「仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイル実現のために」−−。広島県が女性労働者を支援するために発行している冊子が、物議を醸している。
注目されているのは「働く女性応援よくばりハンドブック」。仕事と家庭を両立しようとすることを「よくばり」とするなど、一部の表現が不適切ではないかとしてネット上で抗議の声があがった。県はJ-CASTニュースの取材に、「働く女性を応援するという県の趣旨が十分に伝わるよう内容の見直しを図っていきたい」としている。
「全然応援してないよ」
同冊子は広島県公式ツイッターが2021年11月27日、無料配布していると周知したことで注目を集めた。発行されたのは16年。20年に改定されている。
50ページにおよぶ冊子は妊娠・出産に関する各種支援制度を紹介しているほか、仕事と家庭の両立をめざす「ワーキングママ」のための情報などがまとめられている。
ネット上では各種制度がわかりやすいと評価があがった一方で、仕事と家庭の両立をめざすことを「よくばり」と表現するのは適切でないとして、「子育てしながら働くことは、女性のわがまま、欲張りなことなんですか?」などと抗議の声が集まった。
内容への違和感はほかにも寄せられた。「ワーキングママの心構え」を記した項目では、仕事と家庭の両立には周囲の協力が欠かせないとしたうえで、現状に不満を抱いている想定の「上司」や「パパ」らのセリフを次のように掲載。
「短時間勤務と休日出勤免除を希望されたけど、その分子どものいない社員の負担が増しているみたい。休日出勤が増える他の社員や、会社の経営状況も理解してほしいな…」(上司)
「『私ばっかり家事と育児をしている」というけど、こっちだって仕事で疲れてるんだよね。夜泣きがうるさくても我慢してるし、多少は手伝っているんだから、勘弁してほしいな…」(パパ)
彼らの理解を得るには感謝と配慮が大事であると強調し、経験者からの助言をそれぞれ添えた。
「ついつい『頼みやすい人』にカバーをお願いしがちですが、同じ人ばかりにカバーをお願いするのは不満のもと。同僚の負担を軽減するための方法を、上司と一緒に考えましょう」(管理職ママ)
「『お願いは時間を区切って具体的に』『手伝ってもらったことにダメ出しはしない』が、わが家のルール。ちょっと大げさに感謝すると、パパもやる気を出してくれます」(新米ママ)
これらの表現は波紋をよび、「何でママだけに求められるの?」「全然応援してないよ」「とにかく不快」と批判の声が集まっている。