被災した自室からテレビを運び出す主婦。憔悴しきっていた。=14日、キエフ市 撮影:田中龍作=
開戦から19日目、3月14日。
きょう午前5時ごろ、キエフ市郊外のアパート(140世帯)にロシア軍のロケット弾(あるいは大砲の砲弾)が着弾し、2人が死亡、7人が負傷した。建物は半壊した。
着弾したのは閑静な住宅街。日本の団地のように中層アパートが林立する。
軍関係の施設も近くになく、住民も普通の人々だ。明らかな無差別攻撃である。
現場は火事のような焦げた匂いが鼻をついた。
被弾したアパートの約半分は粉々に破壊されていた。=14日、キエフ市 撮影:田中龍作=
アパートに住んで45年になるというタチアーナさんは着弾当時のもようを次のように語った―
「寝ていたらもの凄い音がして目が覚めた。ロケットが近くの部屋に飛び込んできたのだなと思った。
爆風でガラスがすべて割れ、出火した。外に逃げようとしたが、ドアが開かなくなっていた。爆撃で建物が傾いたことが分かった。
煙を吸いノドが痛くなった。呼吸が難しくなった。近所の人たちが駆け付けてきてドアを壊した」。
近所の人たちやレスキュー隊に助けられてタチアーナさんはかろうじて脱出できたのである。
「友人が死に、肉親が死ぬ。私たちはホームレスになる。戦争は悪夢だ。悲劇だ。戦争を早く止めてほしい」。
ロケット弾(あるいは大砲の砲弾)はロシア軍が制圧しつつあるイルピンから発射されたとの見方が大勢を占める。
ロシア軍は高価なミサイルを使わなくても、首都を安価な砲弾で攻撃できるようになった。
惨状を知人や親せきに報告しているのだろう。男性の表情からは絶望がうかがえた。=14日、キエフ市 撮影:田中龍作=
~終わり~
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