【記事訂正 2022年1月24日 13時30分】
履修管理アプリ「Penmark」に関して、「学生認証」として、『大学が発行するIDやメールアドレスとパスワードで認証を行い、大学のサーバーから情報を取得するのです。』と、大学のサーバーに学生のアカウントでアクセスし、情報を取得するかのような記述をしておりましたが、これは事実と異なる内容でした。
学生であることを確認するため、大学のメールアドレスでの登録、または学生証の写しをアップロードすることによる確認が必要となりますが、大学のサーバーに学生のアカウントでアクセスすることはありません。
当該箇所を修正しました。読者の皆様、関係者の皆様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
テレワークが定着しているINTERNET Watch編集部だが、大学生のインターンスタッフもテレワークで業務に参加している。今回も前回に引き続いてテレワークグッズミニレビュー 番外編として、現役大学生の視点から、オンライン化された大学の授業と、それに対応した工夫を紹介する。
現在大学生2年生の私は、2020年の入学と同時に新型コロナウイルスの感染拡大が起きたことから、思い描いていた学生生活とは異なる日々を過ごすことになりました。
入学式はもちろん、学園祭など人が集まる行事はすべて中止、またはオンラインで行われています。講義もほとんどはオンラインになり、クラブ、サークルなど課外活動の自粛も要請されています。2021年の秋ごろからは対面の講義が増え、課外活動もある程度解禁されましたが、オンラインのままの講義もあります。
おそらく、この2年間で大学生の日常に大きな変化が生じたのでしょう。その変化のいくつかは不可逆的なものであるように思えます。
例えば、私が昨年度履修していたオンライン形式の一般教養科目では、オンライン形式の講義が当たり前になっており、来年度も引き続きオンライン形式での開講を検討していると話していました。中には「わざわざ教室に集まる必要性を感じない」なんて言う先生も……。
対面形式を望む意見や、科目ごとに形式を使い分ける(一般教養科目はオンライン、専門科目は対面など)べきという意見もありますが、大学の講義形式としてオンラインが定着しても不思議ではないのかもしれません。
そんな中でも特に顕著な変化が見られたのは、ほかの学生や先生とのコミュニケーションではないでしょうか。
そこで本稿では、入学と同時にコロナ禍になった私や私の周りの学生の間でよく使われている2つのコミュニケーションツールについて、紹介していきたいと思います。
変容する大学生のコミュニケーションツール
私が2020年の4月に入学して最初に困ったことは、間違いなく履修登録です。ウェブサイトのよく分からない登録画面から、必修科目、一般教養科目を履修登録しなければなりませんでした。履修登録の手順の説明動画がありましたが、細かな質問をする機会が得られず、困っていました。
それに、どんな科目を履修したほうがいいのかさえ見当もつきませんでした。「そんなもの、シラバス(講義要綱)を見て決めればいいじゃないか!」と思う人もいるでしょうが、話はそう単純ではないのです。
大学の講義内容や試験制度は各教員に委ねられています。難易度が高く、試験一発で合否が決まるような科目ばかりが1日に連続してしまったら大変です。そんな履修の組み方をすると試験対策が間に合わず、必修科目を落として留年してしまうかもしれません……。
コロナ禍以前は、サークルや部活の先輩が講義情報を提供し、どの講義がいわゆる「楽単(楽に単位を取得できる科目)」なのかを直接教えてくれたと聞いています(楽単の履修を推奨するわけではないですよ)。
しかし、コロナ禍で顔を直接合わせることが難しくなって、そうした情報交換の機会はなかなかありません。困っていたときに、オンラインでの履修管理の手助けとなるアプリが、学生の間で話題となりました。
大学生の間で話題沸騰の履修管理アプリ「Penmark」
Penmarkは株式会社ペンマークが運営する、大学の履修を管理できる無料のアプリです。慶應義塾大学発のベンチャーで、CEOは現役慶大生。2019年3月にβ版がリリースされ、2020年4月に正式版がリリースされました。今では全国750もの大学(全ての4年制大学)と提携しているそうです。
アプリの全ての機能を使うには、学生であることを証明するため、大学のメールアドレスで会員登録するか、フリーメールなどを利用して会員登録をしたあと、学生証の写し(写真)をアップロードして認証を行う必要があります(認証しなくても時間割機能だけは利用可能です)。
同じ講義を履修している人が互いにコミュニケーションを取り、講義について情報交換できる「トーク」サービスも大きな特徴です。この機能によって、講義や課題の情報や試験前には過去問の情報などをみんなで共有できるのです。講義に関する情報交換のためのSNS機能が搭載されていると言っていいと思います。
私の履修登録はこのPenmarkに大きく助けられました。履修しようか悩んでいる科目のトーク機能から、かつてその科目を履修していた先輩からアドバイスをもらうことができたり、楽単情報をもらったり、履修人数が表示されていることでなんとなくの「楽単度合い」が分かったからです。決して楽単ばかり拾っているわけではありません。しかし実際に講義を受けてみると、そのありがたみが分かります。
同社は、トーク機能が搭載されていることにより、サークルや部活動に所属していない学生にとって講義の情報を取得しやすくなり、学生間の情報格差を減少させるとしています。
加えて「出席/欠席/遅刻早退」を記録できる出席カウンター機能も助かります。あと何回欠席しても単位を取得できるのか計算するには、これまで何回出席したのかを知っておく必要があるからです(そんな計算をせずに全て出席しろ、という指摘はもっともですが)。
私はPenmarkを、イレギュラーな事態が起きたときの通知用として使用しています。例えば、何かしらのトラブルでオンライン講義に参加できない場合です。大学の講義がオンライン化したとしても、先生がそれに対応できるとは限らず、オンライン講義で使うツール(ZoomやWebexなど)をうまく使いこなせない先生もいらっしゃいます。
また、「Macを使っている学生は講義のZoomに入れない設定になっている」や「オンラインで配布された資料に学生のアクセス権が設定されていない」など、先生側で解決してもらうしかないことが原因のトラブルも、未だによく発生します。
そんなトラブル時は、Penmarkのトークを使って情報共有します。なにせ同じ講義を履修している人のSNSです。トラブルがあればみんな同じように困惑し、どうにか解決法を探ろうとします。「もしかしたら自分だけトラブルが起こっているのかもしれない」といった不安は、履修者同士で状況を確認しあうことで解決します。
そうして情報共有しながら、履修者の誰かが代表して先生と連絡を取ることで、早期のトラブル解決を図れます。もしも情報が錯綜してトラブルがなかなか解決せず、そのまま講義時間が終わってしまったら……。後日、補講が入るかもしれません。学生からするとそれは避けたい事態です。
大学生に人気のチャットツール「Discord」
先ほどのPenmarkは講義に関する内容を扱うSNSだったのに対し、Discord(通称”ディスコ”)は気軽に普段使いできるコミュニケーションツールとして、周囲の大学生の注目を集めています。
Discordは原則無料のボイス/テキストチャットツール。元々はゲーマー向けに開発されたフリーウェアです。ほかに大学生の間でよく使われる「Skype」や「LINE」とは異なり、アプリをインストールする必要がないのが特徴で、全ての機能をウェブブラウザーから利用できます(PCとスマートフォン用のアプリもあり、よく使うユーザーはインストールしています)。
ユーザーはそれぞれ個人の「サーバー(ユーザーが集まり、複数のボイス/テキストチャットルームを持てる場)」を持ち、ほかのユーザーを招待してチャットを楽しむことができます。招待していないユーザーがチャットに参加してくることはありません。
サーバーのURLを送るだけで、友人を招待できる簡単さが魅力です。招待された側がDiscordのアカウントを持っていなくても、簡単な登録の操作をするだけで利用可能となります。
DiscordのサーバーはLINEのグループとは違い、後から参加してもそれまでのチャット内容を確認することができます。この点、情報共有ツールとしてはLINEより優れているかもしれません。
誰もが参加できるよう一般公開されたサーバーでは、不特定多数の人と意見交換をしたり、情報収集をすることもできます。公開サーバーは「音楽」「ゲーム」「教育」「サイエンス&テクノロジー」「エンターテイメント」のようにジャンル分けされており、自由に出入りできるSNSとなっています。
DiscordはSkypeと比較して動作が軽く、LINEと違って各ユーザーのオンライン/オフラインの状況が一覧できて、誰が現在通話可能かが分かりやすくなっているのが特徴です。大学生は、ゼミや研究室の活動について話し合ったり、共同研究のレポート執筆に取り組んだりしています。サーバー内の通話可能な人が分かるため、突発的なオンライン飲み会にも使われているようです。
「顔」は映さないオンライン自習室で集中力がアップ
私は一般公開の「自習」を目的としたサーバーをよく利用しています。見ず知らずの人と映像をつなげて(音声通話なし、手元などを映して顔は映さない)自習することで、Discord上に仮想の自習室を作り上げています。
参加者の所属や勉強内容はバラバラで、一番多いのは高校生です。彼らは大学受験の勉強をしています。会話はありませんが、”誰か”の存在を意識しながら自習することで、1人で自習するよりも集中できるように感じます。
コロナ禍を通して、大学生・若者のコミュニケーション環境は大きく変化し、それに適応することが求められました。私自身、初めてオンライン講義を受けるときはZoomを使うのが怖かったことを覚えています。自分がカメラで映されることすら嫌でした。
しかし、今では当たり前のように顔も知らない人と映像をつなげていることを考えると、必要に迫られたら案外適応するものだなと感じます。今後、新型コロナウイルスの感染状況がどうなるかは分かりませんが、感染が終息したとしてもPenmarkやDiscordのようなコミュニケーションツールの利用は続けるだろうなと思っています。