カントリーマアムを直訳すると「田舎のお母さん」である。
パッケージには、行ったことがないのに、どこか懐かしく思うような田舎風景が描かれている。
でも、変わらない風景など、この世界にはない。
ふるさとに帰るたび、風景は少しずつ変わっていくものだ。
カントリーマアムの風景をジオラマにして、少しずつ都市開発してみた。
マアムが住んでいる家
ここに、チョコチップクッキーを焼いてくれる「マアム」が住んでいるのだろう。
家の高さと同じくらいの木が庭に並んでいるあたりに、住居年数の長さが垣間見える。
まずはこの風景のジオラマを作ってみよう!!
出来上がったのはこちら。
周りに何もない平地に、ぽつんと建つ一軒家。
ジブリ映画の舞台になってそう。多分床下に小人とか住んでいる。
マアム宅作り方
パッケージには表からの絵しか描いてないので、裏側を想像しながら作っていく。
ジオラマ用の緑のスポンジで周りの樹木もつくる。
2種類購入し、紙粘土の土台にボンドで張り付けていった。
続いて、ジオラマを載せる土台も作っていく。
土台に簡単に色をつけ、ボンドを塗った上に、粉を振りかけていく。ジオラマ用の粉が結構高かったので、知り合いの木工職人さんに、木くずを分けてもらって代用したが、ビジュアルは完全にきな粉である。
こちらはジオラマ用の粉。理想の色味の粉がなかったので、2種類を調合したら、完全に青のりになった。
これらを組み合わせると……
かなり下に構えないと、うまく撮れない。小型犬を撮るときと同じ感覚だ。
この自然に囲まれたのどかな風景は、どのように都市開発されていくのだろうか。
イオンが建つ
車で1時間以上かけて買い物に行っていたのが、このイオンで何でも揃うように。
小さな商店街で買い物をしていた人たちにとって、革命的事件だ。
中学生達が、ゲームセンターにたむろする、田舎のオアシスの誕生である。
途中紙粘土が足りなくなり、ダイソーに買いに走ったりした。
これ、紙粘土で作るべきだったのか……?? という自問自答を10回くらい繰り返したが、何とか最後まで作り上げることができた。
久々に実家に帰ったとき、「え!イオン出来てるじゃん!」
とテンションが上がり、買い物に行くも、
「この裏の空き地で、子どもの頃よくキャッチボールしてたな……」
とふと寂しくなりながら、フードコートでうどんを食べたりするのかもしれない。
ビジネスホテルが出来る
イオンが出来たということは、その分雇用が増えたはずだ。
よく知らないけど、出張とか色々あると思うので、次はビジネスホテルを建てよう。
普段模型を作っている人にアドバイスをもらい、紙やすりでアスファルトの道路を作った。
もはやジブリ感は完全に消えている。この変貌ぶり、町長が変わったとしか思えない。
コンクリートで道が舗装され始めたあたりは街の財政の潤いを感じる。この街に住む人口も増えてきたのではないか。
よし! この調子でどんどん建物を増やしていこう!
モノレールが出来る
だいぶ都市開発されてきたが、イオンとビジネスホテルが建っただけでは、まだまだ田舎だ。
最寄り駅が存在しない、どこに行くのにも不便な街である。
もういっそのこと、モノレールを作ってみよう。
おそらく隣街と合併して市になった。もうシティだ。
これで都会へのアクセスがよくなり、イオンのユニクロだけじゃなく、都心のZARAとかの服も買えるようになった。
街全体にちょっと垢抜けた空気が漂い始めた。
実家への道のりは、1時間に1本のバスから、10分間隔でくるモノレールへと変化し、だいぶ家に帰りやすくなった。
年末に帰省するだけだったのが、ちょっとした3連休とかでも気軽にマアムの顔を見に行けるようになったのではないか。
電波塔を建てる
アクセスが良くなったので、次は観光名所的なものを作って人を集めたい。
世界一高い電波塔を作ってみよう。
この電波塔を見に、国内外から観光客が来るに違いない。
アパホテルも商売繁盛だ。アパ社長も笑いが止まらないだろう。
これは、もう都心だ……!!
道も整備され、雨の日にぐちゃぐちゃにならずに快適に歩けそうだ。
完全に観光名所になってしまった。
もはやあの頃の面影はない。毎日賑わい、人であふれる街になった。
コンビニをつくる
コンビニはどこでもあるものだし、特に都会的というわけではないと思うが、一番田舎と都会の差がはっきりでるものだと思う。
それは、ズバリ、駐車場の広さ!!
田舎に行けばいくほど駐車場が異常に広い。
「え? こんな広い必要性ある??」と思いながらも、めちゃめちゃ停めやすく、方向転換なども大胆に出来る。
これが都会に行けばいくほど駐車場の車幅が狭くなり、隣にぶつけないかビクビクしながら駐車することになるが、真の都会では、ついに駐車場がなくなる。
セブンのジオラマは、壁のディテールがよくわからなかったので、直接見ながら描くことにした。
この後、模型を持ってセブンで買い物したら、店員さんにじっとみられた。
ここまで都市開発が進んでも、「マアム」は手づくりのチョコチップクッキーを焼いてくれるだろうか。
「あのクッキー焼いてよ!」とせがんでも、
面倒くさがって、コンビニでホームパイとかを買って来るんじゃないだろうか。
都市開発された街を見ながら食べるカントリーマアムは、少し切ない味がした気がした。
地元に大きいイオンが出来たら、思い出の風景が変わっていく覚悟を決めた方がいいかもしれない。
きぬた歯科の看板を立てる
このジオラマを友人に見せたら、
「きぬた歯科の看板を立てたほうがいいんじゃないか」
と言われたので作ってみた。
カントリーマアムのことを少し調べてみたら、アメリカの田舎風景らしかった。
アメリカにきぬた歯科の看板が立つだろうか……。
でも、何かのコラムで、外国に看板を立てるのが院長の夢というのを読んだことがある気がするので、あながち間違いじゃないかもしれない。