なぜ人々は毎朝同じようなものばかり食べてしまうのか?

GIGAZINE
2022年03月06日 11時00分



近年では「朝食はしっかり食べた方が健康にいい」「朝食を抜くと太る」などと言われ、朝食の重要性が強調されていますが、朝食を毎日食べるという人でも、毎日同じようなものばかり食べてしまうことがあるはず。「一体なぜ人々は朝食だけ毎日同じものを食べるのか?」という疑問についての研究結果が発表されました。

Why do people eat the same breakfast every day? Goals and circadian rhythms of variety seeking in meals – ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.appet.2021.105716

Why do you usually eat the same thing for breakfast? | Live Science
https://www.livescience.com/why-people-eat-same-breakfast

多くの人々は朝食にシンプルで簡単に用意できるものを選んでおり、トーストと目玉焼き、シリアルと牛乳、ご飯とみそ汁など決まった組み合わせを選びがちです。オランダのエラスムス・ロッテルダム大学で人間の行動について研究するRomain Cadario氏は、「私はフランス人であり、食べるものに多様性を求めています。これはフランスの美食社会によって評価されるものです」「しかしそれと同時に、私はいつも同じ朝食を食べています」と述べています。なお、Cadario氏の朝食は「コーヒーとトースト」が多いとのこと。

そこでCadario氏は、アメリカのボストン大学で人間の認知や判断について研究するCarey Morewedge教授と、「なぜ人は毎日同じ朝食を食べるのか?」という疑問について話し始めたとのこと。なお、Morewedge氏は約2年間にわたり「コーヒー、トースト、アーモンドバター、アボカド・ホウレンソウ・タンパク質パウダー・バナナのスムージー」という朝食を続けているそうです。


朝食に同じものを食べる人が多い理由の1つとしては、人間のさまざまな行動や生理現象を支配する概日リズムの影響が挙げられています。概日リズムは朝になると目が覚め、夜になると眠くなるといった生理現象に影響を及ぼすほか、精神的な面にも影響することが知られています。そこで2人は、「概日リズムに基づく心理的要因が食事のバリエーションに関連しているのではないか」と考えて調査を行いました。

2人はまず、1275人のアメリカ人と2624人のフランス人を対象にした過去の調査データから、食事の内容とそのパターンを分析しました。分析の結果、両グループを平均して68%の人々が、少なくとも1週間に2回以上は朝食に同じものを食べていたことが判明。また、その割合はアメリカ人だと52%、フランス人だと73%と国によって差が生じていたそうです。対照的に、夕食で1週間に2回以上同じものを食べた人の割合は、アメリカ人だと16%だった一方、フランス人だとわずか6%だったと述べています

朝食だと同じものを食べる人が多い点については、論文中で「資本主義的な労働慣行により、多くの人々は昼食や夕食よりも朝食において選択・準備・消費する時間が短くなります」と述べられています。また、一般的な概日リズムにおいて、人々は朝起きた直後には注意を払うべき事柄が多く、できるだけ思考が割かれないように簡単な食事を選ぶ可能性があるとのこと。

さらに研究チームは、概日リズムに応じた心理的状態の変化が、朝食に同じものを食べやすい傾向と関連しているのではないかと考え、オンラインで募集した199人を対象にアンケートを行いました。アンケートの結果からは、「食事に喜びを求める度合い」が朝食<昼食<夕食の順に大きくなっており、朝食に喜びを求める度合いは比較的小さいこともわかりました。

科学系メディアのLive Scienceは、「エネルギーに満ちあふれた1日の早い段階では、人々はより実用的な目標を追求し選択する傾向があります。これにより、朝食を食べる時に幸福よりも実用性に気持ちが向かい、好きな朝食を1つ見つけたら同じものを何度も食べる可能性が高くなります。しかし、日が進んで人々のエネルギーが次第に低下していくにつれて、実用的な目標の重要性は低下します。幸福を求めることがより重要視され、味や食感の多様性を求める傾向が強くなるのです」とまとめています。


研究チームは調査データの分析から、より楽しみの度合いが大きいと予想される休日の朝食は、平日よりもメニューの多様性が高くなっていることも発見しています。この点からCadario氏は、平日の朝食でも意識的にメニューの多様性を増やすことにより、朝食がより楽しいものとなり、その1日をよりポジティブに過ごせるようになると主張。「朝のちょっとした楽しみが、1日を気持ちよくスタートさせることにつながるのです」と、Cadario氏は述べました。

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2022年03月06日 11時00分00秒 in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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