最近のカプセルトイはさらに進化した気がする。少し前までリアルなミニチュア玩具が主流だったが、最新のものには「見知らぬ家のカレーレシピ」が入っていた。
思わず「その手があったか!」と唸らずにはいられない。カプセルトイに新時代、キター!!
さらにもう1歩踏み込んだ逸品を発見した! それは見知らぬ高齢者からの手紙が入った「じぃじ & ばぁばの便り」である。ためしに1つ引いて中身を読むと……、マジで涙が出た。
・祖父からの手紙
この商品は、介護事業を行う「株式会社ウェルフューチャー」が運営するデイサービス「働レク(わくレク)」の一環で作られている。施設利用者が実際に書いた手紙を印刷しており、カプセルトイの設置店に合わせて文面も変更しているという。
そんな手紙系ガチャを購入したのは、東京・南砂町の商業施設「スナモ」にあるカプセルトイ専門店「#C-Pla(シープラ)」だ。
正直言うと面白半分で購入してみた。縁のないご年配の方が書いた手紙に「思わずホッコリ」、そんなことを想像しながら200円を投入してハンドルを回したのである。ちなみに商品の売上の一部は介護施設の利用料に充てられるとのこと。
カプセルの中には小さなパンフレットが入っていて、それを見ると一応キャラ設定があるらしい。悟りばぁば・戦略じぃじ・口説きじぃじ・知恵袋ばぁば・フォーチューンばぁば・一流じぃじ、それぞれ個性に合わせた内容の手紙が入っている。
そして1枚の紙切れ。折りたたまれたその形は、まるで学生時代にクラスメイトがよこしてきたヒミツの手紙みたいだ。
中身を見ると……。
「久しぶりだ。そろそろ一流の人間になれたか。」という書き出しで手紙がつづられていた。
内容は購入して確かめて欲しい。私が受け取ったのは一流にこだわる一流じぃじからのものだった。厳しい言葉で諭す文面ではあったものの、そこには深い愛情を感じ取ることができる。
「いいか、英典。じぃじの言ったことを考えてみるといい」
まるでそう語りかける祖父の姿が見える。
実を言うと私は祖父のぬくもりを知らない。生まれる前に父方も母方も他界していた。写真の中でしかその姿を見ることができなかった。だからこんな風に諭されることにずいぶんと憧れを抱いたものだ。
この手紙の向こうにこれをつづった誰かがいる。見知らぬご老人が、誰が受け取るとも知らずに書いたのだろう。しかし私には見える、この手紙を通して祖父の姿が。
「そろそろ一流になれたか。」、その問いかけに首を縦に振ることはできないけど、この言葉を大事にするよ、じいちゃん。
参考リンク:株式会社ウェルフューチャー
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24