メモ
NASAが打ち上げている地球観測衛星「ランドサット」は膨大な枚数の衛星写真を撮影し続けており、その写真は科学・都市計画・安全保障など多くの分野で活用されています。そんなランドサットが撮影した衛星写真の中でも特筆すべき写真12点を科学系ニュースサイトのLive Scienceがまとめています。
NASA Earth Observatory – Home
https://earthobservatory.nasa.gov/
Landsat satellites: 12 amazing images of Earth from space | Live Science
https://www.livescience.com/best-landsat-images-of-earth.html
◆01:砂漠が終わる場所
以下は、ランドサット8号が撮影したアフリカ南西部に位置するナミブ砂漠の北端です。写真下部の赤茶色の部分がナミブ砂漠で、上部は岩石地帯となっています。また、砂漠と岩石地帯の境界にはクイセブ川が流れています。
◆02:ユーコン・カスコクウィム・デルタのカラフルな移行期
ユーコン・カスコクウィム・デルタはアメリカ・アラスカ州西海岸のユーコン川とカスコクウィム川がベーリング海に流れ込む場所に形成された三角州で、緑豊かになったり枯れた植物で覆い尽くされたりと季節によって景観が大きく変化することで知られています。ランドサット8号が撮影した以下の写真は、ユーコン・カスコクウィム・デルタの植物が枯れ始める移行期の姿を捉えています。
◆03:ロシアの謎の波紋
この写真は2020年10月29日にランドサット8号が撮影したロシア北部に位置するマルハ川周辺の写真です。写真をよく観察するとマルハ川周辺の陸地に樹木の年輪のような波紋が刻まれていることが分かります。この波紋の形成については永久凍土の融解や降雨・降雪による浸食などさまざまな説が存在しますが、記事作成時点では波紋の形成過程は解明されていません。
◆04:風によって巨大化する池
2017年に、ランドサット8号が撮影した1万枚の写真を利用して、「アメリカのミシシッピ川流域における風による浸食状況の経緯」を調査した研究報告が発表されました。以下の写真は研究に使用された1万枚の中の1枚で、2016年12月1日に撮影されたものです。写真は水中の堆積物を可視化するために着色されており、神秘的な雰囲気を帯びています。
◆05:中国北部の高麗人参農場
日本でも漢方薬として親しまれている高麗人参は中国東北部が代表的な生産地として知られています。ランドサット8号が2017年9月25日に撮影した黒竜江省の衛星写真には、高麗人参農場に設置された青や黄色のビニールシートが写り込んでいます。
◆06:ペンシルベニア州の丘
以下のミニチュア模型を写したような丘陵地帯の画像は、2020年11月9日にランドサット8号が撮影したアメリカ・ペンシルベニア州に位置する褶曲山脈の衛星画像に標高データを組み合わせたもので、山脈だけでなくペンシルベニア州立大学なども被写体となっています。NASAによると、この画像は地層の変形によって生じた珍しい地形と共に、秋の紅葉も捉えらえた印象的なものとのことです。
◆07:プランクトンの渦
海中にプランクトンが大量発生する赤潮は発生地域の漁業に大きな悪影響を与えますが、時には大量発生したプランクトンによって絶景が作り出されることもあります。ランドサット8号が2020年10月18日に撮影した南大西洋上に位置するフォークランド諸島の写真では、プランクトンが渦巻くように浮遊している様子を確認できます。
◆08:深紅の湖
タンザニアとケニアの国境付近に位置するナトロン湖は、湖水に炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムを豊富に含んでおり、それらの成分を好む藻が成長することで赤く色づきます。NASAによるとナトロン湖周辺は年間の平均気温が40℃かつ降水量が500mm未満という非常に過酷な環境を有しているとのことです。
◆09:火山の上空を移動する雲
以下の写真の茶色や白色のモヤは南極大陸から約1600km離れた地点を漂う雲です。写真左下の赤色の部分にはマイケル山と呼ばれる火山が位置しており、火山の山頂が雲の流れを遮ることで白色の軌跡が生じています。NASAによると、この写真は2021年11月7日にランドサット8号が撮影した写真を着色したものとのことです。
◆10:ロシア北部の氷の芸術
ロシア北部に位置するノヴォシビルスク諸島に存在するサニコフ海峡は一年のほとんどの期間で氷に覆われています。ランドサット8号が2016年6月5日に撮影した以下の写真は、サニコフ海峡の氷が溶解する夏季のもので、網目状に崩壊する氷床がアートのような雰囲気を醸し出しています。
◆11:風によって姿を変える棚氷
以下の写真は、ランドサット8号が2021年11月20日に撮影したものです。写真の下部には棚氷が広がり、上部には細かく分かれた海氷が集まっています。そして中央には棚氷と海氷が風の力で分離した際に生じた針状の氷が写っています。
◆12:バッテリーの生まれる場所
スマートフォンなどの電子機器で広く利用されているリチウムイオン電池の生産には、鉱山や塩湖などから採取されたリチウムが必要不可欠です。2018年11月8日に撮影された以下の写真には、チリのリチウム採取場が写っています。NASAによると、リチウムの採取は「リチウムが含まれる水をくみ上げて蒸発させる」という塩の生産に近い方法で行われるとのこと。また、緑や青の色彩は蒸発プロセスの進行段階の違いによるものとされています。
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