Beelinkの「U95」シリーズは、CPUにJasper LakeことCeleron N5905を搭載した手のひらサイズのデスクトップPCだ。海外のミニPC通販サイト「MINIXPC」での価格は259ドルとなっており、レジでクーポン「PCWATCH10」を利用すれば、10ドル引きの249ドルとなる。今回、同サイトの協力を得てサンプルを入手したので、簡単に使用感をお伝えする。今回お借りしたのはメモリ8GB、SSD 256GB、OSにWindows 10 Homeを搭載したモデルである。
Jasper Lakeプロセッサ自体は2021年1月に発表されたものの、コンシューマにおいて搭載製品は皆無と言っていい。CHUWIは7月に「Hi10 Go」を投入したのだが、2コアのCeleron N4500を搭載したものとなっていて、エントリー機でもGemini Lake搭載機では4コア以上が当たり前となっている現在において魅力は薄かった。
おそらく、これはIntelが同じ10nmプロセス製造キャパシティの中で、第11世代Coreシリーズなどに注力した結果だと思われる。年末に差し掛かったこの時期になって、ようやく搭載製品が現れ始め、そのうちの1つが今回紹介するU95だと言えるだろう。
改めておさらいとなるのだが、Jasper LakeにはTremontと呼ばれる省電力コアが採用されていて、シングルスレッド性能が30%ほど強化されている。また、GPUもIce Lakeと同世代となり、Gemini Lake世代から描画性能が向上している。製造プロセスが14nmから10nmに微細化されているので、ある意味当然と言えば当然なのだが、低価格帯を刷新するプロセッサに期待を寄せていたユーザーも少なくないだろう。
というわけでベンチマークの結果をまず掲載するが、PCMarkのスコアは2,353となっており、Celeron N4100搭載機の「HeroBox」から3割程度向上しているのが確認できた。
項目別で言えばEssentialsは15%、Productivityは23%、Digital Content Creationでは実に55%ほど性能が向上していて、負荷が高い処理であればあるほどGemini Lakeに対してアドバンテージがあることが伺える。GPUを計測する3DMarkでも、Night Raidのテストで2,724、Wild Lifeのベンチマークで1,519を記録し、概ねGemini Lake搭載機より50~60%ほど高速だった。
ちなみに本機には標準で8GB×1のDDR4-2666 SO-DIMMが実装されているが、1基空いておりメモリの増設が可能。また、標準では256GBのM.2 SATA SSDを装備しているが、2.5インチベイも空いているため増設できる構造となっている。試しにメモリをDDR4-3200の8GB×2に変更したところ、2,933MHz動作となりデュアルチャネル駆動となったが、3DMarkのスコア増はわずかであった。Celeron N5905のGPUに過度な期待は禁物だろう。
インターフェイスは、後部がUSB 3.0×2、Gigabit Ethernet、HDMI出力×2、DC入力。前面がUSB 3.0×2、USB Type-C、3.5mmステレオミニジャック。ちなみにCMOSクリアも電源も前面にある。試した限りでは、USB Type-Cはディスプレイへの出力も可能で、ここから給電を受けて動作することも可能だった。
ディスプレイのVESAマウントホールに本体を装着できるアダプタも付属するため、USB Type-Cによる映像転送と給電に対応したディスプレイであれば一体型PCのように設置し、配線を極力減らせる。そのほかの仕様は、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0。本体サイズは124×111×42mm(幅×奥行き×高さ)などとなっている。
ファンについては高速と低速の2段階制御しかないようだが、高負荷時でも「サー」という風切り音が聞こえる程度で静粛性は高い。発熱についてはほとんどなく心配無用だった。低価格な小型デスクトップPCが欲しいが、性能はもう一声……と思っていたユーザーにU95は待望の製品になると言える。ちなみに日本のAmazonでも販売されており、価格は3万1,890円、現在3,000円オフクーポンを適用可能だ。3万円切りのローエンドでここまで性能が上がって来たのは嬉しい。
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