元オリンピック選手のYouTuberであるトレバー・ジェイコブ氏は2021年12月、自身のYouTubeチャンネルに「飛行機が墜落した」という動画をアップロードしました。この動画を巡って「墜落事故は偽装されたものではないか」との声も上がったことから調査に乗り出したアメリカ連邦航空局が、ジェイコブ氏に対し自家用操縦士技能証明書を取り消すなどの処分を下したと報じられています。
A YouTuber Purposely Crashed His Plane in California, F.A.A. Says – The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/04/20/us/trevor-jacob-youtube-plane-crash.html
ジェイコブ氏はスノーボード選手として活躍した人物で、2014年の冬季オリンピックにもアメリカ代表として出場しています。近年はYouTuberとして活動していたジェイコブ氏は、2021年12月に「操縦していた飛行機が不具合を起こしたため、パラシュートで脱出した」とする動画を投稿しました。
この動画でジェイコブ氏は、親友であるジョニー・ストレンジ氏の遺灰をシエラネバダ山脈へまくために飛行機を飛ばしたものの、途中で不具合が発生したと説明しています。プロペラが止まった後でジェイコブ氏は飛行機のドアを開け、自撮り棒で撮影しながらてパラシュートで飛び降りましたが、視聴者や航空専門家の間で「この動画はフェイクではないか」との議論を呼びました。
記事作成時点で170万回以上されている問題の動画がどのようなものだったか、視聴者からどのような意見が寄せられていたのかについての詳細は、以下の記事を読むとわかります。
「飛行機が墜落した」という動画を公開したYouTuberが連邦航空局の調査対象に – GIGAZINE
アメリカの日刊紙であるニューヨーク・タイムズによると、動画を調査していた連邦航空局は4月11日にジェイコブ氏へ宛てた書簡で、ジェイコブ氏が連邦航空規則に違反して「他人の生命や財産を危険にさらすような、不注意または無謀な方法」で単発機を操縦したと指摘。ジェイコブ氏の自家用操縦士技能証明書を取り消し、飛行機を操縦する許可を事実上停止すると述べました。
連邦航空局には訴追する権限がないため、違反者に対する処分は自家用操縦士技能証明書の取り消しや一時停止、罰金の命令などのみが可能です。連邦航空局はジェイコブ氏に対して自家用操縦士技能証明を返納するように命じており、従わない場合は1日ごとに最大1644ドル(約21万円)の罰金が科される可能性があるとニューヨーク・タイムズは報じています。
連邦航空局がニューヨーク・タイムズの要請で公開した書簡には、「この飛行中、あなた(ジェイコブ氏)はエンジンが故障したと主張する前に、運転席左側のドアを開けました」との指摘があったとのこと。また、ジェイコブ氏が飛び降りる前に緊急周波数で航空交通管制局へ連絡しようとせず、プロペラ上部の気流を増やしてエンジンの再始動を試みることも、滑空範囲内に安全に着陸できた場所が複数あったにもかかわらず着陸場所を探そうとしなかったと連邦航空局は主張しています。
連邦航空局はジェイコブ氏への書簡で、「あなたは、墜落の映像を記録するためだけに飛行機から飛び降りることを選択し、注意力、判断力、責任感の欠如を証明しました。これらのひどい意図的な行動は、現在のあなたが自家用操縦士技能証明書の保持者に要求される注意力、判断力、責任感の度合いを欠いていることを示しています」と述べたとのことです。
なお、ジェイコブ氏は連邦航空局の決定に気付いていなかったそうで、4月20日にニューヨーク・タイムズから連絡を受けた際、「その情報はどこで入手したのですか?」と逆に質問してきたとのこと。なお、記事作成時点ではその後のメールへの返信はなかったとニューヨーク・タイムズは報告しています。
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