花王株式会社は4月5日、「在宅勤務者の暮らしに関する意識調査」の結果を発表した。約6割が在宅勤務のテレワークに満足しており、日中に家事ができるために朝・夜に時間の余裕ができるといったメリットがあるものの、肩こりや腰痛など体への影響を感じているという実態も浮かび上がった。
調査は2021年7月、首都圏に在住する25~64歳の既婚者を対象にインターネットを用いて実施。調査対象者は、在宅勤務のテレワーカー(直近1カ月間に在宅勤務の経験あり)と出勤者(直近1カ月間に在宅勤務の経験なし)で、それぞれ男性240人・女性320人。以下、同調査では、「テレワーク」は「在宅勤務」を示している。
若い人ほど「テレワークの満足度」が高い傾向
「テレワークの満足度」については、男性は「かなり満足」が14%、「やや満足」が41%で、合計55%。女性は「かなり満足」が24%、「やや満足」が38%で、合計62%だった。
年代別に見ると、男性の25~29歳は「かなり満足」「やや満足」を合わせると67%が満足している。続いて30代が62%、40代が50%、50代が45%、60~64歳が60%という結果になった。女性は、25~29歳が71%、30代が68%、40代が55%、50代が62%、60~64歳が58%となっている。男女ともに25~29歳が最も高く、次いで30代となっており、若い人ほどテレワークに満足している傾向にある。
「テレワークのメリット」(複数回答可)で男女ともに多かったのが「通勤時間を節約できる」で、男性は73%、女性は79%となっている。続いて「感染症対策として有効である」が男性で52%、女性で65%、「空いた時間や仕事の合間に家事や雑用ができる」が男性で43%、女性で63%、「自由に使える時間が増える」が男性で38%、女性で45%、「自分のペースで仕事ができる」が男性で26%、女性で41%などと続いている。
テレワークのメリットにおいて男女差があるのは、「身だしなみにかかる時間やコストを削減できる」(男性17%、女性39%)、「人間関係の煩わしさが少ない」(男性14%、女性29%)の2つが挙げられる。
「テレワークのデメリット」(複数回答可)では、「オンオフの切り替えがしづらい」が男性で47%、女性で46%、「運動不足になる」が男性で34%、女性で44%、「通信費や光熱費の負担が増える」が男性で30%、女性で34%、「社内のコミュニケーションに支障がある」が男性で31%、女性で29%、「仕事に専念できる部屋・スペースがない」が男性で19%、女性で22%などと続いている。
さらにこの調査結果では、特にテレワークのメリットである「空いた時間や仕事の合間に家事や雑用ができる」と、デメリットである「運動不足になる」の2点に関して詳しく書かれている。
テレワークで「昼間に家事」ができ、「朝と夜に余暇」ができる
家事を行う時間帯について、「女性出勤者」と「女性テレワーカー」に分けた結果が公表されている。
女性出勤者は、6~7時台に「洗濯をする」(33%)、「洗濯物を干す・乾燥機にかける」(35%)、「リビング・部屋の掃除」(22%)、「トイレの掃除」(31%)を行い、8~9時台から15~16時台までは80%以上の人が仕事をしている。
しかし、17~18時台は仕事をしている人は56%に減り、この17~18時台に「リビング・部屋の掃除」(20%)、「食料品・日用品などの買い物」(58%)、「洗濯物を取り込む・しまう」(30%)、「お風呂の掃除」(17%)が増える。その後、19~22時台にも多くの家事をこなしている。
一方、女性テレワーカーは、6~7時台の家事は「洗濯をする」(33%)、「洗濯物を干す・乾燥機にかける」(28%)を行っている人が多いが、8~18時台の時間帯でも、洗濯物を干したり、掃除や買い物をしたり、家にいられるメリットを生かして家事をすることが増えている。逆に、19~22時台の家事は女性出勤者よりも少なくなっているため、夜の時間帯に余裕がある。「出勤して働いていると早朝と夜遅くに詰め込まざるを得なかった家事が、テレワークという新しい働き方によって分散していることが分かる」という。
テレワークでは日中の空き時間などに家事ができるというメリットがあるが、「洗濯は、仕事の合間の気分転換と軽い運動になって良い。時には掃除機をかけて体を動かしている」(50代女性)といったように、家事は仕事の合間の気分転換や軽い運動になると感じているようだ。
テレワーカーは「気になっている症状」が出勤者よりも多い傾向
「現在気になっている症状」という質問では、男性は「頭痛」がテレワーカーで15%、出勤者で14%、「肩こり」がテレワーカーで32%、出勤者で18%、「腰痛」がテレワーカーで26%、出勤者で19%、「疲労感・だるさ」がテレワーカーで25%、出勤者で14%、「目の疲れ・乾き」がテレワーカーで23%、出勤者で18%などとなっている。
女性は、「頭痛」がテレワーカーで28%、通勤者で24%、「肩こり」がテレワーカーで52%、通勤者で43%、「腰痛」がテレワーカーで27%、出勤者で25%、「疲労感・だるさ」がテレワーカーで33%、出勤者で31%、「目の疲れ・乾き」がテレワーカーで33%、出勤者で30%などとなっている。
男女ともに、テレワーカーは出勤者よりも気になっている症状が多い傾向にある。
「自宅にテレワーク用の設備が整っていないため画面が暗かったり、イスに長時間座っていると腰が痛くなったりする」(20代女性)、「休むタイミングが分からず、楽ではない。メリハリがきかないので疲れる」(50代男性)といった声も聞かれた。
テレワーカーが「健康維持のためにしていること」は何?
このように体に不調を抱えているテレワーカーは、その対策をしているのだろうか。「健康維持のためにしていること」(複数回答)と質問をしている。
男性は、「屋外でウォーキングをする」がテレワーカーで42%、出勤者で31%、「睡眠を十分にとる」がテレワーカーで35%、出勤者で30%、「自宅で筋トレ・ストレッチをする」がテレワーカーで27%、出勤者で21%、「規則正しい生活をする」がテレワーカーで24%、出勤者で23%、「栄養バランスを意識して食事をきちんととる」がテレワーカーで22%、出勤者で17%、「屋外でジョギング・ランニングをする」がテレワーカーで21%、出勤者で14%などとなっている。
女性は、「栄養バランスを意識して食事をきちんととる」がテレワーカーで43%、出勤者で40%、「睡眠を十分にとる」がテレワーカーで39%、出勤者で46%、「屋外でウォーキングをする」がテレワーカーで37%、出勤者で27%、「規則正しい生活をする」がテレワーカーで36%、出勤者で40%、「自宅で筋トレ・ストレチをする」がテレワーカーで28%、出勤者で29%、「食事の量を控えめにする」がテレワーカーで25%、出勤者で24%などとなっている。
テレワーカーは、ウォーキングを行っている人の割合が4割前後に上り、勤務者と比べる多いことなどがうかがえる。