Appleは米国時間3月4日に開いた株主総会で、第三者による独立した人権監査を実施し、同社の方針や慣行がもたらす影響を分析して変更を提言できるようにすることを求める株主提案を賛成多数で可決した。この投票は、議決権を持つ株主の過半数がAppleに事業の透明性確保を迫る珍しい例となった。
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人権監査は、今回の株主総会で提起された株主提案の中でも社会問題に目を向けた唯一の議案で、議決権のある株主の過半数は支持していたが、Appleの取締役会は反対を表明していた。Appleの取締役会は事前に株主に送付した文書の中で、同社はすでに透明性レポートや内部統制など多くの方法で同提案の目的を果たしていると述べていた。これに対し一部の株主は、デバイス上のプライバシーに関するAppleの対応をめぐる最近の論争や、企業文化に対する従業員の不満を考慮すると、監査は妥当だと主張した。
米投資会社SOC Investment Groupのコーポレートガバナンス担当ディレクターTejal Patel氏は株主総会に寄せたコメントの中で、「Appleの人権監査は、同社がステークホルダーの人権に与える影響を独立して客観的に精査するものだ」「Appleは、インクルーシブ(包摂的)で公正な企業、違いを歓迎する企業としてそのブランドを築いてきた。そしてテクノロジー業界では、社会からの信頼が最も重要だ」と述べた。
Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏は株主総会で、同社は人権について深く配慮しており、これまでも常に配慮してきたと述べた。
Appleの株主らはここ数年にわたり、同社に対して報告書を作成したり、役員報酬を環境対策と紐付けたりするよう求める提案をしていたが、可決までには至っていなかった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。