AMDは、L3キャッシュを垂直方向に積層する「3D V-Cache」を採用したCPU「Ryzen 7 5800X3D」について、詳細を公開した。国内での発売時期および価格についても同時に発表しており、販売開始は4月22日11時で、価格は6万5,300円。
Ryzen 7 5800X3Dは、3次元積層技術の3D Chiplet Technologyによる3D V-Cacheを採用したCPU。Ryzen 7 5800Xをベースとしており、Zen 3アーキテクチャによる8コアCPU/32MB L3キャッシュを搭載するCCD(Core Complex Die)上部に、64MBのL3キャッシュを積層し、あわせて96MBもの大容量L3キャッシュを備えた点が大きな特徴となる。これはRyzen 7 5800Xの3倍の容量に相当する。
ベースとなったRyzen 7 5800Xと比べると、コア構成は8コア/16スレッド、TDPは105W、ソケットはSocket AM4で変わらない。一方でクロック周波数については、ベースクロックが3.4GHz、ブーストクロックが最大4.5GHzとやや控えめとなった(5800Xではそれぞれ3.8GHz、4.7GHz)。なお、オーバークロックについては現時点で非対応で、自動オーバークロック機能のPrecision Boost Overdrive 2も無効となる。
対応マザーボードは、AMD 500/400シリーズチップセット搭載製品および300シリーズチップセット搭載製品の一部。Ryzen 5000シリーズをサポートするBIOSが入っていれば起動できるが、3D V-Cacheによる性能向上の恩恵を受けるためには、AGESA 1.2.0.6b以降へBIOSをアップグレードする必要がある。
L3キャッシュの大容量化により、Ryzen 9 5900Xと比べて平均で15%のゲーム性能向上を謳う。1080p/高画質設定でのテストでは、競合製品のCore i9-12900Kと比べて多くのタイトルで高い性能を発揮できたという。平均で約5%ほど高いゲーム性能を発揮しながら、低価格を実現しており、旧来のシステムとの互換性を持つ点も強みだとしている。
3次元積層により大容量キャッシュを実現。既存製品との互換性も維持
3D V-Cacheは、Zen 3 CCD、3D V-Cache extended L3 Die(拡張L3キャッシュダイ)、Structural Die(構造ダイ)の主に3つのコンポーネントで構成される。構造としては、Zen 3 CCD(81平方mm、TSMC 7nm)の上部中央にL3 Die(41平方mm、TSMC 7nm)を重ね、その左右に放熱補助や構造を整えるためのStructural Dieを1つずつ配置したかたちとなる。
Zen 3 CCDには従来のものと比べて薄型化したものを使用しており、L3拡張キャッシュとStructural Dieを積層してもオリジナルのZen 3ダイと同じ高さになる設計とした。これにより、既存のSocket AM4搭載マザーボードやCPUクーラーなどとの互換性を維持した。
ダイの積層には銅電極同士を直接接合するHybrid Bondingを採用し、貫通シリコンビア(TSV、Through Silicon Via)によって接続。あわせて、積層型製品と非積層型製品との間でダイの互換性を高めるFace to Back Stackingや、サイズの異なるダイの積層を可能とするChip on Wafer Stacking技術も活用した。
Hybrid Bondingによりバンプピッチを9μmにまで狭めており、低消費電力/広帯域化を実現。Micro Bumpを採用する競合製品と比べ、15倍のインターコネクト密度、3倍の電力効率を達成したという。
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