米AMDは19日(現地時間)、新アーキテクチャを採用したビジネス向けプロセッサ「Ryzen PRO 6000」シリーズを発表した。
「Ryzen PRO 5000」の後継となるモデル。6nmプロセスを採用し、CPU側はZen 3+アーキテクチャへと進化したことで電力効率を高め、最大で30%高速化しながらバッテリ駆動時間も延長。
一例としてRyzen 7 PRO 6850Uを搭載したHPの「EliteBook 865 G9」と呼ばれるモデルの実測値では、オフラインビデオ再生によるテストでは29時間、MobileMark 2018においても26.15時間という競合を上回るバッテリ駆動時間を実現するという。
加えて、SoC全体の消費電力の最適化や、LPDDR5への対応、パネルセルフリフレッシュ、Wi-Fi 6Eといった新技術への対応により、従来から実ワークロードにおける消費電力も削減され、ビデオ会議では35%、Webブラウジングでは17%、ビデオストリーミングでは32%も消費電力が低減。競合と比較するとバッテリでWeb会議可能な時間は45%延長できる。
一方で性能面では、同じ28Wクラスとなる競合のCore i7 Pシリーズとの比較し、Ryzen 7 PRO Uシリーズはシングルスレッド性能で同等かやや劣る程度だが、“Pコア”が8コア存在することにより20%~50%高速だとしている。
GPUは長年使われたVegaに代わりRDNA 2を採用し、グラフィックス性能が最大で2倍に向上。HDMI 2.1やDisplayPort 2.0といった次世代ディスプレイ出力をサポートするほか、4Kディスプレイを最大4画面出力できる。
ビジネス向けということでセキュリティや管理性も高めており、独自のセキュアプロセッサに加え、MicrosoftのPlutonセキュリティプロセッサを内包し、AMD Memory Guardに対応。Windows 11のSecured-Core PCに対応し、Hardware Enforced Stack Protection(ハードウェア強制型スタック保護)が利用できる。
搭載機はLenovoの「ThinkPad Z」シリーズや、HPの「EliteBook G9」シリーズなどを挙げている。ラインナップは、TDP 35W(HS)または45W(H)が6モデル、TDP 28W(15~30W)が2モデル。
また、従来のZen 3とVegaを採用した「Ryzen PRO 5000U」シリーズも3モデル投入する。こちらは第11世代Core対抗品として用意される。
モデル名 | コア/スレッド数 | クロック | アーキテクチャ | 製造プロセス | L2+L3キャッシュ | TDP |
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Ryzen 9 PRO 6950H | 8/16 | 4.9/3.3GHz | Zen 3+ | 6nm | 20MB | 45W |
Ryzen 9 PRO 6950HS | 8/16 | 4.9/3.3GHz | Zen 3+ | 6nm | 20MB | 35W |
Ryzen 7 PRO 6850H | 8/16 | 4.7/3.2GHz | Zen 3+ | 6nm | 20MB | 45W |
Ryzen 7 PRO 6850HS | 8/16 | 4.7/3.2GHz | Zen 3+ | 6nm | 20MB | 35W |
Ryzen 5 PRO 6650H | 6/12 | 4.5/3.3GHz | Zen 3+ | 6nm | 19MB | 45W |
Ryzen 5 PRO 6650HS | 6/12 | 4.5/3.3GHz | Zen 3+ | 6nm | 19MB | 35W |
Ryzen 7 PRO 6850U | 8/16 | 4.7/2.7GHz | Zen 3+ | 6nm | 20MB | 28W(15~30W |
Ryzen 5 PRO 6650U | 6/12 | 4.5/2.9GHz | Zen 3+ | 6nm | 19MB | 28W(15~30W |
Ryzen 7 PRO 5875U | 8/16 | 4.5/2GHz | Zen 3 | 7nm | 20MB | 15W(10~25W) |
Ryzen 5 PRO 5675U | 6/12 | 4.3/2.3GHz | Zen 3 | 7nm | 29MB | 15W(10~25W) |
Ryzen 3 PRO 5475U | 4/8 | 4.1/2.7GHz | Zen 3 | 7nm | 10MB | 15W(10~25W) |
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