ヨーロッパで流行の「サル痘」は男性同士のセックスを通じて感染拡大した可能性

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現地時間の2022年5月23日、世界保健機関(WHO)がヨーロッパで「サル痘」の患者が100人を超えていると報告しました。突如ヨーロッパで感染拡大するサル痘については各国の保健当局が警戒を強めているのですが、これは「男性同士のセックス」が原因となっている可能性が報じられています。

Expert: Monkeypox likely spread by sex at 2 raves in Europe – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/world/expert-monkeypox-likely-spread-by-sex-at-2-raves-in-europe/2022/05/23/fdef8d88-da79-11ec-bc35-a91d0a94923b_story.html

Monkeypox outbreaks tied to sex at 2 raves in Europe | Live Science
https://www.livescience.com/monkeypox-spread-through-sex

Monkeypox goes global: why scientists are on alert
https://www.nature.com/articles/d41586-022-01421-8

サル痘は天然痘ウイルスに似たサル痘ウイルスに感染すると発症する感染症で、通常はげっ歯類や霊長類を含む野生動物から人間に感染します。サル痘はアフリカ以外の地域ではめったに報告されない感染症ですが、ヨーロッパでも流行の兆しをみせており、WHOによるとヨーロッパではサル痘の症例が100件以上報告されているそうです。なお、ヨーロッパで報告されている症例の大部分がスペイン・ポルトガル・イギリスで報告されている模様。

WHOの顧問であり疫学者でもあるデビッド・ヘイマン氏は、AP通信に対して「サル痘は感染者の病巣に密着すると広がることが知られており、今回の流行は性的接触が原因となっているように見えます」と語っています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、ヨーロッパで報告されたサル痘の症例のほとんどが「男性同士でセックスすることで感染したもの」と報告しており、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は「報告されている症例の病変の性質から、ヨーロッパで報告されているサル痘は性行為による感染が示唆されています」という声明を出しています。


ECDCは感染者の衣服や寝具と密接な接触を行うとサル痘ウイルスに感染する可能性があるとしており、「感染者の皮膚病変から推察すると、人から人への感染は感染性物質との密接な接触、長時間の対面接触での呼吸器飛沫および媒介生物を介した発症などが想定されます」と記しています。

ECDCでディレクターを務めるアンドレア・アモン氏は、「現在の症例のほとんどは軽度の症状を示しているため、より多くの人々に感染が拡大する可能性は非常に低いと考えられます」と述べつつも、「例えば、複数の性的パートナーを持つ人の間でウイルスがさらに感染拡大する可能性は高いと考えられます」と指摘しました。


CDCによると、サル痘の症状には発熱・悪寒・倦怠感・筋肉痛・頭痛・リンパ節の腫れなどがあります。サル痘に感染すると1日目から3日目にかけて発疹が発症し、顔から体全体に発疹が広がり、丘疹と呼ばれる薄茶色の斑点はその後、小胞や膿疱と呼ばれる膿で満たされたニキビに変化していくとのことです。なお、サル痘は発症から2~4週間で自然に治る感染症ですが、発疹から生じたかさぶたが完全に治るまで感染者を自主隔離することをECDCは推奨しています。また、サル痘は通常は軽度の症状で済むものの、幼児や妊婦などの免疫抑制状態にある人は症状が重篤化する可能性があるそうです。

サル痘ウイルスは研究者が1958年に実験用のサルで最初に検出したウイルスです。アフリカでは数千件の症例が報告されてきましたが、主にアフリカ大陸の中央部と西部でのみ報告されており、その他の地域で症例が報告されることは非常に珍しいものであり、基本的にはアフリカから輸入された動物で感染が発見されるという程度でした。2022年5月には、そんなサル痘の感染症例がヨーロッパで100件以上も報告されており、これは「1970年以降にアフリカ以外の地域で報告されたサル痘の感染者数」を超える数字であると科学誌のNatureは報告しています。

by UK Health Security Agency / Science Photo Library

コンゴ民主共和国で10年以上サル痘について研究してきたカリフォルニア大学ロサンゼルス校の疫学者であるアンリ・モアン氏は、「サル痘がこのような感染拡大を見せるというのは目を見張るものがあります」とコメント。

一方で、メリーランド州フォートデトリックにあるアメリカ陸軍の感染症研究所でウイルス学者として働くジェイ・フーバー氏は、「サル痘は新型コロナウイルス感染症ほど人から人へと感染する力が強くなく、感染拡大を抑えるための治療法やワクチンはすでに確立されているため、サル痘の感染拡大を必要以上に心配することはありません」と語りました。

Natureによると、ポルトガルで報告されたサル痘の症例を調査したところ、サル痘ウイルスの遺伝子データからウイルスが西アフリカからやってきたであろうことが明らかになっています。なお、このウイルス株は中央アフリカで流行しているウイルス株よりも軽度の症状を引き起こすものであり、死亡率も低いとのことです。

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