2021年12月29日(水)からディズニープラスにて独占配信が開始となった、スター・ウォーズの最新ドラマ『ボバ・フェット / The Book of Boba Fett』はもうご覧になっただろうか? ネット上での意見はかなり割れているが、個人的には「1話だけじゃ何とも言えない」といったところだ。
それでも「思ってたのと違うよ!」という否定派の気持ちもわかるし、逆に「おもしろいじゃん!」という肯定派の気持ちも理解できる。1つだけ確かなことは「普通に見たら全スター・ウォーズファンに刺さる作品ではない」ということだ。
・超人気キャラ参上
スター・ウォーズにおける最強……かどうかはわからないが、バウンティー・ハンター(賞金稼ぎ)部門では圧倒的人気No.1キャラのボバ・フェット。そのボバ・フェットの “その後” を描くのがドラマ『ボバ・フェット / The Book of Boba Fett』である。
ボバ・フェット自体はエピソード6「ジェダイの帰還」にて砂漠の怪物 “サルラック” に飲み込まれ非業の死を遂げているが、実はボバは生きていた。そして「ジャバ・ザ・ハット亡き後の惑星タトゥイーンを支配するまで」が、ドラマ『ボバ・フェット』の基本的なストーリーラインとなっている。
・ディズニーの歩み寄り
で、第1話を鑑賞した率直な感想としては「嫌がる人もいるだろうな」ということ。嫌がる人とはズバリ「スター・ウォーズは4・5・6が最高!」「特に7・8・9は認めねえ!」といった、超古株のファンの一部である。
作品自体はポップとは程遠い “やや暗めのトーン” で描かれており、雰囲気自体は好評を博したドラマ「マンダロリアン」と近い。ディズニーなりに古参のファンにだいぶ歩み寄っている印象を受けた。
……が、ボバ・フェットが自体がご長寿 & 超人気キャラがあるがゆえ「そうなの……?」と引っかかる点があったことも事実。個人的には極悪非道なボバを期待していたが、想像以上にイイ人っぽさが出ていた点は気になった。だってハン・ソロを帝国に売り渡した男ですからね?
・俺だけのボバが邪魔をする
これはある意味で「漫画が実写映画化されたときの感情」に近いものがあるのだろう。ボバ級の人気キャラともなると個々人の脳内で “俺だけのボバ” が育ちすぎており、どうしたってドラマとのギャップは大きい。熱狂的な原作ファンはところどころ引っ掛ける箇所があるハズだ。
逆に “答え合わせ” くらいの感覚で向き合えるならば、ドラマ『ボバ・フェット』は非常に優秀なドラマである。なにせあのボバのドラマなのだ。ボバ・フェットを目の当たりにして無感情でいられるスター・ウォーズファンなどこの世にいないハズ。普通にワクワクやで。
要するにドラマ『ボバ・フェット』をご覧になるならば、意地悪な粗探しをせず「そういうもの」として視聴するといいだろう。“俺だけのボバ” は胸の内に秘めて、タトゥイーンの情景やクリーチャーたちにニヤニヤしていただきたい。
・既存キャラは難しい
思えば新キャラばかりの「ローグ・ワン」と「マンダロリアン」はほとんどのスター・ウォーズファンに絶賛された一方で、既存のキャラを深掘りした「ハン・ソロ」は受け入れられたとは言い難かった。ドラマ『ボバ・フェット』も全く同じ構図である。ただ、ディズニーはかなり歩み寄っている……と思う。
というわけで、毎週水曜日に最新話が配信されるドラマ『ボバ・フェット / The Book of Boba Fett』は、ディズニープラスで公開中だ。この後にはユアン・マクレガー主演の「オビ=ワン」が控えているが、果たしてどうなるのか? なんだかんだ、やっぱりスター・ウォーズは最高です。
参考リンク:ディズニープラス公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:(C)2021 Lucasfilm Ltd.