巻き網漁や刺し網漁といった網を利用した漁では、食用の魚と同時に食用でない魚やウミガメなども大量に捕獲してしまう「混獲」が生じ、生態系への悪影響や選別にかかる時間の増加などの問題が指摘されています。そんな網を使った漁について「網にLEDライトを取り付けることで混獲を減らすことが可能」という研究結果が報告されました。
Net illumination reduces fisheries bycatch, maintains catch value, and increases operational efficiency: Current Biology
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.12.050
Lighted Nets Dramatically Reduce Bycatch of Sharks and Other Wildlife While Making Fishing More Efficient > Newsroom
https://newsroom.wcs.org/News-Releases/articleType/ArticleView/articleId/17174/Lighted-Nets-Dramatically-Reduce-Bycatch-of-Sharks-and-Other-Wildlife-While-Making-Fishing-More-Efficient.aspx
網を使った漁では、サメなどの食用でない魚やウミガメ・海洋哺乳類・海鳥などの絶滅危惧種に指定された生物も水揚げしてしまうという問題が存在しており、この問題によって生態系に影響が出ていることが指摘されています。
アリゾナ州立大学で生態保全学について研究するジェシー・センコー氏が率いる研究チームは、混獲の解決法を開発するべく、刺し網漁に用いられる網にLEDライトを取り付け、その効果を検証しました。
LEDライトを取り付けた網を用いてメキシコのバハ・カリフォルニア・スル州で刺し網漁を行った結果、混獲を63%削減することに成功。このうち、サメやエイは95%、アメリカオオアカイカは81%、ナガスクジラは48%削減することができました。また、LEDライトを取り付けた網の回収にかかった時間は、通常の網の半分ほどだったとのこと。この結果から研究チームはLEDライトを網に取り付けることは漁業業者にとって具体的なメリットがあると述べています。
また、野生生物保護学会は「これまでの混獲を防ぐ方法では漁獲量に影響が生じ、食糧安全保障に多大な影響を生み出す可能性がありました。今回の研究結果は、絶滅の危機に直面した魚類を救うための有効な手段を提供するものであり、野生生物保護学会によって世界的な保護活動の一環として精査される予定です」と述べています。
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