ドキドキしながらチャーハンを食べたらおいしいのか?

デイリーポータルZ

ドキドキしながらチャーハンを食べる、そんな記事になる予定でした。

恋のつり橋効果というものをご存知だろうか。心臓がドキドキするようなつり橋などの危険な場所で一緒に過ごした人へ恋愛感情を抱いてしまう心理効果のことである。

ドキドキによって好きなものはより好きになるのだろうか。ちなみに私はチャーハンが好きだ。よりチャーハンを好きになりたいので、 ドキドキしながらチャーハンを食べようと思う。

奥多摩に来た

今回、奥多摩で撮影をすることにした。自然に囲まれて食べるチャーハンはきっとおいしいだろうと思ったからだ。あと、ドキドキするものがあると聞いたので来た。

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奥多摩駅。外国の観光客が多いのと「お前、そんなおしゃれな服装で山の中に行く気か?」と思う人たちがいた。
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記事と関係なく温泉に行きたい。

チャーハンを調達しようと思い、駅の近くを歩いてみる。撮影を一緒にした友人に「絶対、奥多摩にチャーハンなんてないですよ」と言われたので事前にオリジン弁当でカレーを買った。ドキドキしながらカレーを食べる記事になるかもしれなかった。でも、チャーハンでもカレーでもどっちも食べたいので大丈夫です。

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コンビニ終点(ここから先にはコンビニはありませんという意味)と記念撮影をした。

ほめられながらチャーハンを食べる

最初にやってみたのはほめられながらチャーハンを食べるだ。普段、ほめられるときってないだろう。ほめられるとドキドキしてしまう。させてくれよドキドキを。

今回、今度ご飯に行く予定の月餅さん、ナミノリさん、とりもちうずらさんに「ほめてください」とメッセージを送った。新しい形の変態だと思われないか心配だったがちゃんと返信をくれてよかった。

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友人に読んでもらいながらチャーハンを食べた。

以下、グループチャットに送ってもらったほめメッセージである。

ナミノリ

いつも記事を見てて思うのが、江ノ島さんの表情はどの瞬間を切り取っても味があるなと思います!

使えない写真とかなさそう!と勝手に思ってます!

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ほめられながらチャーハンを食べるの初めてだな。

月餅

3ykさんの企画でご一緒したとき、鮭を食べて「うめー!!」と絶叫されていたのが印象深いです。こんなにも食べ物に真摯においしいを伝える人っているんだと感動しました。

なんか、江ノ島さんに食べてもらう食材って幸せだろうな、と思った記憶があります。

ナミノリさんの表情がいいのめちゃくちゃわかりますね…。
 

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メッセージと共にチャーハンもかみしめている。

ナミノリ

この前お会いした時、美味しそうに食べるためにお腹を空かせるためにお風呂に入ってきたって言ってて、食に対して意識高いと思いました!

作ってくれる人も嬉しいですよね!

月餅

荒巻鮭の時も確か銭湯に行ったっておっしゃっていたような…儀式なのかな…志高い…!

ナミノリ

食に対しての敬意がすごい…!!

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漏れ出るうれしさ。

とりもちうずら

形だけパントマイムのときの江ノ島さんが、好きすぎて何回も読み返してます。

ノリノリじゃないのにちゃんと最後まで付き合ってて、しかも面白いというのが最高でファンになりました。

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おいしさが3倍になった!

自分の人生でこんなにもほめられることがなかったので、思っていた以上にドキドキする。いいのだろうか。なにかしらのやつで訴えられないか? 集団できたら負けるぞ。

そしてほめられながらチャーハンを食べると、コンビニで買ったチャーハンのおいしさが3倍になる。気分が上がりながら食べるチャーハンはおいしい。やってよかった。おれたちの生活に必要なのは「ほめ」だ。2022年はほめの時代が来る。来てほしい。明日来て。

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ドキドキするつり橋「しだくら橋」

ドキドキするつり橋に行く 続いては「しだくら橋」というつり橋へ行こう。今回、この橋のために3時間かけて奥多摩に来たのだ。どうやら怖いつり橋らしいのでドキドキするのにはぴったりである。 

バスで10分、そこから歩いて15分ほどにある。 友人が「こういうところのバスって3時間に1本あったらいいほうじゃないですか。乗り遅れたら終わるタイプのバス」

「江ノ島さんのことだからバスの時刻なんて調べてなくて、 バスが乗れなったらどうするのかと思って、昨日の夜に調べたら徒歩1時間かかると聞いて叫びました。嫌すぎて」

 叫ばないでほしいと思った。 

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バスで山奥へ。バスは結構な頻度であった。
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Googleマップによると大回りをおすすめしているが、バス停近くに下に降りる道があった。

ショートカットできた。Googleに勝ったなと思った。Google、おれを雇ってくれないかな。エンゼルパイとかあげるし。

道中は山道で大変かなと思っていたが、舗装されたコンクリートの平坦な道だったので歩きやすいねーと言いながら着いた橋はすごいものだった。

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着いた。しだくら橋。
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橋を見た瞬間「これ、板が抜け落ちるやつだな」と思った。

木の板である。設計者の人と強度について議論したい。そんなことを思いながら横を見るとすごいことが書いてあった。

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怖い部分を赤字で強調してきたな。

この注意書きを見て「江ノ島さんって3人分あるからもう無理じゃないですか?」と言われた。そんなにないよ。

怖い注意書きはあったが、実はそんなに怖くないのではないか。高いところは好きだし。そう思って進んでみた。

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「いや、余裕ですよ」と3歩ぐらい進んで、
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4分の1進んだところで
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「いや!ちょっと!!!」
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「これ、」
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「思っていた以上に怖いやつかもしれない……」

ゆれるのだ。橋ってこんなにゆれるのかと思うほどゆれる。途中、あまりの怖さと興奮に「橋史上!これ橋史上のやつだ!」と言った。なんだ橋史上って。(橋史上、一番怖いの略です)

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写真で見るとそんなじゃないが、現地で見たらヒュンとする。

でも、チャーハンをよりおいしくするために来たのだ。ドキドキはかなりしている。これはチャーハンに恋をしてしまうかもしれない。いや、もともと好きだったし、もう帰ってもいいかもしれない。チャーハンへの愛、再確認したし。でも行くか。行かないと友人に怒られそうだし。

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あそこに見えるのは橋の中央でチャーハンを持っている人です。
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橋が細く見えるのは、私が太っているからではなく、ちゃんと細いのです。
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絶景の中でチャーハンを食べる。

川のせせらぎ、鳥のなきごえなどはいっさい聞こえず、耳元で「ヒュー」という風の音が聞こえる。チャーハンを食べながら(こわい)と思ったの初めてかもしれない。

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でも、おいしい。

ゆれる橋の上で食べるチャーハンはこわさを感じてドキドキする。それがプラスの効果になってよりおいしくなる、と思いきや「おいしい」と「こわくてドキドキする」の感想が交互に生まれてきて「こわうまい」という感想になった。普通に中華料理屋で座って食べたい。あと、こわさに意識が集中しているせいか、味覚がにぶくなる気がする。おいしさが少しうすく感じるのだ。

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これはおいしいと思った直後にこわいと思っている瞬間の顔です。
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「座ったほうが写真がきれいですよ」と言われたが、こんなにチャーハンを持ってびびっている人、見たことないな。

感想としてはそんなにおいしくならなかった。期待していたのにな。じゃあ橋を渡ってしまおう。そう思って、進んだらゆれ出した。友人がゆらしたのだ。ゆらさないで言ったじゃん!!

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「こっちは3人に近い体重じゃん!だからくずれちゃうって!!」
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「ここすごいゆれる!太っているからかな!ねえ!太っているからかな? すごいもん!!なんでゆらすの!!!」と本気のトーンで怒った。
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「なんで!!ゆらさない約束だったじゃん!!」と言ったがそんな約束してない。

「落ちるじゃん!!1機失うって!!」と伝えたら、「江ノ島さん99機ありそうだから大丈夫ですよ」と言われた。そんな無限1アップみたいなことしてきてないよ。

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疲れた。

「こんなに怖がるの、もしかして高所恐怖症だからですか?」と聞かれたが「いや、好きなほうなんですけど、高いところとか登りたいタイプですよ。高いところに行きたい」「向上心高いですね」と言われたがそんな話はしてない。

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そのとき、カメラが壊れた

最後は私をよく知っている人からのダメ出しを聞いてドキドキしたいと思う。事前に編集部の安藤さんから私のダメなところ、直したほうがいいところを送ってもらった。内容は当日まで見ていない。

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山の中で漏らすの嫌だな。

橋の近くに「縁結び地蔵尊」というものがあるらしいのでそこに行って読もうと思う。そう思って歩き出した。

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ここが縁結び地蔵尊か。
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いい縁にめぐりあいたいなー。
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婚活パーティーとか飲み会とか行ったほうがいいよ…
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ね。
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ん?

みなさん、ご覧頂けただろうか。カメラが落ちた瞬間を。山に響くような音を立てて、カメラが地面に落ちた。まあでも、カメラを落とすことなんてあるじゃないか。そう思って、地蔵尊の写真を撮ろうとカメラの電源を押したときだった。

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友人が「縁結び地蔵尊の看板はあるけどどこにも見当たらないですねー」と言っているときに一言、
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「電源がはいらなくなりました」

カメラが壊れたのだ。心当たりがありすぎる。先ほど落としたもんな。落とさないでほしかった。カメラの残機がなくなった瞬間だった。無限1アップしてきてほしい。

しかし、まだ安藤さんからのダメ出しを読んでいない。読もう。今、カメラが壊れてドキドキしています。想定してなかったドキドキ。やるぞ!!(気合いを入れないと泣いてしまう)

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両手がチャーハンでふさがっているのでひざにスマホを太ももに乗せて読もうと思ったがトラブルが起こる予感しかしないのでやめた。

太ももにスマホをのせたがこれ、スルッと落ちてフェンスから谷底へと落ちるんじゃないか。

自分に疑心暗鬼である。疑心暗鬼ってこういうときに使うんだ。勉強になった。

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チャーハンを食べつつ、メッセージを読むことにした。スマホを谷底に落としたくないから…。今日、そういう日だから…。
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メールを見たら件名からふるえた。

この状態で安藤さんのダメだしを聞いたら、心に刺さりすぎて本気で泣いてしまうかもしれない。大人なのに。でも、大人だって泣いてもいい。それが生きるってことだから。

担当編集からもらったダメ出し

安藤です。

江ノ島くんに言っておかねばならないことです。

江ノ島くんの担当になって何年たつかわからないんですが、いいところが伸びて悪いところが減ってきたように思います。

これはひとえに担当編集の僕のおかげなわけですが(そんなことない)、砂の数ほどいるwebライターの中で、頭一つ目立つためには丸くなってしまってもよくないと思います。これは体重のことを言っているのではありません。体重のこともちょっとだけ言っていますが、いまはいいです。

江ノ島くんの記事の良さは「素直さ」だと思います。美味いものを食べたい、たくさん食べたい、美味しい、どっか遠くへ行きたい、眠い、暑い。こういった衝動的な感情がそのまま素直に記事に書きなぐられています。

読み手としてはまるで現場で江ノ島くんを眺めているかのような気分になる。これはいいことなのでぜひ伸ばしていってほしいです。自分じゃない誰かが江ノ島くんを眺めて書いたみたいな、他人目線の人当たりのいい文章にまとめない方がいいです。

最近江ノ島くんの記事に誤字脱字が減ってきたように思うのは、推敲するようになったのかなと思っていました。もちろん僕だってほかのライターだって誤字脱字は恥ずかしいので何度も推敲しますが、読めば読むほど俯瞰してものを見るようになり、さっき言った密度の高い初期衝動みたいなものを削ってしまうことがあります。

そうして記事が面白くなくなっていく。面白くない完成された原稿よりは、誤字脱字だらけでも面白い原稿の方が読みたいです。誤字脱字のない面白い原稿はもっと読みたいです。

これからもいい記事を書いて活躍してください。頼りにしております。

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ダメ出しじゃなかった…泣きそう…

お願いした内容とは違うがドキドキしている。先ほどのカメラが壊れた悲しさと安藤さんの感動する文章で気持ちがぐちゃぐちゃだ。

聞いてた友人に「今回で江ノ島さん、引退するんですか?」と言われたが、え、聞いてないけどそういうことなのか。最終回?

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涙目になりながらチャーハンを食べた。もう味とかの問題じゃなかった。

修理に4万円かかるらしい

ほめられながら食べるチャーハンが一番おいしく感じた。あと、聞いてほしい話があるのだけど、今回の撮影で壊れたカメラの修理を依頼したら4万円かかるらしい。そして、今週、別の撮影があるが修理が間に合わないので緊急的に買ったカメラが8万円。なんやかんやで12万円かかったので、皆さん12万回読み返してください。もしくは12万円ください。お願いだよ…。

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