-internet-would-cost-27000/

インターネット回線の敷設時に超高額な費用を求められたのは、ワシントン州のシアトルに住むザッカリー・コーン氏とその妻のラウリル・ゼノビ氏です。夫妻は2019年7月にシアトルの住宅を購入しましたが、購入した住宅にはインターネット回線が敷設されていませんでした。

夫妻が購入した住宅は付近にバス停や鉄道の駅が存在する市街地に位置しており、家から数キロの範囲にはプロ野球チーム「シアトル・マリナーズ」の本拠地である「T-モバイル・パーク」や、アメリカンフットボールチーム「シアトル・シーホークス」の本拠地である「ルーメン・フィールド」が存在しています。これらの競技場は大手インターネットサービスプロバイダーのT-MobileやLumenが名前の由来となっていますが、コーン氏の家ではT-Mobileの家庭向けインターネットサービスを利用できず、Lumenのサービスは利用できるものの「最大ダウンロード速度3Mbps・最大アップロード速度500kbps」という低速なサービスしか使えませんでした。


夫妻が購入した住宅の隣のブロックには、Comcastが回線を各家庭に引き込むのに使った架空電線があります。しかし、夫妻の家に一番近い接続点は幹線道路の向かいにあったため、回線を引き込むには道路の下を通すしかありませんでした。そこで、夫妻はComcastに回線敷設について問い合わせましたが、複数の担当者をたらい回しにされて有用な情報を得ることがでなかったとのこと。数カ月間にわたって有用な情報を得られなかった夫妻は、市議会議員デボラ・ワレズ氏の事務所に相談。その結果、ワレズ氏に相談してから数日でComcastから回線工事の見積もりを開始したという連絡を得られました。

見積もり開始から数カ月後の2020年11月に、Comcastから夫妻の元へ「インターネット回線を敷設するには、2万7119ドル(約371万円)の費用がかかります」というメールが届きました。このメールには「実際の費用は8万ドル(約1100万円)だが、その一部を支払うだけでOK」という旨が記されていましたが、あまりにも費用が高額であったため夫妻は再度ワレズ氏に相談。ワレズ氏は問題を市のブロードバンド担当者に伝えました。

その後、2021年4月に市のブロードバンド担当者から「市にはComcastに回線を敷設するように要求する権限がありません。インターネット事業者は、回線の敷設によって多くの契約を得られることが期待できる場合をのぞいて、回線の敷設費用を契約者に求めるのが一般的です。今回のケースでは近隣の住宅にすでに回線が敷設されています」と、費用の負担を避けられないことを示す回答が届きました。また、ブロードバンド担当者の回答には約371万円という費用が、181フィート(約55メートル)の地下ケーブルを設置する工事に必要となることが記されていました。

夫妻は費用の高額さからインターネット回線の敷設を諦め、AT&Tなどの大手モバイル通信事業者の回線を用いる通信容量無制限のMVNOプラン「UnlimitedToGo」を契約しました。夫妻は新型コロナウイルスのパンデミック以前から自宅で働いており、1日当り約6時間のビデオ通話を行っています。しかし、UnlimitedToGoによるインターネット通信は朝や夕方などの回線が混み合う時間には通信速度が低下してしまうとのこと。


夫妻はインターネット接続を安定させるために衛星インターネットサービス「Starlink」の契約を検討しましたが、自宅の周囲に背の高い木が大量に生えているためか、Starlinkの回線速度テストアプリで良好な結果を得られませんでした。また、夫妻が住む地域には高速な5G通信が配備されていないとのこと。コーン氏は「(私たちが住んでいる家は)インターネット以外の点では素晴らしいです。しかし、2022年に信頼できる安定したインターネット接続を利用できないのは問題です」と述べています。

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