圧倒的な軽さと優れた堅牢性を両立した「LIFEBOOK U9312/J」
富士通の法人向けPCの中で、モバイル用途やテレワーク用途をターゲットとしているのが「LIFEBOOK U9」シリーズ。その最新モデルとなる「LIFEBOOK U9312/J」は、従来モデル同様の約738gの軽さ(標準バッテリモデルの場合)を維持しつつ、Intelの最新プロセッサである第12世代インテルCoreプロセッサー搭載を採用することで、性能が引き上げられている。
本体デザインは、フラットでシンプルな、モバイルノートPCとしてオーソドックスなデザインだが、筐体色として落ち着いたピクトブラックと、鮮やかな赤のガーネットレッドを用意。特にガーネットレッドは、ビジネスPCでも個性を重視したい人にうれしい目立つ色となっている。
液晶バックカバー(天板)はマグネシウム合金を採用し、200kgfの天面加圧試験のほか、衝撃、落下、振動、開閉などさまざまな評価試験をクリアする優れた堅牢性を確保。米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠した堅牢性試験もクリアしており、安心して毎日持ち歩けると言える。
これだけの優れた堅牢性を確保しつつ、重量は約738gからと、圧倒的な軽さを実現。片手でも楽々持てる軽さは、毎日PCを持ち歩いている人にとって非常にありがたい。なお、大容量バッテリ搭載モデルの重量は約908gとなる。
サイズは、307×197×15.5mm(幅×奥行き×高さ)。13.3型のモバイルノートPCとしてトップクラスのコンパクトさであるとともに、薄さも申し分なく薄型のブリーフケースにも余裕で収納できるはずだ。
【表1】LIFEBOOK U9312/J(試用機)の主な仕様 | |
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プロセッサ | インテルCore i7-1265U プロセッサー、P-core:2コア4スレッド/ブースト時最大4.80GHz、E-core:8コア/ブースト時最大3.60GHz、合計スレッド数:12 |
メモリ | 8GB |
内蔵ストレージ | 256GB PCIe SSD(256GBは試用機のみの容量で、実際の製品は512GB) |
ディスプレイ | 13.3型液晶、1,920×1,080ドット、非光沢 |
無線LAN | IEEE 802.11ax 2×2(Wi-Fi 6) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
キーボード | 日本語、約19mmフルピッチ、キーストローク約1.5mm、キーボードバックライト |
カメラ | 約92万画素Webカメラ、プライバシーシャッターカメラ搭載 |
生体認証 | Windows Hello対応顔認証カメラ、手のひら静脈センサー |
インターフェイス | Thunderbolt 4(USB 4)×2、USB 3.0×2、HDMI、SDメモリーカードリーダ、Gigabit Ethernet、オーディオジャック |
OS | Windows 11 Pro |
駆動時間 | 約28時間 |
サイズ/重量 | 307×197×15.5mm(幅×奥行き×高さ)/約908g(本モデルは大容量バッテリ搭載) |
第12世代インテルCoreプロセッサー搭載でパワーアップ
LIFEBOOK U9312/Jは、CPUに「Alder Lake」こと第12世代インテルCoreプロセッサー搭載を採用している。高性能コアの「P-core(Performance-core)」と、高効率コアの「E-core(Efficient-core)」を組み合わせた、ハイブリッドアーキテクチャの採用が最大の特徴だ。
Windows 11のタスクスケジューラは、第12世代インテルCoreプロセッサーに搭載される「Intelスレッドディレクター」に対応。CPU利用率などを常時監視し、P-coreとE-coreそれぞれに最適な処理を割り当てることで、性能と電力効率を同時に高められる。これにより、従来よりも優れた性能を発揮しつつ、バッテリ駆動時間も延ばせる。
また、LIFEBOOK U9312/Jでは「インテルvProテクノロジー」に対応するCPUも選択できる。これにより、システム管理やリモートでPC電源のオン/オフ、BIOS設定画面へのアクセス、OS上で発生したエラーからの復旧が行なえるとともに、ハードウェアレベルでマルウェアの感染リスクも低減できるため、ビジネスシーンでシステム管理者およびエンドユーザーとも安心して利用できるわけだ。
ちなみに、インテルvProプラットフォームはセキュリティを最大限に高める機能を搭載している点で定評があるが、インテルvProプラットフォーム準拠PCは各社のプレミアムなフラグシップビジネスPCで採用されている点も見逃せない。つまり、インテルvProプラットフォームのラベルはセキュアなだけでなく、高性能や高い使い勝手の表れであることも覚えておこう。
今回の試用機では、CPUとしてインテルvProテクノロジー対応のインテルCore i7-1265Uプロセッサーを搭載、P-coreが2コア、E-coreが8コアの10コア構成で、最大12スレッド処理に対応。メモリは標準で8GB、最大32GB搭載可能。内蔵ストレージは、試用機では容量256GBのPCIe 3.0/NVMe SSDを搭載していたが、これは試用機のみの容量で、実際の製品は512GBとなる。
狭額縁仕様の13.3型フルHD液晶
ディスプレイは、フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の13.3型液晶を搭載する。パネルの種類は非公開だが、視野角は十分に広く、発色もビジネスモバイルPCとして不満のないレベルを確保。近年は、ビジネスシーンでも写真や動画を活用した資料を作成する場面が増えているが、そういった作業も安心だ。表面は非光沢処理となっているため、天井の照明など外光の映り込みはほとんど気にならず、文字入力が中心の作業も快適だ。加えて、ディスプレイ面は180度開くようになっている。
快適な入力が可能なキーボードを搭載
キーボードは、従来モデルに搭載されているものとほぼ同等のもの。従来からLIFEBOOKのキーボードは扱いやすさに定評があるが、それがそのまま受け継がれている。
主要キーは縦横約19mmフルピッチを確保し、ストロークも約1.5mmと十分な深さを確保。適度な硬さとしっかりとしたクリック感で、打鍵感も良好だ。カーソルキーが右Shiftキーから1段下がった位置に搭載される点や、キーボードバックライトの搭載で暗い場所でも快適なタイピングが可能と、使い勝手にこだわった仕様もうれしい部分だ。
ポインティングデバイスは、独立したクリックボタンを搭載するタッチパッドを搭載。独立したクリックボタンの存在により、確実なクリック操作が行なえるのはうれしい。もちろんジェスチャー操作も可能。また、キーボードのホームポジションを中心に搭載している点も、扱いやすさを高めている。
ビジネスユーザーにとって、キーボードやポインティングデバイスの扱いやすさは業務効率に直結するため、大きな魅力となるはずだ。
豊富なセキュリティ機能を搭載
LIFEBOOK U9312/Jでは、vPro対応に加え、豊富なセキュリティ機能を搭載する点も大きな特徴だ。まず、生体認証機能としては、標準で指紋認証センサーを搭載。オプションとしてWindows Hello対応の顔認証カメラや、右パームレストに手のひら静脈センサーも搭載可能(手のひら静脈センサーも搭載時には指紋認証センサーは非搭載となる)だ。
特に手のひら静脈センサーは、指紋認証や顔認証と比べても優れた認証精度を誇っており、安全性を大きく高められる。このほか、左側面にスマートカードスロットも搭載可能だ。
また、富士通独自の「Endpoint Management Chip」とセキュアBIOSを組み合わせることで、BIOSの改ざんチェックや自己回復機能も実現。ファームウェア保護機能を備える「Secured-core PC対応モデル」も用意される。
このほかにも、遠隔操作でPCをロックしたり内蔵ストレージを消去する「CLEARSURE 3G/LTE」や、Webカメラを物理的に覆って情報流出を防ぐプライバシーカメラシャッターの搭載、オプションで覗き見防止専用プライバシーフィルターの搭載などが可能となっている。
このように、豊富なセキュリティ機能を用意することによって、近年被害が増大しているさまざまなウイルスやマルウェアに対抗できるため、ビジネス利用も安心というわけだ。
さらにもう1点見逃せないのが、海外修理に対応するという点だ。通常、一般ユーザー向けPCでは保証は国内限りで、修理も国内でしか受けられないが、LIFEBOOK U9312/Jは海外の富士通拠点で修理が受けられる。これは、海外出張が多いビジネスマンにとって、心強いサービスと言える。
LTE/5G対応のワイヤレスWANも搭載可能
拡張ポートは、左側面にThunderbolt 4テクノロジー/USB 4準拠のUSB Type-Cを2ポート、HDMI、USB 3.0、オーディオジャックを、右側面にSDカードスロット、USB 3.0、Gigabit Ethernetを装備している。近年は、本体の薄型化に伴い、拡張ポートが少ない製品も多くなっているが、LIFEBOOK U9312/JではHDMIや有線LANなど、ビジネスシーンで利用する場面の多いポートもしっかり搭載している。
無線機能は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)準拠の無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。また、オプションとしてLTE対応または5G対応のワイヤレスWANも搭載可能。5GはNTTドコモに、LTEはNTTドコモやKDDI、SoftBankにそれぞれ対応。ワイヤレスWAN用のSIMカードスロットは右側面に用意され、nano SIMが利用可能だ。
ディスプレイ上部には約92万画素のWebカメラを搭載。こちらは先に紹介しているようにWindows Hello対応の顔認証カメラを選択できる。加えて、カメラを物理的に覆うプライバシーシャッターも搭載している。
リモートワークで便利な機能としては、AIノイズキャンセラーを搭載。Web会議時など、ペットの声やサイレン音など、不要なノイズをAI処理でカットし、クリアな音声でWeb会議が可能だ。
Alder Lakeの優れた性能をベンチマークテストでも確認
ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2556」、「3DMark Professional Edition v2.22.7359」、Maxonの「CINEBENCH R23.200」の3種類だ。結果は下にまとめたとおりだ。
結果を見ると、いずれのテストでも非常に優れたスコアが得られている。第10/11世代インテルCoreプロセッサー搭載モデルより高い結果が出ている。これなら、通常のビジネスシーンで利用するアプリはもちろん、写真や動画の編集アプリなども快適に利用でき、作業効率を大きく高められるはずだ。
PCMark 10 | |
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PCMark 10 Score | 5,335 |
Essentials | 10,443 |
App Start-up Score | 14,368 |
Video Conferencing Score | 8,175 |
Web Browsing Score | 9,696 |
Productivity | 6,799 |
Spreadsheets Score | 6,766 |
Writing Score | 6,834 |
Digital Content Creation | 5,803 |
Photo Editing Score | 10,108 |
Rendering and Visualization Score | 3,363 |
Video Editting Score | 5,749 |
CINEBENCH R23.200 | |
CPU | 5,872 |
CPU (Single Core) | 1,567 |
3DMark Professional Edition | |
Night Raid | 15,612 |
Graphics Score | 20,066 |
CPU Score | 6,915 |
Wild Life | 13,176 |
Time Spy | 1,745 |
Graphics Score | 1,565 |
CPU Score | 5,030 |
続いてバッテリ駆動時間だ。R8/Vの公称の駆動時間は約29.5時間(JEITA測定法 Ver.2.0での数字)と、かなりの長さとなっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオンに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、10時間42分を記録した。
公称に比べてかなり短くなっているが、これはJEITA測定法 Ver.2.0があまりにも通常とかけ離れた内容でテストを行なっているからだ。PCMark 10 Battery Profileでは、動画を扱う場面などもあり、P-coreも積極的に使われているはず。そういった中でも11時間に迫る駆動時間が実現されているため、1日の外出でバッテリ切れを心配する場面は少ないはずだ。
性能と携帯性を高いレベルで両立した、魅力的なビジネスモバイルPC
見てきたようにLIFEBOOK U9312/Jは、LIFEBOOK U9シリーズの特徴をしっかり受け継ぎつつ、第12世代インテルCoreプロセッサーを搭載して性能が大きく高められたことで、ビジネスモバイルPCとしての完成度がさらに高まったと感じる。加えて、性能面の向上だけでなく、ビジネスシーンで求められる優れたセキュリティ性が備わっている点も大きな特徴で、多くのビジネスユーザー、IT管理者が安心して利用/導入できるはずだ。
こういった特徴から、毎日持ち運んでも苦にならない軽さに優れた堅牢性と、優れた性能やセキュリティ性を全て兼ね備えるビジネスモバイルPCを探している人にお勧めしたい。
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