現存する日本最古のビヤホールが入居する「銀座ライオンビル」(東京都中央区)が2021年11月19日、国の登録有形文化財(建造物)に登録された。
館内で登録を知らせる放送を行ったところ、ビヤホールの客から温かい拍手がまき起こったという。SNS上ではこの瞬間に立ち会ったユーザーが感動を伝え、大きな注目を集めた。
J-CASTニュースは、ビルを所有するサッポロライオン社に、登録を答申した理由などを取材した。
館内アナウンスで登録を伝えると…
ビルは1934年に建てられた。地下一階から6階まであり、一階には日本最古のビヤホール「ビヤホールライオン銀座七丁目店」が入る。戦時中に多くのビヤホールが焼失したが、同ビルは空襲を免れ、現在も創建当時からほぼ変わらない姿で客を出迎える。
ビヤホールライオンは壁画や支柱、照明などは「豊穣と収穫」をコンセプトに、大麦やブドウをモチーフとした装飾が施されている。名物は店内正面にある大壁画。ビール麦の収穫に働く婦人たちを描いたガラスモザイクで、縦2.75メートル、横5.75メートルの大きさがある。
店を運営するサッポロライオンは2019年から登録有形文化財(建造物)への登録を検討しはじめ、20年4月に申請を決意した。「現存する日本最古のビヤホール」として、PRを強化する狙いがある。
11月19日、新たに登録された91件の登録有形文化財(建造物)の1つに選ばれた。文化庁は同ビルを、「戦前から営業を続ける我国ビヤホールの一大傑作」と評する。
これを受け、サッポロライオンはさっそく館内アナウンスで登録を伝えた。同社の担当者は、
「11月19日の指定を受け、いち早くお客様にご案内したいという思いでアナウンスいたしました。突然のアナウンスに最初はお客様も驚かれていましたが、登録有形文化財に指定された旨をお伝えすると拍手喝采でお客様とスタッフが一体となりました」
と振り返る。
ツイッター上では、この場に居合わせたユーザーが当時の状況をツイートし、「嬉しい瞬間に立ち会うことができました おめでとうございます」と祝福した。このツイートには12月2日現在までに約1.5万件の「いいね」が寄せられた。