AMDは、「AMD Ryzen」プロセッサーを搭載した「Windows 11」マシン上で、「システムの対話性や応答性を一時的に停止」させるハードウェア上の問題が存在していると発表した。ただ、問題を修正するためのBIOSアップデートは5月まで待つ必要があるという。
この問題の影響を受けるのは、ファームウェアTPM(fTPM)設定を有効化している「Windows 10」やWindows 11のシステムだ。
TPMの暗号化プロセッサーは暗号化処理を担っており、Windows 11システムをサポートする上での最低ハードウェア要件の1つとして挙げられている。そして、Microsoftが2021年に述べていたように、「サポートされていない状態」のPCは「Windows Update」経由でのアップデートを受け取ることができない。このためユーザーはfTPMを有効化することで、Microsoftの求めるTPM関連の要件にマシンを準拠させられるようになる。
しかし、Windows Centralが指摘しているように、Redditのユーザーらはこの問題について1月から話題にしていた。AMDは今回ようやく、この問題がfTPMのメモリートランザクションに起因しているという説明を発表した。
AMDは、「AMD Ryzenを搭載した一部システムの設定では、マザーボードに搭載されているSerial Peripheral Interface(SPI)フラッシュメモリー(SPIROM)上での拡張fTPM関連のメモリートランザクションの実行が断続的になる可能性がある」と説明している。
その結果、AMDが「断続的なパフォーマンスの低下」と表現する現象が発生し、一部のWindows 11ユーザーは「システムの対話性が一時的に停止したり、メモリートランザクションが完了するまで応答がなくなったりする」という状況に直面しているという。
Redditのユーザーによると、この問題は実行しているプログラムに関係なく、2秒ほど続き、1日に3〜4回発生するという。
AMDは、マザーボードのシステムBIOSに「fTPMとSPIROMのやり取りを改善する拡張モジュール」を搭載するアップデートをリリースする計画だとしている。とはいえ、そのアップデートのリリースは2022年5月上旬から開始される見込みだという。
ただ、同社は詳しい回避方法も公表している。この問題の影響を受けており、TPMをサポートするためにfTPMを必要としているユーザーは、ハードウェアTPMデバイス(dTPM)に切り替えることができる。しかし、切り替えの際には作業に先立って、TPMを利用する暗号化システム(「BitLocker Drive Encryption」など)の無効化とシステムデータのバックアップ、またはいずれかを実行しておく必要があるとAMDは警告している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。