メイド・イン・テキサス発進。
シリコンバレーからテキサスのギガファクトリーに本社を移転したTesla(テスラ)が、テキサス産Tesla納車第1号を祝う工場初披露のイベント「Cyber Rodeo」を4月7日に開催しました。
招待オンリーのイベントには世界中からファンが集まり、ミュージックあり、花火あり、ドローンイルミネーションありの華やかなセレブレーションとなりました。5つのハイライトをまとめてどうぞ。
①ドローンイルミネーションと花火
これは夜空に描き出された3Dイルミネーションのイーロン。イベントはドローン編隊に始まり、花火に終わりました。動画で見たい人は、上の動画の8:10からがプロジェクションマッピング、8:40~16:05がドローン、花火は51:00から!
気になる新工場は22:40からの映像で確認できます。馬にまたがるテキサスのカウボーイに、レースを挑むTesla車。わーっと駆けてくと工場が現れて、そのまま中まで見れる趣向です。
ファン感涙の映像が終わると、イーロンが車で登場(25:25)。「この日を迎えることができたのもみんなのおかげだ」と終始にっこり。あんまり目新しい発表はなかったんですが、北米では全自動運転(FUD)ベータ版の年内提供開始を目指しているそうです。「年内開始」って今まで何度聞いたか忘れちゃいましたが、今度こそ。
②新工場は世界一デカい
テキサス新工場は容積が3億3800万平方フィート(957万立方メートル)もあって、Tesla生産拠点ではもちろん最大。世界の工場としても容積で最大を誇ります。イベントではこんな風に横に広い工場を縦にして、世界一の高層ビルと並べて、圧巻のスケールをアピールしてましたよ。
③モデルYの新型4680型バッテリー。原料価格高騰で自社採掘精製の可能性も
新型モデルYでは新4680型バッテリーセルのパックが一部採用になっています。これは旧2170型よりひと回り大きな円筒形のセルで、航続距離、出力、冷却効率を高めたもの。正極にはコバルトの代わりに安価なニッケルを使い、負極にはグラファイトの代わりにシリコンを採用しているのが違いです。新型への移行に伴い、旧型の製造でTeslaの心臓部を支えてきたパナソニックは微妙な立場になっているのは、皆さまもご存じの通りです(詳細)。
モデルYの出荷を祝ったイベントの翌日、イーロンは「リチウム価格高騰は異常」とツイートして、そちらも話題でした。工場はあるのに原料がなくて稼働できない!という事態だけは何があっても避けないと。となると、自社で採掘・精製までしてしまうことも十分考えられそうです。EVの未来は原料戦争ですね。
④サイバートラック(来年出荷予定)にはドアがない
今回、窓をハンマーで割るパフォーマンスはありませんでした。新材料としては「サイバートラックにはドアがない」というのが、へ~となったところ。なんでも「近くに寄るだけで開くドア」らしいのです。
⑤ロボタクシー、自社ロボ「Optimist」も開発予定
ほかにもロボタクシー、自社ロボ「Optimist」など、Teslaは未来の開発プロジェクトが目白押しです。詳細はあんまり出てこなかったんですが、イーロンは「経済の意味が変わる」ほどの変化を呼ぶプロジェクトになると言ってました。Optimistバージョン1はできれば来年実現が目標とのことで、Tesla Semi、新型ロードスターも来年出荷を予定しています。
ちょっと気になったのは、イベントでイーロンが「世界各地で現地生産すれば輸送が減るのでエコだ」と言っていたところです。その通りなのだけど、テキサス移転前は、ここフリーモントの工場で、Teslaは散々基準値以上の大気汚染物質を撒き散らしていたりします。違反は33回、火災4回。汚染物質排出量を記録して報告する義務も怠る常習犯で、昨年5月に罰金100万ドル(約1億2400万円)を支払うことで環境保護局と手打ちになっています。だからかな。その前にやるべきことがあるでしょ~、テキサスではしっかりやってね!と思ってしまいました。エコな車を作るのも大変。
空軍士官学校でもこの通りの熱狂で、大統領かロックスターみたいだし、SECにはツイートによる株価操作を疑われて取り調べを受けてるし(インサイダー取引と判断された場合、Twitter利用停止もありえるし、そうなるとトランプ氏のように過去ツイもすべて消えてしまう。株の大量買いは予防線なのかも)、Twitterでは取締役指名に不安を抱える社員からなんでも質問を受け付ける「Ask Me Anything」も予定しています。体がいくつあっても足りないイーロンなのでした。
Source: YouTube, Energy Shift, CNBC, Los Angels Times, Twitter, Wall Street Journal