世界にはいろんな年越し文化があるが、私が昔からぶっちぎりでやりたかったのがアルゼンチンの年越しだ。
アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスでは「その年に使った書類をビルの窓からまき散らす」という。
さすがラテンの国、やることが違う。アルゼンチン人の心意気を見習って、皆で「アルゼンチンの年越し」を体験してみることにした。
まずは渋谷にアルゼンチンを呼び寄せる
世の中にはいろんな年越しの方法があるが、アルゼンチンはこれらしい。
アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスでは、大みそかの正午になると、その年に使った書類を紙ふぶきにして、ビルの窓から投げ捨てまくるという。
初めてそのこと知ってから「いつかアルゼンチンで年越しをしたい!」と切望してきたのだが、ブエノスアイレスは大みそかにサクッと行ける場所ではない。
しかたないので、発想を変えた。
私がアルゼンチンに行けないのなら、アルゼンチンがこちらに来ればいいのである。
というわけで、今回は渋谷のオフィスの一室に、アルゼンチンを召喚することにした。
殺風景なミーティングルームに「アルゼンチンの年越しにそれなりに興味を持っているメンバー」に集まってもらう。
メンバーには事前に「アルゼンチンっぽい服装で来てください」と伝えたのだが、言い出した私すら「アルゼンチンっぽい」がよくわからず、始まる前から我々のアルゼンチン観の浅さが浮きぼりになった。
さらに、そのままだとどうしても「渋谷のオフィスっぽさ」がすごくて、心がラテンになってくれない。
この問題を解決するべく、とりあえず大音量で「アルゼンチンタンゴ★ベストヒッツ完全版」みたいなプレイリストを流してみた。
ここまで心がラテンになったら、準備するべきものはあと1つだ。
そう、「窓」である。
実際は「ちょっと大きな額縁」なのだが、すでに心がラテンなのでどこからどう見ても窓である。
この窓を古賀さんに持ってもらい、思いっきり書類を投げ捨てることで、我々は今年を越えて来年をむかえられるのだ。
年を越したいなら少しの恥じらいもあってはいけない
心の中にラテンを宿し、窓の設置(持つだけ)も終わったので、ここからはどんどん書類を投げ捨てていく。
トップバッターは発案者のまいしろだ。
楽しい。なにこの年越しイベント。
やる前は「本当にこれで大丈夫なのか」という不安があったが、投げ始めるとそんなことはどうでもよくなり、気づいたら「ハッピーニューイヤー!」と叫びながら紙をまき散らしていた。
あまりの楽しさにハイになっていたが、路上(=机の下)で見ていたメンバーから「もっと前のめりに書類を投げろ」というダメ出しをくらった。年越し感が足りないらしい。
少しの恥じらいもあってはダメだ。心の中にラテンを宿してもう一度。
年賀状みたいな写真が撮れてしまった。今年の年賀状はこれで決まりだ。こんなに楽しい年越しはなかなかない。
アルゼンチン式年越しのポイント
少しの恥じらいもあってはダメ。心の中にラテンを宿して!
書類を投げ捨てると「気持ちがピカピカになる」
次に年を越えていくのは古賀さんだ。
「いい感じにまき散らせる書類がない」ということで、まいしろのあまった書類をまき散らすことに。
楽しそうなかけ声とともに、人の書類を窓からまき散らす古賀さん。
終わった後は、弾けんばかりの笑顔で「気持ちがピカピカになるね!」と語っていた。
アルゼンチン式年越しのポイント
やると気持ちがピカピカになる。
そしてそれに続くのは、なんだか大事そうなハンコが押してある書類を持ち込んだ橋田さんだ。
ちなみに、本当に投げ捨てていい書類なのか不安になってこっそり見たら、めちゃくちゃ橋田さんの個人情報(メールアドレス)みたいなものが見えたので、何も見なかったことにした。
路上(=机の下)から他のメンバーの写真を撮ってくれていた橋田さん。
「見るのとやるのは、全然違うね!」という名言を残し、すてきな笑顔で今年をしっかりと越していった。
アルゼンチン式年越しのポイント
見る年越しとやる年越しは全然違う
そして、最後に越すのは安藤さん。持ち込んだ書類はこれである。
みんなが「投げ捨てもわりと大丈夫な書類」を持って来たなか、「マジで投げ捨てたい書類」を持ち込んでくれた安藤さん。
ついでに「本当は先方に送らないといけなかった」という告白までして、同じ編集部の古賀さんに「しっかりしてくださいよ」と叱られていた。
そんな安藤さんの年越しがこちらだ。
ずれた窓は、すかさず古賀さんが直してくれた。このメンバーなら、来年も絶対にいい年になるはずだ。
アルゼンチン式年越しのポイント
窓がズレたらすぐに直そう!
投げ捨てた書類をひろうと正気にもどる
本場のアルゼンチンでは、路上に書類を投げ捨てたまま、盛大に正月をむかえている。
が、残念ながらここはアルゼンチンを召喚しただけの渋谷なので、終わったあとに皆で必死に書類をひろった。
投げ捨てた書類を必死に分類する様子を見て、橋田さんがひとこと「成田空港に帰ってきたね…」とつぶやいた。
さっきまで大みそかのアルゼンチンだったのに、ここはすでに日本だ。
が、しかし。日本に帰るのはまだ早かった。
なんと体調不良で欠席した石川さんが、我々のアルゼンチンへの旅を動画にまとめてくれたのだ。
「本当にこの動画は必要なのか」という議論もあったが、個人的にはかなり気に入っているので見て欲しい。
ただ、見る前に必ず心にラテンを宿して欲しい。
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短かったアルゼンチンでの年越しの旅。来年も、こんな風にみんなで書類を投げ捨てるような1年にしたい。
年末の大掃除が苦手なのだが、今年はまき散らす書類を探すために、めちゃくちゃ家の本棚の掃除をした。
ただ掃除をしろと言われてもやる気がしないが、こうやって「書類を窓から投げ捨てるために掃除をしろ」と言われると急にやる気が湧いてくる。
本場のアルゼンチンでも、掃除のやる気を出すために窓から投げ捨てているのかもしれない。
なにごとも、やらないとわからないことがあるものだ。いつかぜひ、アルゼンチンで本物の年越しをやってみたい。