よりうまい。
子供のころ、うまい棒にからしを塗って食べていたのだけれど、あれはどうしてあんなに美味しかったんだろう。
30年経った今でも美味しいのか、試してみました。
子供のころの味覚を確かめたくて
高校生のころ、部活動の帰りに毎日のように駅前のお店で「うまい棒」を買っていた。
本当は肉まんが食べたかった。
でも高校生にはお金がない。うまい棒なら買える。ただし毎日うまい棒だけというのも飽きるし、なんだか味気ない。
そこで思いついた食べ方が「からしをつけて食べる」だった。
毎日うまい棒を買いに行っていたお店のレジには、からしとワサビと醤油の小袋がそれぞれトレイに置かれていて、必要な分だけもらっていい仕組みになっていたのだ。当時の僕はそれを応用した(悪用した、とも言える)。
からしをつけて食べるうまい棒はなんだか妙に美味しかった。うまいものを見つけた!と学校で騒いだくらいだ(もともとうまい棒なんだけど)。友達の何人かはついてきてくれた。
しかし今思えばあれは本当に美味しかったんだろうか。それともただ僕が飢えていただけなんだろうか。
30年前の自分の行動を、いまあらためて検証してみたいと思う。
うまい棒はコンビニで売られている4種類買ってきた。当時はこれに加えて納豆味があったように思うが、近所のローソンとセブンイレブン、それからドラッグストアでは見つけられなかった。
では一つずつからしを塗って食べていきたい。まずは当時からよく食べていたサラミ味である。
味の扉が開く「サラミ味」
うまい。
からしをつけたサラミ味はやっぱり美味かった。
うまい棒は名前でうまいと言ってしまってハードルを上げた分、うまくないと文句が出かねないだろう。メーカーも思い切ったな、と高校の頃から思っていた。
しかし、である。からしを塗ることでさらなる「うまい味(うまいみ)」の扉が開く。え!うまい棒ってこんなに美味かったっけ?と。
余韻を味わいながら次を開けた。めんたい味である。
これぞ九州味「めんたい味」
キングオブうまい棒、めんたい味。他ももちろんうまいけど、うまい棒といえばめんたい味の濃さが思い出される。
そしてこれ、からしをつけるとその濃さがぐっと増すのだ。それも意外性のある味変ではなく、正当に進化した感じである。
めんたい味とからしって、考えてみたらどちらも九州っぽい。めんたい味のうまい棒にからしを塗ると九州味になるのだ。
違和感ゼロ「テリヤキバーガー味」
次はテリヤキバーガー味。これは正直からしを塗っても塗らなくてもさほど変化がなかった。
もとからこういう味だったような気すらする。もしかしたら前の二つにからしを塗りすぎて舌がばかになっていたのかもしれない。
やってはいけない「コーンポタージュ味」
最後のコーンポタージュ味にはからしは塗らない方がいいです。
やさしい甘さが特徴のコーンポタージュ味である。
からしを塗ればその甘さが引き立つかもと思ったのだけれど、引き立つどころか対立しあって見事に良さをつぶし合っていた。からしが合わないうまい棒もあるのだ。
うまい棒にからしを塗るとうまい
30年経ってもやはりうまいものはうまかった。しばらく忘れていた感覚を思い出したようにも思う。公園の水とかもあらためて飲んだらむちゃくちゃうまいのかもしれない。
ここから余談
ところでJR半田駅だが、僕が通っていたころにはJR最古の跨線橋があった(2021年に廃止)。
高校の頃はまったくこういうものに興味がなくて、毎日歩いていたはずなんだけれどほとんど記憶がない。いま思うともったいなかった。
今見ると何度も塗りなおされた木材の風格といい、それを支える鉄骨の力強さといい、みどころ満載だったのだ。
とういわけで僕の高校時代のふりかえりでした。うまい棒はこの4月から12円になり、跨線橋は廃止となった。あの頃の僕が知ったら愕然とするに違いない。