2019年にオープンしたジャンクパソコン部品専門店『秋葉原最終処分場。』。筆者が「東京に行ったら絶対に寄る」と心に決めていた場所のひとつだ。
その目的は、目の前でハードディスクを破壊してくれるサービス『黒歴史最終処分場。』。しかも1個あたり、たったの100円という安さなのだ。
念願叶って体験させてもらったところ、マジで一瞬でハードディスクが処分できてしまった。使わないハードディスクを抱えて悩んでいる人、絶対行った方が良いぞ~!
・朝の秋葉原ではメイドさんも出勤中
朝、JR秋葉原駅に到着した。都会慣れしていない筆者は、到着5分で早くも大量のビルと人にクラクラしてしまった。
しかし、ある1点においては急激にテンションが上がった。人ごみに紛れて出勤していたのは……
メイドさん
誰もなにも反応していないから筆者も素知らぬ顔をしたが、「こんなナチュラルに出勤してるんだ!」と内心ではかなり驚いていた。てっきりメイドさんたちはみんな、店内のロッカールームで着替えてるんだとばかり思っていた。
しかも彼女はなぜか、三重県名物 赤福のビニール袋をさげていた。ギャップがデカ過ぎる。
──おそらくこれを読んで、都内在住の読者は「田舎者め」と笑っていることであろう。
しかし冷静に考えほしい。朝の街をメイドさんが出勤しているという光景、秋葉原以外のどこで見られるだろうか? 何よりコレが日常っていう状況が激烈におかしいんじゃないだろうか??
早くも顔面にワンパンチ喰らったような気持ちで、秋葉原最終処分場。を目指したのであった。
・東京ラジオデパートにも驚いた
秋葉原最終処分場。は、東京ラジオデパートの地下1階にある。6階建ての建物の中には約36軒のテナントが入っていて、どれもが電子部品などを取り扱う専門性の高いショップだ。
ここでも秋葉原初心者である筆者は衝撃を受けた。なんと言っても……雰囲気的に入りにくい。
いや、これが本来の秋葉原であり、むしろ筆者の方が部外者であることは百も承知している。しかし自分のような素人がミーハー心で訪れても良いのかどうか、判断がつきにくい外観だったのだ。
──先に結果だけ言うと、秋葉原最終処分場。の従業員の方々は優しく、とても丁寧に対応してくれた。初めてでも安心して訪問できるお店であったことだけは、最初にお伝えしておきたい。
さて、意を決して館内に入り、エスカレーターを降りると……
ここが秋葉原最終処分場。だ!
店内には所狭しとパソコン部品や周辺機器が置かれ、掘り出し物を探すお客さんがたくさん訪れていた。
・黒歴史の抹消は一瞬で終わる
レジにいた店員の男性に「ハードディスク破壊の取材をさせて欲しい」という旨を伝えると、快く応じてもらった。
今回は特別に、店舗で保管されていた体験用のハードディスクを破壊させてもらったぞ。
ちなみに破壊できるのは、HDD、SSD、そしてUSBなどのフラッシュメモリ。旧式の5インチタイプなどは対応できない場合もあるそうだ。
破壊代金を支払うと、専用の機械の中にハードディスクをセットしてくれた。この作業は事故防止のため、必ず店員が行うのだそう。
緑色のボタンを押せば、機械が動作する。
行きますよ?
ポチっとな。
「ブブブブブブブ……」という音と共に、機械内で4本のアームがハードディスクを貫いた。わずか5秒ほどの出来事だった。
小窓からは「ペキッ」と、小枝が折れるような軽さでハードディスクがへこんでいるのが見えた。どれほどの力がかかっているのだろう。機械の無機質な動きが恐ろしくなった。
取り出したハードディスクには……
見事に穴が開いている!
しかも、裏までガッツリ貫通しちゃっているのだ!
恐るべし、黒歴史最終処分場。ここまで破壊されていれば、データを取り出すことは何者にも不可能。黒歴史を全て抹消することができるということであった。
破壊後のハードディスクは処分してもらえるが、希望者は持ち帰りも可能だ。ただし鋭利な破片が飛び散る可能性があるため、注意が必要とのこと。
破壊後はなんと、オリジナルクリアファイルまでもらえたぞ!
ライターという仕事をしていると、クリアファイルなんて何枚あっても良い。非常に嬉しかった。
なお公式サイトによると、ハードディスクだけを取り出すことが困難な場合は、パソコンまるごと持ち込んでも良いそうだ。ただしその場合、パソコン本体は引き取り、または買い取りしてもらうことが必須なので注意して欲しい。
・謎は深まるばかり
最後に、秋葉原最終処分場。で取り扱われている商品の分類が、素人には到底理解できなかったのでご紹介したい。
商品は酷、苦、悲、普、喜、謎の6つに分類で販売されているそうなのだが……
特に酷に関しては、「もう、どうしようもないコンディションです」「(ジャンク品に)夢や希望を抱くのはやめましょう」など、売り物を表しているとは思えないような文言が並んでいる。
一体なんのために買うのか? っていうか、むしろ買う人はいるのか?? ……謎を抱えたまま、秋葉原をあとにした筆者であった。